【1日5分】あらすじ三国志52「呂布、兗州を失う」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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呂布、兗州を失う

兗州えんしゅう記事下の地図参照。)奪還を狙う曹操そうそう軍を迎撃げいげきした呂布であったが、許褚きょちょ悪来あくらい(=典韋てんい。)、夏侯惇かこうとんら勇将が次々に自分に向かって来たので、さすがの呂布りょふ濮陽ぼくよう城に撤退した。

 

しかし、呂布が城に引き返してみると、全ての城門は閉ざされ、のみならず掘りに架けられていた吊り橋も上げられてしまっていた。

 

呂布の全軍は、図らずも城下で立ち往生おうじょうするしかなかった。

 

馬鹿者ども、戦況を見て分からぬか。

早く吊り橋を下ろせ!

開門せよ!

 

挿入画像

高希希監督『Three Kingdoms』の呂布と赤兎馬

 

呂布が怒号を飛ばすと、城郭から一人の小柄な男が顔を出した。

 

それは、田氏でんしであった。

 

田氏とは濮陽の市中で屈指の豪商で、以前呂布に協力して曹操を濮陽城におびき寄せ、曹操軍を壊滅の一歩手前まで追い込んだ人物であった。

 

やあ、これは呂布殿でしたか。

お早いお戻りで。

残念ですが、田氏はこれから曹操殿にお味方することに致した。

利益の多い方に付くのが、我ら商人の道でございます。

ささ、日の暮れぬうちに、どこぞでも落ちて行かれよ。

 

刹那せつな、「曹」ののぼりが城郭のあちらこちらに掲げられ、その間には弓のつるを目一杯に引いた弩弓手どきゅうしゅ隊が一斉に顔を出した。

 

歯がみしてもののしっても、城が返るわけではない。

 

ここにいれば、いつ曹操軍に包囲されるか分からない。

 

陳宮ちんきゅうは、いかれる呂布を説得して撤退を決意させると、自らは濮陽城の東門から田氏に掛け合い、城内から呂布の親類を譲り受けるのだった。

 

根城ねじろを失ってしまった呂布に見切りをつけ、一人、また一人と兵士が逃亡して行った。

 

これからどこへ行くべきか?

 

呂布は陳宮に、袁紹えんしょう袁術えんじゅつなど3、4人の目ぼしい諸侯の名前を並べたが、陳宮の首が縦に振られることはなかった。

 

親子の契りを交わしていた丁原ていげん董卓とうたくを殺害し、曹操が拠点としていた兗州の留守を狙って強奪したことなどは、すでに天下に知れ渡っていることであった。

 

不義ふぎの人であると評判になってしまった呂布を、諸手もろてを挙げて迎え入れる諸侯がいるとは、陳宮には到底思われなかったのである。

 

実際、冀州の袁紹に使いを出してはみたが、かえって袁紹は顔良がんりょうに5万の兵を与えて州境しゅうざかいを守らせ、曹操にくみした(=味方した。)のであった。

 

劉備りゅうびはどうか?

 

突然、陳宮の口から意外な人物の名が提示された。

 

劉備は先頃、陶謙とうけんから徐州じょしゅうを譲り受けました。

曹操が徐州に侵攻した折は、何の縁もゆかりもない陶謙を少数の兵で必死に援護したとか。

人徳の士と評判のお方ですから、万が一にも我らを受け入れてくれることもあるかと。

 

呂布には、もとよりそれ以上の考えはない。

 

すぐに劉備のもとに使者を送り、当面の間城下に駐屯させてほしいという要望を伝えた。

 

呂布の一行は南下し、とぼとぼと徐州を目指したのであった。

 

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高希希監督『Three Kingdoms』の、左から陳宮と呂布

 

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劉備、呂布を迎え入れる

呂布を受け入れることは、百害あって一利なし。

 

徐州では、家臣の誰もが呂布受け入れに反対する意見を劉備に投げかけた。

 

桁外けたはずれに義に厚いお方だということが主君劉玄徳げんとく(=「玄徳」は劉備の字。)の魅力でもあり、同時に心配のたねでもあったからだ。

 

ことに、猛烈に反対したのが張飛だった。

 

奴は三つの家の奴隷どれい

丁原ていげん、董卓、王允おういんと、奴が仕えた主人はみな無残な最後を遂げたではないか。

兄者、絶対にだめだ。

呂布を迎え入れてはだめだ。

 

「兄上、わしも張飛の意見に賛成です」と、ひげをしごきながら関羽も同調した。

 

富国強兵に邁進している時に、何故なにゆえ呂布などを招き入れる必要がありましょうか?

呂布は狼。

今や餓狼がろうです。

必ずやこの徐州をかすめ取りましょう。

 

参謀の糜竺びじくも、孫乾そんけんも、劉備を強くいさめた(=目上の者の誤りを指摘して改善を促す。)。

 

劉備はつぶっていたまなこを開いて粛々しゅくしゅく心持こころもちを述べた。

 

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高希希監督『Three Kingdoms』の劉備

 

呂布は当代随一の英雄。

行き場を失って彷徨ほうこうしている者を見捨てるのは義にもとる行為だ。

まして、呂布は大漢の病根であった董卓を撃滅した功労者の一人である。

私を突き動かすものは、漢の復興、その一点に尽きる。

漢の功臣である呂布を見捨てれば、我が根幹はぐらつき、単に私利私欲のためにあい争う諸侯と何が変わるだろうか。

また、曹操の徐州侵攻に際しては、呂布が曹操の留守をついて兗州を急襲しなければ、我々はこうして生きてはおるまい。

天祐てんゆう(=天の助け。)には報いねばならぬ。

呂布を迎え入れる準備をせよ。

 

こうして、劉備は家臣の反対を押し切り、呂布の軍隊が徐州に駐屯することを許可したのであった。

 

挿入画像

西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫策 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 6 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 9 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
190.1 反董卓連合軍が結成される。 29 9 35 15 36 52 29
190.2 董卓、都を長安に遷す。 29 9 35 15 36 52 29
192 董卓、暗殺される。 31 11 37 17 38 54 31
193 曹操、徐州に侵攻する。 32 12 38 18 39    32
194 劉備、徐州を領する。 33 13 39 19 40   33

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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