【1日5分】あらすじ三国志55「李傕、玉体を奪う」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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李傕、玉体を奪う

亡き王允おういん愛娘まなむすめ貂蟬ちょうせんを用いて呂布りょふ董卓とうたくの間を引き裂き、専横を極めた董卓を暗殺したように、太尉たいい(=三公さんこうの一つ。軍事をつかさどる長。)楊彪ようひょうは妻に命じて郭汜かくし夫人の嫉妬心をあおり、郭汜と李傕りかくの関係を破綻はたんさせることに成功した。

 

郭汜は秘密裡ひみつりに兵をき集め、李傕を攻めた。

 

しかし、事前に密告を受けてその情報をつかんでいた李傕もまた御林ぎょりん軍(=天子てんし(=皇帝)を警護するための軍隊。)を組織し、防御を固めていた。

 

二匹の虎は、ついにきばき合ったのである。

 

たちまち長安(=現在の陝西せんせい省西安市。司隷しれい司州ししゅう)西部。記事下の地図参照。)の都は戦火に包まれた。

 

治安を失った市中には乱暴狼藉ろうぜきを働く者たちであふれ、民は日夜悲嘆に暮れるのであった。

 

董卓が暗殺された直後、西涼せいりょう(=涼州りょうしゅう。)に落ち延びたことがある李傕や郭汜には、一つ身に染みたことがある。

 

それは、「天子なき軍は賊軍と化す」ということである。

 

李傕は急いで万楽宮まんらくきゅうにいらっしゃる献帝けんていさらい、亡き董卓の御殿ごてんである郿塢びうに幽閉した。

 

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高希希監督『Three Kingdoms』の万楽宮

 

「天子は天下万民のいただきにおわすお方。わたくしすることは許さぬ」と郭汜はそれに怒り、李傕との和睦わぼくを勧めに来た朝臣60余人を監禁して対抗した。

 

こうして、連日、玉体ぎょくたい(=天子のお体。)を巡って熾烈しれつな戦いが繰り広げられたのであった。

 

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賈詡、埋伏の毒となる

李傕によって郿塢に幽閉されていた献帝は、皇后や侍従じじゅうとともに過酷な生活を強いられていた。

 

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高希希監督『Three Kingdoms』の郿塢

 

郿塢は、董卓が暗殺された直後、王允の命によって急襲した皇甫嵩こうほすう李粛りしゅくの兵によって散々に打ち壊されていた。

 

また、その際には董卓の親類や旧臣、800余人に及ぶ侍女じじょ殺戮さつりくや暴行の標的になった御殿である。

 

とても天子のまう御所として相応ふさわしい場所ではなかった。

 

常に李傕の兵に監視され、腐敗臭のする食事は喉を通らず、献帝は日増しに痩せ衰え、衰弱していくのだった。

 

楊彪の計略により、李郭●●の対立は成った。

 

後は、それぞれの力を弱体化させ、両者を朝廷から取り除くこと。

 

改革には痛みが伴うのは道理であるが、憔悴しょうすいする献帝のおんためもあって、次なる一手が急がれた。

 

そんな中、侍従じじゅう楊琦ようきが落涙なさっている献帝の耳元でささやいた。

 

李傕のもとには賈詡かくという策士がおります。

この男は、都を追われた李傕や郭汜を長安に再入城させる謀略を立てた者ではございますが、聞くところ、陛下に対する忠節には並々ならぬものがあるとか。

李傕や郭汜でさえも一目を置く人物です。

今は母親の服喪中ふくもちゅうで都を離れておりますが、この者を、恐れ多くも陛下の御前おまえにお召しになって勅言ちょくげんをお与えになり、李傕の勢力を内部から切り崩すことができれば、さらに逆賊は弱体化するかと。

 

献帝のご招請しょうせいに応じて、賈詡は李傕の目を盗んで郿塢にせ参じた。

 

献帝から直々じきじきに勅をたまわった賈詡は、涙を流してそれを拝命し、「この一命に替えましても、必ずや大漢の恩に報います」と言って叩頭こうとうした。

 

それからというもの、李傕の部隊からは一人、また一人と兵が去って行った。

 

逃亡兵の摘発てきはつに乗り出し、部隊を仕切る将軍たちに監視を強化させた李傕であったが、今度は部隊がそっくり姿を消してしまうという事態が相次いだ。

 

もちろん、これは賈詡が埋伏の毒となって活動した結果であるが、賈詡は彼らにただ去らせたのではなかった。

 

決起の折には必ず参ぜよ。

天子はそなたらにお目をかけていらっしゃる。

事が成ったあかつきには、そなたらの処遇に対してもみことのりが下ろうぞ。

 

そう言って、献帝の血の勅書を見せた上で在野に放流したのであった。

 

賈詡が言うだけでも説得力があったが、その背後には天子がいらっしゃるということで、将兵はみな賛同した。

 

真に玉体を保持していたのは、この賈詡であった。

 

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西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫策 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 6 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 9 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
190.1 反董卓連合軍が結成される。 29 9 35 15 36 52 29
190.2 董卓、都を長安に遷す。 29 9 35 15 36 52 29
192 董卓、暗殺される。 31 11 37 17 38 54 31
193 曹操、徐州に侵攻する。 32 12 38 18 39    32
194 劉備、徐州を領する。 33 13 39 19 40   33

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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