【1日5分】あらすじ三国志39「呂布、鳳儀亭にて貂蟬に会う」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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呂布、鳳儀亭にて貂蟬に会う

献帝けんてい入内じゅだいするものだと思っていた想い人の貂蟬ちょうせんが、事もあろうに義理の父である董卓とうたく側女そばめにされていたことに、呂布りょふ憤慨ふんがいします。

 

そして、呂布は董卓の御殿ごてんである郿塢びうに赴きますが、董卓に一喝され、恐れおののいて郿塢から逃亡するのでした。

 

それからと言うもの、呂布には覇気がありませんでした。

 

董卓にそそのかされ、董卓に汚された貂蟬が哀れでならなかったのです。

 

どうにかして貂蟬を救い出したい、今できなくともいつか必ずそなたを救ってみせる。

その思いを、哀れな貂蟬に伝えたい。

 

呂布の脳裡のうりには、そのことばかりが駆け回っているのでした。

 

ある日、朝議も半ばになり、董卓は呂布がいないことに気がつきます。

 

侍臣じしんに捜させても、一向に居場所がつかめません。

 

呂布の愛馬赤兎せきとは、いつものうまやに置かれています。

 

董卓は何やら胸騒ぎがして、朝議を早々に切り上げ、急いで郿塢に向かうのでした。

 

その頃、呂布はすでに郿塢にいました。

 

呂布は一目散に寝殿に向かいます。

 

すると、貂蟬は寝殿の一室に、相変わらずうつろな目をして窓の外を眺めているのでした。

 

貂蟬は呂布の姿に気がつくと、「将軍、いけません」と言いました。

 

こんなところにいらしてはなりません。

先日のこともあります、今度相国(=現在の日本で言うところの内閣総理大臣。董卓のこと。)に見つかりましたら、将軍のお命が危険です。

鳳儀亭ほうぎてい(=郿塢の外れにある庭園。)にいらしてください。

私もすぐに参りますゆえ。

 

数日ぶりに再会した二人は、鳳儀亭で抱きしめ合うのでした。

 

呂布は貂蟬の姿をその目に焼き付けるように、一途いちずに見つめます。

 

のみならず、これが現実のことであるかを確かめるように、貂蟬の頬に手をわせたり、貂蟬の手を強く握りしめたり、五感の全てで貂蟬との邂逅かいこういとおしむのでした。

 

最近は将軍がいらっしゃらなかったので、私のことはもうお忘れになったのだと悲しみに暮れておりました。

将軍にお会いして、一瞬にしてこの世に色がよみがえったような心地がします。

貂蟬は嬉しうございます。

 

呂布は貂蟬を、さらに強く抱き締めて言いました。

 

そなたを忘れたことは片時かたときもない。

私はそなたを諦めない。

いつか必ず迎えに来る。

そのことを、そなたの胸に刻み込んでくれ。

 

貂蟬は呂布の目を見つめ、「本当でございますね、きっとですよ」と哀願するのでした。

 

その時、「呂布、どこだ!」と言う怒号がしました。

 

殺気を帯びた董卓が、鳳儀亭の門扉もんぴから現れ出ます。

 

「早くお逃げください」と、貂蟬は呂布を突き飛ばします。

 

呂布!

やはりここにいたのか!

父の女に手を出すとは、厚顔無恥こうがんむちやからめ。

殺してやる!

 

呂布は不意を突かれ、方天戟ほうてんげきさえも忘れて逃げ惑います。

 

董卓はその方天戟をつかみ、呂布に向かって投げつけますが、呂布はすんでのところでそれをかわし、鳳儀亭の外に逃げ出すのでした。

 

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李儒、董卓を諫める

騒ぎを聞きつけた参謀の李儒りじゅが、鳳儀亭を訪れました。

 

相国、今の騒ぎはなんですか?

呂布が戦慄せんりつ眼差まなざしで逃げていきましたが。

 

董卓は怒りが収まらない様子で、李儒に怒鳴るようにして事情を説明します。

 

呂布め、わしの貂蟬に横恋慕よこれんぼをしおったのだ。

今すぐ呂布を追捕ついぶする兵を起こせ。

奴を捕らえて殺すのだ!

 

それを聞いた李儒は、董卓を諭すようにして言いました。

 

相国、このような故事がございます。

 

昔、荘王そうおうが功績のあった諸将を集め、酒宴を催したことがございました。

えんもたけなわになった頃、突然一陣の涼風が駆け抜け、宴席の灯火がみな消えてしまい、辺り一面真っ暗闇になったのです。

「暗闇も、かえって涼しくてよいですな」と、みなきょうを催していたその時、諸将にしゃくをしていた荘王の寵姫ちょうきが何者かに接吻せっぷんされたのです。

寵姫は乱心を働いた者のおいかけ(=冠の左右につける扇状の飾り。老懸おいかけとも。)を奪い、暗闇の中、手探りで荘王のもとに駆け戻りました。

そして、荘王に事情を説明し、緌のない者こそが乱心者であるから、どうか罰するようにと懇願したのでした。

しかし、荘王は灯をつけようとした従者を制止し、「わしの寵姫に乱心を働くくらい、諸将は打ち解けていると言うことだ。よいか、みなの者、今すぐ緌を外すのだ」と言って、乱心者が誰かを判明しないようにし、それから再び灯火をつけさせたのです。

後年こうねん、荘王はいくさで手痛い敗北をきっした時、最後まで荘王の盾となり、身代わりになって倒れた武士もののふがいました。

荘王が「何故、そうまでして我をかばうか?」と問うと、その者は自分がいつぞやの宴席で乱心を働いた者であると告白し、その時のご恩に報いたのだ」と言って、微笑みながら死んでいったそうです。

 

相国、いまこそ呂布に情けを掛けるときでございます。

女はすぐに手に入りますが、天下はそうはいきません。

貂蟬など、呂布に与えなされ。

 

その話を聞いた董卓は感銘を受け、すぐさま考えを改め、呂布に貂蟬を譲ろうと考えるのでした。

 

鳳儀亭の池と池とをつなぐ渡殿わたどので泣いている貂蟬の前に腰掛け、董卓は貂蟬に呂布のもとに嫁ぐよう説得するのでした。

 

しかし、貂蟬は董卓をきっと睨んで「嫌でございます」と断言するのでした。

 

先ほど呂将軍はげきを抱えたまま私の方に近寄っていらして、力づくで私を鳳儀亭に連れ出したのでございます。

そのような無骨ぶこつな方に、私はとつぎたくはございません。

相国、私がお嫌いになったのなら、はっきりおっしゃってください。

私は相国を困らせたくはありません。

もし不必要な存在となりましたのなら・・・

 

その時、貂蟬は渡殿の柱に向かって駆け出し、頭を強く打ち据えたのでした。

 

貂蟬は気を失い、頭からは激しく出血しています。

 

貂蟬よ、貂蟬よ!

すまなかった!

分かったぞ、もうお前を離したりはしない。

許してくれ!

どうかわしを許してくれ!

 

李儒はその様子を目にして深く嘆息し、いつまでも天を仰ぐのでした。

 

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西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫策 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 6 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 9 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
190.1 反董卓連合軍が結成される。 29 9 35 15 36 52 29
190.2 董卓、都を長安に遷す。 29 9 35 15 36 52 29

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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