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劉備、徐州を譲られる
徐州の太守陶謙の臣下張闓に父を惨殺された曹操は、50万の大軍勢で徐州を攻めた。
しかし、劉備が陶謙の援軍に駆けつけたことで形勢が逆転し、曹操は撤退を余儀なくされた。
陶謙は劉備を徐州城に迎え入れ、再拝して感謝を述べた。
貴公が駆けつけてくださらねば、今頃は徐州の市中に我らの首が並べられていたことであろう。
玄徳(=劉備の字。)殿はこの徐州を大難から救ってくださった。
重ね重ね礼を申す。
高齢の陶謙が恭しく、再び深々と礼をするので、劉備はすっかり恐縮してしまった。
すぐに跪いて、「恐れ多いことでございます」と低頭した。
陶謙殿は漢の忠臣。
漢の勅命によって任命された徐州牧(=「牧」は州を束ねる者のこと。)。
これを力によって変更しようとする勢力は逆賊でございます。
この玄徳、再びどのような敵が攻めて来ましても、また全力でこれを斥ける所存です。
陶謙は劉備の篤実さに胸を打たれ、思わず落涙した。
そして、すぐに劉備の両の手を握りしめてこう懇願した。
玄徳殿、どうかこの徐州の太守になってくださらぬか?
この通り、私は老い先短い身である。
ましてこの徐州は中原(=黄河中下流域のこと。中国の中心。)の要地。
天下の諸侯が虎視眈々と狙っておる。
漢の景帝の子孫であるそなたに徐州をお譲りすることは、わしの漢に対する最後の忠孝である。
私の息子たちは生来凡愚。
残念だが私の後を継ぎ、この徐州を経営する才はないのだ。
そなたは黄巾討伐において戦功を挙げ、先の反董卓連合や袁紹との戦いにおいても勇猛果敢。
また、そなたの義弟雲長(=関羽の字。)殿と翼徳(=張飛の字。)殿は恐れを知らぬ一騎当千の武者。
そなたなら、必ずや徐州の民を導いてくださるはず。
どうか太守の任を引き継いでいただきたい。
しかし、劉備は「いけません」と言って首を横に振った。
私は私利私欲のため、ここに参ったのではありません。
陶謙殿をお助けしたい一心で参りました。
それに、陶謙殿には立派なご子息がおられます。
どうかそれ以上は申されませんように。
劉備は陶謙の申し出を頑として聞かなかった。
また、陶謙も劉備の固辞を頑なに受け入れはしないといった様子で、結局陶謙の参謀糜竺が間に入り、「この話は戦後に」ということになった。

曹操、兗州に取って返す
陣営に戻った曹操は歯がみして悔しがった。
そして、怒号とも叱責ともつかない口調で各将軍に通達した。
二日後だ!
二日後に総攻撃をかける!
各部隊休息を取らせ、怪我人の手当てをせよ!
絶対に徐州を落とすのだ!
諸将が曹操の前を退こうとした時、幕舎の前に早馬が到着した。
陶謙の使者が軍門に参ったということであった。
その使者が携えていた文(=手紙。)にはこうあった。
孟徳(=曹操の字。)殿
貴公とは反董卓連合で志をともにし、互いに大漢のために奮戦致しましたが、再び戦場にて相見えることになろうとは、思いもかけぬことでございました。 時に、孟徳殿は何故陶謙殿をお攻めになるのか? 孟徳殿のお父上を殺めたのは張闓であって、陶謙殿ではありません。 まして、陶謙殿は孟徳殿と誼を結ぶべく、曹嵩殿を歓待したのです。 陶謙殿をお攻めになるのはお門違いと言うもの、賢明な孟徳殿の判断とは思われません。 私怨をもって攻めるは兵法の愚でございます。 それでは天下の民の心は掴めませぬ。 どうか兗州にお戻りください。
劉備 |
曹操の目はかっと見開いた。
劉備・・・!
劉備だと?
あの筵売りが、いい気になりおって!
総攻撃は明日に変更する!
各将、早々に部隊の再編に当たれ。
曹操がそう言うや否や、「ご主君、兗州よりの早馬が到着しました」と従者が伝えに来た。
ご主君、兗州が危険です。
呂布が攻めて参りました!
曹操はそれを聞くと、怒りのあまりに劉備からの文を引き裂いてしまった。
そして、荀彧に命じた。
兗州に撤退だ。
準備をせよ。
明朝、撤退だ。
劉備の文を届けた直後に曹操が撤退を開始したものだから、陶謙はなおさら劉備の人物に惚れ込んでしまった。
そして、今度は徐州牧の印綬を持って来て、劉備に受け取るように迫った。
関羽や張飛のもどかしそうな顔を尻目に、それでも劉備は陶謙の申し出を断ってしまった。
しかし、陶謙の誠意には何とかして報いたいと思った劉備は、跪いて陶謙にある提案をした。
徐州の州境にある小沛の城に駐屯させてはくださいませぬか?
そこならば、いつでも陶謙殿をお助けできますし、もしまた曹操が攻めて来ましても、徐州城と小沛城が掎角の勢となって敵を挟み撃ちにすることもできましょう。
その言葉を聞いて、陶謙は非常に喜んだ。
そして、劉備に小沛城での駐屯を許したのであった。
西暦 | 出来事 | 年齢 | ||||||
劉備 | 孔明 | 曹操 | 孫策 | 袁紹 | 董卓 | 呂布 | ||
前202 | 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。 | |||||||
前157 | 景帝が漢の皇帝に即位する。 | |||||||
168 | 霊帝が漢の皇帝に即位する。 | 7 | 13 | 14 | 30 | 7 | ||
181 | 何氏が霊帝の皇后となる。 | 20 | 26 | 6 | 27 | 43 | 20 | |
184 | 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 | 23 | 3 | 29 | 9 | 30 | 46 | 23 |
189.5 | 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 | 28 | 8 | 34 | 14 | 35 | 51 | 28 |
189.9 | 少帝が廃位され、献帝が即位する。 | 28 | 8 | 34 | 14 | 35 | 51 | 28 |
190.1 | 反董卓連合軍が結成される。 | 29 | 9 | 35 | 15 | 36 | 52 | 29 |
190.2 | 董卓、都を長安に遷す。 | 29 | 9 | 35 | 15 | 36 | 52 | 29 |
192 | 董卓、暗殺される。 | 31 | 11 | 37 | 17 | 38 | 54 | 31 |
193 | 曹操、徐州に侵攻する。 | 32 | 12 | 38 | 18 | 39 | 32 |
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