【1日5分】あらすじ三国志56「李傕、大司馬となる」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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皇甫酈、李傕を説得する

献帝けんていの勅命を受けた策士賈詡かくは、埋伏の毒となって李傕りかくの将兵を次々と逃亡させるなど、李傕軍の解体、弱体化に着手した。

 

そんなある日、李傕と同じく西涼せいりょう(=涼州りょうしゅう記事下の地図参照。)出身の皇甫酈こうほりが李傕を訪ねた。

 

李郭●●両者の仲違いをいさめる(=目上の者の誤りを指摘して改善を促す。)ためであった。

 

事前に郭汜かくしのもとに出向き、色よい返事を得ていた皇甫酈は、得意げにその弁舌を振るった。

 

稚然ちぜん(=李傕のあざな。)殿、この度の暴挙は何かの御神託によるものですかな?

 

李傕が自分の邸宅に複数の巫女みこを住まわせ、その占卜せんぼくによって行動を決していたことは、朝廷の誰しもが知るところであった。

 

天子(=皇帝。)は貴公らの玩具ではない。

廃墟と化した郿塢びうに幽閉され、満足な食事も召し上がれず、日々玉体ぎょくたい(=天子のお体。)の争奪合戦に民が巻き添いにされていることに、陛下はお心を痛めていらっしゃる。

まして、諸国には貴公に抗う諸侯が勢力を拡大し、この長安に攻め入るのを虎視眈々こしたんたんと狙っていると聞く。

とりわけ、今や兗州えんしゅう青州せいしゅう豫州よしゅうの3州を治める曹操そうそうは数十万の軍勢を抱え、優れた臣下は綺羅星きらぼしごとし。

即刻、郭汜殿とは和解するのが良策であろう。

 

しかし、李傕は全く耳を貸さなかった。

 

それどころか、「貴様は天子に頼まれて、ここまでのこのことやって来たのだろう」と怒りをあらわにした。

 

この者を斬って捨てよ!

 

李傕がそう言うやいなや、騎都尉きとい楊奉ようほうは「お待ちを!」と言って李傕を制した。

 

勅使である皇甫酈殿を害すれば、天下の諸侯はその不敬を咎めてみな郭汜に味方しましょう。

皇甫酈殿の身柄は、この私がもらい受けます。

 

李傕は、「好きにせよ」と吐き捨てるように言うと、その場を後にした。

 

楊奉は皇甫酈に主人の無礼を丁重に詫び、彼を釈放した。

 

李傕が勘ぐった通り、皇甫酈は献帝の密命を受けて李傕を説得しに来たのであった。

 

天子のご期待に応えられなかったことを深く恥じた皇甫酈は、故郷である西涼(=涼州。)に落ちて行った。

 

しかし、ただで落ちたわけではない。

 

さすがは黄巾賊討伐で大将軍を務めた皇甫嵩こうほすうの甥である。

 

各地で李傕の暴挙を吹聴ふいちょうして回り、李傕に味方することの非を説いて回ったのであった。

 

西涼からの援軍を期待できなくなったのだから、このことは李傕にとってはかなりの痛手だったに違いない。

 

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李傕、大司馬となる

李傕の兵の切り崩しを遂行していた賈詡は、再び李傕の目を盗んで献帝のもとに参上し、次なる二策を献じた。

 

陛下にお願いしたき儀がございます。

李傕を大司馬だいしばにお取り立てになり、恩賞をお与え下さい。

 

大司馬とは軍事をあずかる長官であり、常設の官ではなかったが、相国しょうこく太傅たいふに次いで国の中枢となる役職であった。

 

三公さんこう(=太尉たいい(軍事の長)、司徒しと(行政の長)、司空しくう(官吏監督、政策立案の長)。)を超える身分であっただけに、献帝はいぶかしげにおっしゃった。

 

李傕の力をいでいる最中さいちゅうであるのに、何故なにゆえ李傕に格別な計らいをせよと申すか?

 

賈詡は、その理由をお答えした。

 

私が見ますに、いま李傕の将兵には、李傕に対する不満が渦巻いております。

李傕は命を賭けて戦っている将兵よりも、巫女を重じております。

褒美を与える際にも、何にも先駆けてまず巫女たちに授けているくらいです。

この度、恩賞が下賜かしされましたら、李傕は必ずやその多くを巫女に分配しましょう。

そして、大司馬に昇進すれば、李傕はさらにおごり高ぶり、将兵に厳しく接するのは目に見えております。

遠からず、謀反むほんが起きましょう。

起きなくとも、このような者のために命を懸けて奮戦する者など、どこにおりましょうか?

 

献帝は「おお、おお・・・」と、かしこくも賈詡の手を取り、賈詡を見つめたまま、近侍きんじしていた董承とうしょう(=献帝の祖母、董太后とうたいごうの親族の甥とされる。)に、李傕を大司馬に任じるみことのり発布の準備を命じようとした。

 

すると、賈詡は「いま一つ、陛下にお願い申し上げます」と言った。

 

李傕・郭汜を取り除く日は迫っております。

陛下におかれましては、曹操や袁紹えんしょう袁術えんじゅつら有力諸侯に対し、「すぐに兵を率いてせ参ぜよ」との詔もまた、あわせてお出しくださいますように。

 

こうして、李傕・郭汜から大政を奪還する作戦は、最終段階に入ったのであった。

 

挿入画像

西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫策 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 6 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 9 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
190.1 反董卓連合軍が結成される。 29 9 35 15 36 52 29
190.2 董卓、都を長安に遷す。 29 9 35 15 36 52 29
192 董卓、暗殺される。 31 11 37 17 38 54 31
193 曹操、徐州に侵攻する。 32 12 38 18 39    32
194 劉備、徐州を領する。 33 13 39 19 40   33

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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