【1日5分】あらすじ三国志38「貂蟬の輿入れ」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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貂蟬の輿入れ

一度は貂蟬ちょうせんめとることが決まっていた呂布でしたが、董卓とうたくが貂蟬を献帝けんていのもとに貴妃きひ(=皇帝のきさきの称号。)として入内じゅだいさせることが決まり、呂布は悲嘆に暮れるのでした。

 

呂布は、貂蟬と来世での結びつきを祈願して別れた翌日、董卓のもとに出向き、貂蟬に対する自分の恋情れんじょうを伝えるのでした。

 

しかしなあ、奉先ほうせん(=呂布のあざな。)よ、貂蟬の入内はもう決まったことなのだ。

みことのりは発せられ、輿入こしいれは明日と決まっておる。

ここに来て入内を白紙に戻すことは、このわしでもできぬ。

だいの男が女々めめしく女一人を惜しむでない、諦めよ。

 

貂蟬をでも我が物としたい董卓は、義理の息子であり、董卓軍のかなめである呂布の懇願さえもしりぞけたのでした。

 

輿入れの日がやって来ました。

 

呂布は、王允おういんの邸宅から万楽宮まんらくきゅう(=皇帝のまう宮殿。)に向けて出発する貂蟬の馬車を、ただただ見守ることしかできませんでした。

 

車窓の奥にうつむいた貂蟬の目には、涙が光っています。

 

詔が下った以上、これより先、貂蟬は天子てんし(=皇帝。)の妃です。

 

呂布は、もはや貂蟬に手を差し伸べることもできません。

 

その夜、呂布は万楽宮の門前のきざはしに腰掛け、何を待つともなく呆然ぼうぜんとしているのでした。

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夜が明けた時、そこに王允が現れました。

 

奉先殿ではありませんか。

ここで何をしておられるのですか?

 

王允が不思議そうに尋ねると、呂布は「少しでも貂蟬の側にいてやりたいと思い、こちらにいたのです」と、憔悴しょうすいしきった様子で答えるのでした。

 

王允は驚いた表情をして、呂布に残酷な事実を伝えるのでした。

 

将軍、貂蟬はこちらにはいませんぞ。

貂蟬は郿塢びう(=董卓の御殿ごてん。)にいます。

 

王允がそう言うと、呂布は王允につかみかかり、「郿塢ですと!なぜです、なぜ郿塢にいるのです?」と詰め寄るのでした。

 

将軍。

相国しょうこく(=現在の日本で言うところの内閣総理大臣。董卓のこと。)は貂蟬を献帝けんてい入内じゅだいさせると言いましたが、その実ご自分の側女そばめに迎えたのです。

今ごろ貂蟬は、董相国の臥房がぼうにおりましょう。

 

「あの獣物けだものめ!」と、呂布は烈火れっかごとく怒り狂いました。

 

そして、すぐさま赤兎馬せきとばって、長安の郊外に位置する郿塢に急行するのでした。

 

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呂布、董卓の臥房に貂蟬を見る

郿塢に到着した呂布は、董卓が寝起きをする寝殿に向かいました。

 

呂布は、董卓とは親子の契りを交わした間柄あいだがらで、参謀の李儒りじゅと並んで董卓から最も寵愛ちょうあいされている臣下でした。

 

そのため、衛兵えいへいによる身体検査は暗黙の了解で行われず、さらに寝殿に入る時でさえも帯剣たいけんを許され、董卓の臥房まではたやすく行くことができました。

 

呂布が董卓の寝所に向かおうとすると、控えの間には、うつろな表情をして鏡の前に座っている貂蟬がいました。

 

貂蟬は呂布の姿を見ると、両の手の平で顔を覆い、呂布に背を向けてさめざめと泣くのでした。

 

将軍。

私はもはや汚れた身となりました。

将軍とは来世の契りを祈願いたしましたが、心は昔と変わらなくとも、身のけがれは未来永劫えいごう消えることはありません。

どうか私のことはお見捨て下さいませ。

 

呂布は堪まらず、貂蟬を抱き寄せます。

 

「そんなこと関係あるものか、約束したではないか」と、呂布は貂蟬を強く抱きしめるのでした。

 

貂蟬!貂蟬!

何をしておるのだ?

化粧直しはもう済んだであろう?

早くこちらに来るのだ?

聞いておるのか?

 

それは臥房にいる董卓の声でした。

 

将軍、早くここからご退出ください。

相国に見つかったら大変です!

さあ、早く!

 

その時でした。

 

肥満した体躯たいくを揺らして、控えの間に董卓がその姿を現しました。

 

奉先!

ここで何をしておるのだ?

声もかけずに臥房に侵入するとは何事だ。

もう金輪際こんりんざい、ここへの立ち入りは許さん!

早く出ていくのだ!

 

董卓の剣幕けんまくに圧倒され、呂布は一目散に郿塢を後にするのでした。

 

呂布が出て行った後、貂蟬は激しく泣いていました。

 

「どうしたのじゃ、貂蟬よ、何があったのだ?」と尋ねる董卓に、貂蟬は震えた声で訴えるのでした。

 

将軍がいきなり入っていらして、私を強引に連れ去ろうとしたのです。

怖くて、恐ろしくて、私は声も出せませんでした。

相国、私を片時かたときもお側からお離しにならないでください。

どうかお約束なさってください。

 

そう言って、貂蟬は董卓にしがみつき、いつまでも泣きじゃくるのでした。

 

奉先め、わしの息子だからと言って傍若無人ぼうじゃくぶじんな振る舞いをしおって。

これでは君臣の関係が保てぬ。

困った奴じゃ。

 

董卓が怒りをあらわにすると、貂蟬は「いけません」と言って首を横に振るのでした。

 

相国、私のために将軍と争ってはなりません。

呂将軍は軍のかなめ

相国にはこれからも将軍が必要でございます。

私がすきを見せたのが悪いのです。

どうか私を厳しくお叱りになって下さい。

 

貂蟬が余りにもしおらしく言うので、董卓は貂蟬を抱き寄せ、「分かった、分かったぞ、貂蟬」と言って、いつまでも貂蟬の頭をでるのでした。

 

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西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫策 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 6 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 9 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 14 35 51 28
190.1 反董卓連合軍が結成される。 29 9 35 15 36 52 29
190.2 董卓、都を長安に遷す。 29 9 35 15 36 52 29

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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