【1日5分】あらすじ三国志62「曹操、献帝に拝謁する」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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曹操、献帝の難を救う

洛陽らくよう(=現在の河南かなん省西部。司隷しれい司州ししゅう)東部。記事下の地図参照。)に到着し、一様に安堵する献帝けんてい楊奉ようほう董承とうしょうらであったが、「李傕りかく郭汜かくし、長安より出陣する」の報を聞いた途端、みな顔色がんしょくを失ってしまった。

 

廃墟と化した洛陽では、とても天子てんし(=皇帝。)をお守りすることはできない。

 

そのため、安集あんしゅう将軍董承は、頴川えいせん(=現在の河南省中部。豫州よしゅう南部。)・山東さんとう(=現在の山東省。兗州えんしゅう青州せいしゅう一帯。)地方で勢いありと評判の曹操そうそうを頼るべきと進言し、そのげんれた献帝は一路、頴川に向かわれることとなった。

 

しかし、献帝をお乗せした御車ぎょしゃが30里ほど進んだ時、突如頴川の方向から迫る騎馬の大軍勢が現れた。

 

山賊か、蛮族ばんぞくか、はたまた李傕・郭汜の伏兵か?

ちんは、今度は誰の手に落ちるのであろうか?

 

進退極まった献帝は、ついに観念なさった。

 

皇后を抱き寄せ、「いつかはまた天佑てんゆう(=天の助け。)も訪れようぞ。これまでもそうであった」と、落涙しながら優しく語りかけなさるのであった。

 

そこへ、斥候せっこう(=偵察兵。)が戻って来て、迫り来る軍勢の正体を報じた。

 

陛下、こちらに迫ってくるのは賊ではございません。

曹操です!

頴川から曹操が駆けつけてきたのです!

陛下が長安よりお送りになった勅使も同行しております。

 

「まことか!」と、献帝は大いにお喜びになった。

 

そして、御車の窓より身を乗り出すようにして曹操の軍勢をご覧になった。

 

なるほど、「曹」の旗がいくつも颯爽さっそうと揺らめいている。

 

よく見れば、隊列は整い、甲冑かっちゅうはみな統一されていて、洗練された部隊に違いなかった。

 

とても山賊であるとは思われない。

 

曹操の軍勢は、献帝の御車の側まで来ると、綺麗に隊列を組み直した。

 

おびただしい数である。

 

陣頭にいた武士もののふは馬を降り、かぶとを脱ぎいだいて御車の前にひざまずくと、うやうやしく拝礼した。

 

曹操旗下きか夏侯惇かこうとんが陛下に拝謁はいえついたします。

陛下をお救いするため、許昌きょしょう(=現在の河南省中部。豫州頴川地方にあった。)より駆けつけましてございます。

あるじ曹操は本隊を引き連れ西進しておりますゆえ、すみやかには参れません。

道中はここにおります典韋てんい将軍、許褚きょちょ将軍と共に陛下をお守り致します。

どうぞご安心召されますように。

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高希希監督『Three Kingdoms』の夏侯惇

 

献帝は夏侯惇率いる5万の精兵に守られながら、再び洛陽に帰還することになった。

 

その途上、またも洛陽に向けて新手あらての大軍が押し寄せているとの報告があった。

 

その知らせがもたらされると、献帝はにわかにおあわてになるが、夏侯惇はすぐさま御車の側まで駒を進め、「それは主曹操の従兄弟いとこ曹洪そうこう将軍の徒歩勢かちぜいでございます」と答えた。

 

曹洪は中軍として、李典りてん楽進がくしんを副将に3万の歩兵を引き連れ、夏侯惇の部隊に合流したのであった。

 

おお、またも曹操の軍か!

