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呂布、兗州を奪う
曹操は徐州城攻略を途中で断念し、兗州に帰還する馬上にあった。
徐州城攻略の最中、呂布が曹操の拠点である兗州を攻めたからであった。
空き巣のような真似をしおって。
しかし、このような芸当は呂布にはできないはずだが・・・
曹操が言うと、側に控えていた荀彧が言いました。
呂布には、誰か知謀に長けた者が同伴しているのかもしれません。
ご油断召されぬように。
兗州は全土に渡って、すでに呂布軍の勢力下にあった。
曹操は、曹仁に兗州全域を囲ませて呂布の退路を断つと、自身は夏侯惇や夏侯淵、楽進、李典、悪来(=典韋。)を従え、呂布が奪い取ってその居城としていた濮陽城を攻めた。
曹操は油断していた。
呂布は策士ではない。
丁原や董卓(=いずれも呂布と親子の契りを交わしていた。)の用心棒をしていただけに過ぎぬ。
兗州を乗っ取ったはいいが、その州を守り切る知恵はない。
いずれ自壊しよう。
そう思って、濮陽城から数里離れた所に陣を構えるなり、曹操はすぐさま守りが手薄と考えていた西門に奇襲を掛けた。
しかし、最初は善戦したものの、呂布の反撃を受けて敗走した。
それは、まさに間一髪の逃亡劇であった。
奇襲だったため、もとより曹操はあまり兵を連れては行かなかった。
反撃を受け、曹操の周りには悪来ほか数十騎が付き従うのみとなっていた。
次から次に追手が迫ってくる。
その追手は、休みなく無数の矢を放ってくる。
悪来は曹操を馬上から下ろして伏せさせると、自ら槍を風車のように振り回して矢を叩き落とした。
そして、敗残の数十騎と共に呂布の兵を撃退した。
そのうち、悪来の槍は歯がこぼれ、使い物にならなくなってしまった。
悪来は、倒した呂布軍の兵士の短刀を十数本を奪って腰に帯びた。
そして、再び曹操を馬上に戻し、自分は曹操の馬の轡(=馬の口の辺りに取り付ける馬具。)を取りながら、前方を向いたまま走った。
しかし、追手がまた迫ってきた。
悪来は従者に「敵が十歩の距離まで迫ったら教えろ」と叫んだ。
そして、しばらくして従者が「十歩です」と叫ぶと、悪来は後ろを振り返り、先ほど呂布の兵から奪った短刀を敵の騎兵に投擲した。
短刀は見事敵兵の頭部に命中し、「うぐっ」と言って馬上から転げ落ちた。
また従者が叫んだ。
悪来は再び振り返り、また短刀を追手に投げつけた。
こんなことが十数回行われた。
そのうち、追手は踵を返していなくなってしまった。
大惨敗であった。
間違いない。
呂布には、誰か知謀に秀でた策士がいるな。
これからは慎重に計を練らねばならぬ。
陣に戻った曹操は、その思いを新たにした。
そして、「悪来がいなければ、今日この日が曹操の命日になっていたであろう」と言って、悪来を領軍都尉に昇進させ、なお一層自分の側近くに置いたのであった。

呂布の参謀陳宮
奇襲攻撃失敗から数日後、呂布の側で献策していた者の正体が分かった。
それは、陳宮(=字は公台。)であった。
陳宮とは、その昔董卓暗殺に失敗した曹操を一度は捕らえたが、曹操の志に感銘を受けてその縄をほどき、ともに董卓を倒すことを誓って落ち延びた人物であった。
陳宮であれば合点がいく。
しかし、陳宮が付いているとなれば、事はちと厄介だな。
曹操がそう嘆いていると、見張りの兵が不審な人物を捕えて連行して来た。
その者は、長竿を肩にもたれ掛けるようにして持ち、その竿の先端に皮を剥ぎ取った鶏をぶら下げていた。
曹操が「お前は何者か?」と尋ねると、彼は目配せして人払いを要求した。
幕舎の内部が曹操や数人の腹心だけになると、その不審者は「私は田氏の密使です」と答えた。
田氏とは濮陽の大富豪で、濮陽における商いの元締めのような存在であった。
そのため、濮陽の内でも指折りの実力者として君臨していた。
その密使が竿に吊るしていた鶏の腹を開くと、中には田氏からの密書が隠されていた。
呂布が濮陽の地に入ってからと言うもの、税は重く取り立てられ、民は労役に駆り出され、治安は悪化して略奪や殺人、強姦が後を断ちません。
曹操殿に勝利したのをいいことに、呂布はいま黎陽の地に移り、濮陽にはわずかな兵しかおりません。 これは、天が曹操殿に与えた好機です。 ここ兗州は、もともと曹操殿の領地。 呂布から取り返すお手伝いをして差し上げます。 今夜未明までに城内を撹乱し、西門の城郭に「義」と縫われた白い大旗を挙げます。 それを合図と、城内にお入りください。 |
手痛い敗戦の後だっただけに、曹操は「おお、まさに天の助け!」と歓喜した。
しかし、密使が立ち去った後、参謀の劉曄は曹操を諫めて(=目上の者の誤りを指摘して改善を促す。)言った。
ご主君、お気をつけなさいませ。
呂布は知恵のない男でございますが、奴の側には陳宮がおります。
この話は、あまりに都合が良すぎるのが気がかりです。
何かの罠かもしれません。
突入する部隊を3隊に分け、まず1隊を突入させ、謀でないことが確認されましたら全軍を城内に入るのがよいかと。
曹操は劉曄の進言を容れ、先鋒に夏侯淵、楽進、李典を任じ、中軍として悪来ら四将軍、自身はその真ん中で指揮を取ることにした。
そして、城下には夏侯惇と曹仁を残し、万全の態勢で濮陽城奪回に臨んだのであった。
西暦 | 出来事 | 年齢 | ||||||
劉備 | 孔明 | 曹操 | 孫策 | 袁紹 | 董卓 | 呂布 | ||
前202 | 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。 | |||||||
前157 | 景帝が漢の皇帝に即位する。 | |||||||
168 | 霊帝が漢の皇帝に即位する。 | 7 | 13 | 14 | 30 | 7 | ||
181 | 何氏が霊帝の皇后となる。 | 20 | 26 | 6 | 27 | 43 | 20 | |
184 | 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 | 23 | 3 | 29 | 9 | 30 | 46 | 23 |
189.5 | 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 | 28 | 8 | 34 | 14 | 35 | 51 | 28 |
189.9 | 少帝が廃位され、献帝が即位する。 | 28 | 8 | 34 | 14 | 35 | 51 | 28 |
190.1 | 反董卓連合軍が結成される。 | 29 | 9 | 35 | 15 | 36 | 52 | 29 |
190.2 | 董卓、都を長安に遷す。 | 29 | 9 | 35 | 15 | 36 | 52 | 29 |
192 | 董卓、暗殺される。 | 31 | 11 | 37 | 17 | 38 | 54 | 31 |
193 | 曹操、徐州に侵攻する。 | 32 | 12 | 38 | 18 | 39 | 32 |
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