【1日5分】あらすじ三国志46「劉備、徐州を譲られる」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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劉備、徐州を譲られる

徐州じょしゅうの太守陶謙とうけんの臣下張闓ちょうがいに父を惨殺ざんさつされた曹操そうそうは、50万の大軍勢で徐州を攻めた。

 

しかし、劉備が陶謙の援軍に駆けつけたことで形勢が逆転し、曹操は撤退を余儀なくされた。

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陶謙は劉備を徐州城に迎え入れ、再拝さいはいして感謝を述べた。

 

貴公が駆けつけてくださらねば、今頃は徐州の市中に我らの首が並べられていたことであろう。

玄徳げんとく(=劉備のあざな。)殿はこの徐州を大難から救ってくださった。

重ね重ね礼を申す。

 

高齢の陶謙がうやうやしく、再び深々と礼をするので、劉備はすっかり恐縮してしまった。

 

すぐにひざまずいて、「恐れ多いことでございます」と低頭ていとうした。

 

陶謙殿は漢の忠臣。

漢の勅命ちょくめいによって任命された徐州ぼく(=「牧」は州を束ねる者のこと。)。

これを力によって変更しようとする勢力は逆賊ぎゃくぞくでございます。

この玄徳、再びどのような敵が攻めて来ましても、また全力でこれをしりぞける所存です。

 

陶謙は劉備の篤実とくじつさに胸を打たれ、思わず落涙した。

 

そして、すぐに劉備の両の手を握りしめてこう懇願こんがんした。

 

玄徳殿、どうかこの徐州の太守になってくださらぬか?

この通り、私はさき短い身である。

ましてこの徐州は中原ちゅうげん(=黄河中下流域のこと。中国の中心。)の要地。

天下の諸侯が虎視眈々こしたんたんと狙っておる。

漢の景帝けいていの子孫であるそなたに徐州をお譲りすることは、わしの漢に対する最後の忠孝である。

私の息子たちは生来せいらい凡愚ぼんぐ

残念だが私の後を継ぎ、この徐州を経営する才はないのだ。

そなたは黄巾こうきん討伐において戦功を挙げ、先の反董卓とうたく連合や袁紹えんしょうとの戦いにおいても勇猛果敢ゆうもうかかん

また、そなたの義弟雲長うんちょう(=関羽かんうの字。)殿と翼徳よくとく(=張飛ちょうひの字。)殿は恐れを知らぬ一騎当千の武者むしゃ

そなたなら、必ずや徐州の民を導いてくださるはず。

どうか太守の任を引き継いでいただきたい。

 

しかし、劉備は「いけません」と言って首を横に振った。

 

私は私利私欲のため、ここに参ったのではありません。

陶謙殿をお助けしたい一心で参りました。

それに、陶謙殿には立派なご子息がおられます。

どうかそれ以上は申されませんように。

 

劉備は陶謙の申し出をがんとして聞かなかった。

 

また、陶謙も劉備の固辞をかたくなに受け入れはしないといった様子で、結局陶謙の参謀糜竺びじくが間に入り、「この話は戦後に」ということになった。

 

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曹操、兗州に取って返す

陣営に戻った曹操は歯がみして悔しがった。

 

そして、怒号とも叱責ともつかない口調で各将軍に通達した。

 

二日後だ!

二日後に総攻撃をかける!

各部隊休息を取らせ、怪我人の手当てをせよ!

絶対に徐州を落とすのだ!

 

諸将が曹操の前を退こうとした時、幕舎の前に早馬が到着した。

 

陶謙の使者が軍門に参ったということであった。

 

その使者が携えていたふみ(=手紙。)にはこうあった。

 

孟徳もうとく(=曹操の字。)殿

 

貴公とは反董卓連合でこころざしをともにし、互いに大漢だいかんのために奮戦致しましたが、再び戦場にて相見あいまみえることになろうとは、思いもかけぬことでございました。

時に、孟徳殿は何故なにゆえ陶謙殿をお攻めになるのか?

孟徳殿のお父上をあやめたのは張闓であって、陶謙殿ではありません。

まして、陶謙殿は孟徳殿とよしみを結ぶべく、曹嵩殿を歓待したのです。

陶謙殿をお攻めになるのはお門違かどちがいと言うもの、賢明な孟徳殿の判断とは思われません。

私怨しえんをもって攻めるは兵法のでございます。

それでは天下の民の心はつかめませぬ。

どうか兗州えんしゅうにお戻りください。

 

劉備

 

曹操の目はかっと見開いた。

 

劉備・・・!

劉備だと?

あのむしろ売りが、いい気になりおって!

総攻撃は明日に変更する!

各将、早々に部隊の再編に当たれ。

 

曹操がそう言うやいなや、「ご主君、兗州よりの早馬が到着しました」と従者が伝えに来た。

 

ご主君、兗州が危険です。

呂布りょふが攻めて参りました!

 

曹操はそれを聞くと、怒りのあまりに劉備からの文を引き裂いてしまった。

 

そして、荀彧じゅんいくに命じた。

 

兗州に撤退だ。

準備をせよ。

明朝、撤退だ。

 

劉備の文を届けた直後に曹操が撤退を開始したものだから、陶謙はなおさら劉備の人物にれ込んでしまった。

 

そして、今度は徐州牧の印綬いんじゅを持って来て、劉備に受け取るように迫った。

 

関羽や張飛のもどかしそうな顔を尻目しりめに、それでも劉備は陶謙の申し出を断ってしまった。

 

しかし、陶謙の誠意には何とかして報いたいと思った劉備は、ひざまずいて陶謙にある提案をした。

 

徐州の州境にある小沛しょうはいの城に駐屯ちゅうとんさせてはくださいませぬか?

そこならば、いつでも陶謙殿をお助けできますし、もしまた曹操が攻めて来ましても、徐州城と小沛城が掎角きかくせいとなって敵をはさみ撃ちにすることもできましょう。

 

その言葉を聞いて、陶謙は非常に喜んだ。

 

そして、劉備に小沛城での駐屯を許したのであった。

 

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西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫策 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 6 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 9 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
190.1 反董卓連合軍が結成される。 29 9 35 15 36 52 29
190.2 董卓、都を長安に遷す。 29 9 35 15 36 52 29
192 董卓、暗殺される。 31 11 37 17 38 54 31
193 曹操、徐州に侵攻する。 32 12 38 18 39    32

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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