【1日5分】あらすじ三国志54「郭汜、李傕と反目する」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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郭汜夫人の嫉妬

各地を放浪していた呂布りょふ劉備りゅうび徐州じょしゅう(=現在の山東さんとう省東南部、及び江蘇こうそ省長江以北。記事下の地図参照。)に迎え入れた頃、都長安では相変わらず董卓とうたくの旧臣李傕りかく郭汜かくしによって朝政はほしいままにされていた。

 

董卓という一匹の虎が死んだ途端、今度は李傕・郭汜という二匹の虎がやって来た。

 

長安の人々はそう言って、「これならまだ董卓によって支配されていた時代の方がよかった」と、苦々しく思っては深くため息をつくのだった。

 

傀儡かいらい(=操り人形。)となり果て、悲嘆に暮れる献帝けんていを見兼ねた太尉たいい(=三公さんこうの一つ。軍事をつかさどる長。)楊彪ようひょうは、李傕と郭汜の間に軋轢あつれきを生じさせ、両者を朝廷から取り除こうと、ある一計を案じた。

 

挿入画像

高希希監督『Three Kingdoms』の献帝

 

郭汜の妻は、嫉妬心が強いことで知られていた。

 

楊彪はそこにつけ込もうとした。

 

楊彪は自分の妻に命じて、「絶世の美女と評判の李傕の妻が、郭汜とねんごろな関係(=不倫関係。)にある」と、郭汜の妻に密告させたのだった。

 

もちろん、これは李傕と郭汜を反目はんもくさせるための、楊彪の作り話だったが、郭汜夫人はその話を聞くや、「二、三思い当たるふしがある」と言って激しく動揺し、憤懣ふんまんやるかたないという様子だった。

 

郭汜の妻は、なんとかして夫と李傕を疎遠にして、夫から李傕夫人を遠ざけようと考えた。

 

後日、李傕の邸宅で宴が催されることになり、もちろん郭汜も招待された。

 

郭汜夫人は、宴におもむこうとする夫に言った。

 

古来より、「両雄並び立たず」と言いますよ。

人間とは欲深い生き物です。

李傕様はあなたを追い落とし、朝廷での権力をその手に集中させたいと願っているかもしれません。

 

郭汜の妻は、「人の心は変わりますもの」と皮肉混じりに嘆息しながら言うと、今度は強い調子でこう警告した。

 

ですから、無闇むやみに宴に伺うのはおめになってはどうですか?

 

郭汜は「馬鹿馬鹿しい」と一蹴いっしゅうしたが、あまりに妻が強く主張するので、いつもの癇癪かんしゃくが起こってはたまらぬと、その日は宴には行かなかったのであった。

 

すると、翌日になって、盟友李傕から酒や料理がたくさん届けられた。

 

郭汜がなんの疑いもなくその料理を口にしようとすると、郭汜夫人がそれをいさめた。

 

あなた、昨日私が申しましたことをもうお忘れですか?

もう少し用心なさって下さい。

李傕様が、万一毒でも入れていたらどうするのですか?

 

郭汜は大笑して取り合わなかったが、郭汜夫人が届けられた料理の中の一品を庭に放り投げると、にわかにその表情は曇り出した。

 

なぜなら、庭に放し飼いにしていた犬が尻尾を振ってその料理にかぶりついた途端、犬はたちまち泡を吹いて卒倒してしまったからである。

 

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郭汜、李傕と反目する

郭汜は呆然ぼうぜんとした。

 

もちろん、あらかじめ料理に毒を忍ばせたのは郭汜夫人だったが、「妻の言うことはあながち馬鹿にはできないぞ」という思いが、郭汜の脳裡のうりにふつふつと沸き上がってきた。

 

彼女のはかりごとの半分は成ったと言ってよい。

 

西涼せいりょう(=涼州りょうしゅう。)の武士もののふはよく酒を飲む。

 

後日、李傕は再び酒宴を催し、長年苦楽を共にしてきた郭汜はもちろん、文武百官もみな招かれた。

 

例の事件から数日が経ったが、注意深く見ていても、李傕が自分に反目する気配は微塵みじんもない。

たとえあっても、これだけ盛大な宴で盟友を殺すことはあるまい。

 

そう考えた郭汜は、毒料理の件は頭の片隅に追いやり、いて忘れようと努めたが、やはり酒を飲んでも一向に酔えない。

 

酔えないどころか、みるみるうちに気分が悪くなってきた。

 

郭汜は慌てて退席すると、御者ぎょしゃきたててすぐに自邸に戻った。

 

だから言わないことじゃない。

 

郭汜夫人はそう言って慌てて薬を渡すと、郭汜は胃の中のものを全て吐き出してしまった。

 

これで落ち着くはずですわ。

 

郭汜の妻が渡した薬は、もちろん毒覚どくさましではない。

 

糞汁ふんじゅう」と言って、人糞じんぷんと薬草とを酒に混ぜた漢方薬の一種で、悪臭と苦味で容易に体内に注ぎ込めるものではない。

 

注ぎ込めたとしても、郭汜のように吐き出してしまう。

 

しかし、死を意識して気が動転している郭汜は、毒覚ましによって九死に一生を得たと思って疑わない。

 

ここに郭汜夫人の謀は、その全てが成った。

 

これでお分かりでございましょう?

李傕様はあなたを害そうとなさっているのです。

 

郭汜の目は血走っていた。

 

両者の友情は完全についえたのであった。

 

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西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫策 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 6 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 9 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
190.1 反董卓連合軍が結成される。 29 9 35 15 36 52 29
190.2 董卓、都を長安に遷す。 29 9 35 15 36 52 29
192 董卓、暗殺される。 31 11 37 17 38 54 31
193 曹操、徐州に侵攻する。 32 12 38 18 39    32
194 劉備、徐州を領する。 33 13 39 19 40   33

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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