【1日5分】あらすじ三国志「一覧」はこちらから!

王允、董卓の残党を討つ
ついに董卓は取り除かれた。
長安は歓喜に包まれ、万歳はいつまでも鳴り止むことがなかった。
董卓の首と胴体は市中に晒され、董卓憎しと人々はこぞって董卓の亡骸を辱めた。
董卓亡き後、その殺害に主導的な立場を取っていた司徒(=三公の一つ。行政を司る長官。)王允が政の采配を振るった。
王允は、まず董卓を支えた家臣たちの誅殺(=罪を責めて殺すこと。)に乗り出した。
長安の郊外にあった郿塢(=董卓の御殿。)には、「董卓の四将軍」とも称される李傕や郭汜、張済、樊稠がおり、そこに董卓の精兵1万も常駐していた。
そのため、王允は呂布を奮威将軍に任じ、また李粛と皇甫嵩を副将に指名して董卓の残党征伐に向かわせた。
しかし、主君董卓の死を知った四将軍はすでに郿塢を抜け出し、元来董卓の本拠地であった西涼(=涼州。)に向けて逃亡していた。
呂布は赤兎馬を走らせ、鉄騎兵を率いて一目散に郿塢に向かった。
郿塢には黄金23万斤、白銀89万斤、米と粟が800万石余り蓄えられていた。
また、董卓が各地から徴収した、あるいは贈呈された膨大な七珍万宝が保管されていただけでなく、800余人の美女が住んでいた。
皇甫嵩や李粛の兵たちは、こぞって董卓の残した遺産に群がっていった。
そして、略奪や暴行、殺戮、放火など、悪行の限りを尽くした。
董卓の一族は尽く誅殺され、90歳を超える董卓の老母もその例外ではなかった。
そんな中、呂布はただ一人、「貂蟬!貂蟬!」と声を張り上げながら、郿塢を蹂躙する将兵らには目もくれず、想い人である貂蟬の姿を捜すのであった。

貂蟬の決断
自らの色香を恃みにし、呂布と董卓を仲違いさせて董卓を取り除く。
これこそ、貂蟬が父王允から与えられた使命だった。
連環の計(=戦によって敵を破るのではなく、謀略をもって敵対する軍の内紛・仲違いを引き起こして自壊させる計略。)は成った。
事が成り次第、貂蟬は死ぬつもりであった。
しかし、呂布が自分の死に疑いを持ち、連環の計が露見して父である王允の命が危険に晒されるかもしれないと思うと、貂蟬は自死を躊躇うのだった。
いや、それだけではない。
極悪非道の董卓に仕えた呂布ではあったが、貂蟬に対する思いに嘘はなかった。
自分に与えられた使命を全うし、貂蟬の心の中に、年ごろの少女が抱く恋慕の情がようやく顔を出し始めた。
しかし、恋慕の情が深くなるにつれて、自分の汚れた肉体がこの上なく嫌悪された。
呂布を欺いていたことに対する罪悪感で、激しく胸が痛むのであった。
そう思っていた矢先、朝廷から派遣された呂布の手勢が一気に郿塢に乗り込んできた。
そして、「貂蟬!貂蟬!」と大音声で呼ばう呂布の声が徐々に近づいてくる。
呂布は董卓の宝物には振り向きもせず、一心に貂蟬を捜し歩いた。
貂蟬は、もう一歩も歩くことができなくなってしまった。
夕陽に照らされた庭園の隅にうずくまる、一人の女人の後ろ姿があった。
その後ろ姿は小刻みに震えていた。
呂布はそっと近づき、何も言わずに貂蟬を抱きしめた。
呂布は「よく耐えた、よく耐えた」と、まるで貂蟬の汚れを払い落とすかのように、繰り返し貂蟬の髪を撫でた。
貂蟬はいつものように、斜に呂布を見上げながら力なく尋ねた。
呂布はもう一度、貂蟬を力強く抱きしめた。
そして、「もう離しはせぬぞ」と言って、大粒の涙を流すのだった。
西暦 | 出来事 | 年齢 | ||||||
劉備 | 孔明 | 曹操 | 孫策 | 袁紹 | 董卓 | 呂布 | ||
前202 | 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。 | |||||||
前157 | 景帝が漢の皇帝に即位する。 | |||||||
168 | 霊帝が漢の皇帝に即位する。 | 7 | 13 | 14 | 30 | 7 | ||
181 | 何氏が霊帝の皇后となる。 | 20 | 26 | 6 | 27 | 43 | 20 | |
184 | 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 | 23 | 3 | 29 | 9 | 30 | 46 | 23 |
189.5 | 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 | 28 | 8 | 34 | 14 | 35 | 51 | 28 |
189.9 | 少帝が廃位され、献帝が即位する。 | 28 | 8 | 34 | 14 | 35 | 51 | 28 |
190.1 | 反董卓連合軍が結成される。 | 29 | 9 | 35 | 15 | 36 | 52 | 29 |
190.2 | 董卓、都を長安に遷す。 | 29 | 9 | 35 | 15 | 36 | 52 | 29 |
192 | 董卓、暗殺される。 | 31 | 11 | 37 | 17 | 38 | 54 | 31 |
コメント