 

献帝は、どこまでも延びる曹操の軍勢を再び車窓より眺望なさり、思わず感嘆なさった。

 

思えば、長安を出立して以来、これだけの軍勢に守られたのは初めてであった。

 

常に心許こころもとない行軍こうぐんであった。

 

黄巾賊こうきんぞくの残党、白波軍はくはぐんに守られたこともあった。

 

しかし、今は漢にゆかりのある曹氏(=曹操の父曹嵩そうすうの養父曹謄そうとうは、漢の高祖こうそ(初代皇帝)劉邦りゅうほうに仕えた功臣曹参そうしんの子孫であった。)の大軍に守られている。

 

献帝は8万の曹操軍に護衛されながら、意気揚々と洛陽に到着なさったのであった。

 

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曹操、献帝に拝謁する

夏侯惇に遅れること半刻はんとき、曹操は10万の本隊を引き連れて現れた。

 

燃え立つような赤の甲冑、赤の戦袍せんぽう赤柄あかえの槍。

 

世に名高い、曹操の赤備あかぞなえの軍隊である。

 

洛陽に入った曹操は、参謀の荀彧じゅんいくにあれこれ指示を与え、まず肉のあつもの(=吸い物。)を用意させた。

 

献帝や侍従は長安を脱出して以来、まともな物は口にしてはおるまい。

安邑あんゆう(=現在の山西さんせい運城うんじょう市。司隷(司州)東部。洛陽の西隣に位置する。)では粗末な仮御所に滞在していたと聞く。

ここまで飲まず食わずであったろうよ。

そんな時は、黄金や女よりも食い物だ。

食い物の恩というものはなかなか忘れぬものよ。

後々のこと●●●●●もやりやすくなる。

 

董卓とうたく暗殺に失敗した後の、逃亡中のひもじさを思い出しているのであろうか、曹操はしみじみ語るようにして荀彧に命じるのであった。

 

羹の用意ができると、曹操は荀彧にそれを運ばせ、献帝に献上した。

 

続けて、侍従たちにも漏れなく羹が振る舞われた。

 

長安での監禁生活では腐敗した肉や魚を、また洛陽への逃避行では野草まで食した一行いっこうである。

 

献帝や侍従はみな感極まり、無心でそれを食した。

 

楊奉や韓暹かんせんといった、曹操の野心を警戒する者たちでさえ、あっという間に羹をたいらげた。

 

曹操はなぜ顔を見せない?

 

献帝がお尋ねになると、荀彧は殿舎のきざはしを右手で指し示し、「陛下のお許しが出るのを、主曹操は殿舎の外で待っております」とお答えした。

 

よい、すぐにこちらに呼ぶのだ。

 

献帝は即位なさってからこの方、始終臣下の脅威にさらされて来た。

 

傀儡かいらい(=操り人形。)に過ぎなかった。

 

天子てんしとしての自信と威光を取り戻すかのように、献帝は冠の乱れをお直しになるような仕草をなさった。

 

曹操とはどのような男か、侍従らの視線が階下に注がれる。

 

満を持して曹操が現れた。

 

曹操は剣を帯びず、衣冠束帯いかんそくたいに身を包み、低頭して献帝の玉座まで歩みを進める。

 

董卓や李傕・郭汜とは全く異なるその一挙手一投足いっきょしゅいっとうそくに、侍従もすっかり胸をで下ろした。

 

鎮東ちんとう将軍曹操が、陛下に拝謁致します。

この度、陛下のみことのりうけたまわり、頴川地方は許昌より駆けつけました。

到着が遅くなり、天子にご不便をお掛けしましたこと、重ね重ねお詫び申し上げます。

これより先は、この曹操が一命をして陛下をお守り申し上げます。

 

献帝は、恭しく相対あいたいする曹操にいよいよ叡感えいかん(=皇帝が感心なさること。)をお示しになった。

 

誠に忠臣である。

朕は嬉しく思うぞ。

これからも頼りにしておる。

 

これによって、曹操は天子の後ろ盾となり、洛陽に迫りくる李傕・郭汜との決戦に臨むことになったのであった。

 

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西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫策 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 6 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 9 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
190.1 反董卓連合軍が結成される。 29 9 35 15 36 52 29
190.2 董卓、都を長安に遷す。 29 9 35 15 36 52 29
192 董卓、暗殺される。 31 11 37 17 38 54 31
193 曹操、徐州に侵攻する。 32 12 38 18 39    32
194 劉備、徐州を領する。 33 13 39 19 40   33
196.7 献帝、洛陽に帰還する。 35 15 41 21 42   35

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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