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難攻不落の鉄門峡
広宗(=現在の河北省。冀州。記事下の地図参照。)の盧植(=劉備の恩師で、黄巾賊討伐の将軍。)が都洛陽からの勅使(=天子(=皇帝)の使い。)左豊の讒言(=他者を陥れようとして告げ口をすること。)によって洛陽に連行され、行き場を失った劉備は再び頴川(=現在の河南省。豫洲西部に位置し、都洛陽に近い。)にある朱儁の陣営に舞い戻ります。
本営にいた大将軍朱儁は、相変わらず黄巾賊に苦戦していました。
劉備三兄弟が到着すると、以前冷遇していたのが嘘であるかのように、朱儁は彼らを酒や肉で歓待します。
悪態には抗い、好意に対しては従順になる素直な性格の張飛は、「士は己を知る者のために死す!」などと言って、朱儁の接遇にご満悦な様子でした。
翌日、朱儁は改まった表情で、劉備たちに告げるのでした。
貴公らに一つお頼みしたいことがある。
ここから30里離れた場所に峡谷があって、張角の弟、張宝はその深い谷の麓に軍を駐屯している。
その峡谷は、黒い霧が常に立ち込め、強い風が始終吹き下ろしている。
土地の者は「鉄門峡」と呼んでいる。
攻めかかろうとすると、張宝の呪文に合わせるかのように突風が吹き、経文が書かれた紙片や木片が降り注いでくるのだ。
張宝は妖術使いとして有名な男。
兵士たちもそれを知っている。
弱ったことに、兵士たちが恐れ慄き、一歩も前に進もうとしないのだ。
そのうち、左右に聳える崖から岩石や矢が降り注いできて、攻めども攻めども大敗を喫してしまう。
先日のそなたたちの奇襲作戦、あれは非常に見事であった。
このたびも、劉備殿の知略と関張両将軍の武勇で、この張宝の一軍を攻めてもらえないだろうか。
劉備たちは、昨日の朱儁の慇懃な接遇の理由を察して苦笑いをしましたが、断る理由もないので、朱儁から借り受けた3千の兵を義軍に加え、張宝の軍が潜んでいる山地に向かうことにしました。

鉄門峡の死闘
張宝の陣屋がある谷口に進むに従って、天候はみるみる悪くなり、霧が濃く立ち込め、風が断続的に吹いていました。
早くも朱儁の兵が恐れ始めます。
妖術などは見せかけに過ぎぬ。
武士ともあろうものが、敵を前にして木や草の根に掴まって恐れ慄くとはなんたる様か。
者ども、我に続け!
関羽は青龍偃月刀を掲げて高々と叫び、先頭切って突き進みますが、誰一人として兵士はついてきません。
高希希監督『Three Kingdoms』の関羽
朱儁の兵たちの恐怖が、劉備の義勇兵にも伝播してしまっていたのです。
そのうち、峡谷には烈風が起こり、経文が記された赤や黄の紙片が宙を舞い始めました。
兵士たちが背を向けて退却を始めるや、各所から黄巾賊の兵が顔を出し、一斉に矢の雨が降り注いできました。
中には「地公将軍」と書かれた幟が揺らめき、その側には白装束に身を纏い、声高らかに呪文を唱える男の姿がありました。
それこそ、妖術を操ると言われる張宝でした。
この戦いで、劉備・朱儁の兵に多くの死傷者が出ました。
劉備は挙兵して以来、初めての大敗を喫したのでした。
西暦 | 出来事 | 年齢 | ||||||
劉備 | 孔明 | 曹操 | 孫堅 | 袁紹 | 董卓 | 呂布 | ||
前202 | 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。 | |||||||
前157 | 景帝が漢の皇帝に即位する。 | |||||||
168 | 霊帝が漢の皇帝に即位する。 | 7 | 13 | 13 | 14 | 30 | 7 | |
184 | 黄巾の乱が起こる。 | 23 | 3 | 29 | 29 | 30 | 46 | 23 |
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