【1日5分】あらすじ三国志32「孫堅、劉表を攻める」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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袁術、袁紹と対立する

董卓とうたく連合だった袁紹えんしょう公孫瓚こうそんさん磐河ばんがいくさを繰り広げたことが新都長安に伝わると、董卓は喜びをあらわにしました。

 

奴らはこのわしに楯突たてついたやから

このまま戦が長引いて両者の力ががれれば、愉快この上ないのう。

 

「ですが、相国しょうこく(=現在の日本で言うところの内閣総理大臣。董卓のこと。)」と、参謀李儒りじゅがある献策をします。

 

遷都せんともつつがなく終わり、長安にも落ち着きが見られます。

しかし、またいつ相国に反対する勢力が現れ、先年のように結託してこの長安まで攻めて来るか分かりません。

袁紹と公孫瓚は一進一退の五と五分。

もう戦いたくないのが本音でしょう。

この機に袁紹と公孫瓚を和解させ、彼らに恩を売っておくのはいかがでしょうか?

和解が成立し、戦乱が収まれば、国内外に相国の威勢を示すことにも繋がりましょう。

 

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高希希監督『Three Kingdoms』の、左から董卓と李儒

 

李儒が進言すれば、董卓はそのほとんどに賛同しました。

 

今回もその多分に漏れず、董卓は袁紹と公孫瓚のもとに献帝けんていみことのりを携えた使者を送ります。

 

両者は渡りに船と、休戦して兵を退くことに合意するのでした。

 

この頃、袁紹と公孫瓚の抗争以外にも、反董卓連合に参加した諸侯の間で、様々な軋轢あつれきが生じていました。

 

曹操そうそうと袁紹しかり。

 

袁紹と孫堅そんけん然り。

 

南陽なんよう(=現在の河南かなん省西南部。荊州けいしゅう北部。記事下の地図参照。)の太守袁術えんじゅつ(=あざな公路こうろ。)も、その一人でした。

 

袁術は袁紹の異母弟で、反董卓連合では、兄である盟主袁紹の部下として連合の会計係とも言うべき役割を果たしていました。

 

しかし、袁紹の母は側室であり、彼はかねがね自分こそが袁家の嫡男ちゃくなん(=跡取り。)であるという自負を持っていました。

 

ある時、袁術は袁紹に対して、反董卓連合の取り決めにある通りの俸禄ほうろくを要求しますが、無視されます。

 

反董卓連合に参加するためにかき集めた兵馬を養うためには俸禄が必要でした。

 

その兵糧ひょうろうを手に入れるあてを失った袁術は激しく怒り、袁紹に対する憎しみを増大させるのでした。

 

兄である袁紹を攻めるには、克服しなければならない課題がありました。

 

冀州きしゅうを手に入れて足場を固めた袁紹と、その南にいる荊州けいしゅう刺史しし(=州の統括者。)劉表りゅうひょうが親密だったことです。

 

袁術が袁紹を攻めれば、必ず劉表が北上して袁紹の加勢をします。

 

そうなれば、袁術ははさちにされてしまいます。

 

そのため、袁術は、同じく袁紹に敵対心を抱いている長沙ちょうさの太守孫堅に使者を送り、自分が袁紹を攻めるので、孫堅には劉表を攻めるように要請したのでした。

 

そして、事が成就じょうじゅしたあかつきには、袁紹の治める冀州を山分けしようと持ちかけたのです。

 

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孫堅、劉表を攻める

孫堅の腹心程普ていふが長沙各地の視察から戻って来ると、長江には大小500を超える軍船が浮かんでいて、そこに兵馬や兵糧を積み込む作業の最中であり、まさに臨戦態勢の状態にありました。

 

程普は血相けっそうを変えて孫堅のもとに急ぎます。

 

ご主君、これは一体どういう事でしょうか?

ご主君はどこを攻めようと言うのでしょうか?

 

孫堅は、袁術から劉表攻撃を要請する使者が訪れたことを程普に伝えました。

 

ご主君、袁術がその密約を守るとお思いですか?

袁術は袁紹の弟。

きっと袁紹と同じで腹の中は真っ黒。

ご主君を利用するだけ利用して、最後には裏切るつもりに相違そういございますまい。

何より、ご主君が劉表を攻めるには大義名分がございません。

国の民が納得しない戦に加担するべきではございません。

 

孫堅は大笑たいしょうして言いました。

 

大義名分ならあるではないか。

反董卓連合から離れ、この長沙に帰る折、劉表は袁紹の要請を受けてわしを攻めたではないか。

あの時、一体どれだけの江東こうとう(=長江下流域。孫堅の地盤。)の兵が殺されたことか。

それに、袁紹は我が孫氏にとっては不倶戴天ふぐたいてんの敵。

反董卓連合では、奴が兵糧をよこさなかったばかりに我が軍はいくさに破れ、祖茂そもは死に追いやられた。

この長沙に戻る途中にも軍を繰り出し、我らを散々痛めつけたではないか。

この江東には、袁紹と劉表に恨みを抱く者は多かろう。

劉表を倒して荊州を手に入れる、今がその絶好の機会なのだ。

 

程普は、それ以上諫言かんげん(=目上の者の誤りを指摘して改善を促すこと。)しませんでした。

 

孫堅の心の中には、明らかに天下取りへの野望が燃え立っていたからでした。

 

そして、その野望をきつけたのは、程普自身でもあったからでした。

 

天下に覇を唱えるためには中原ちゅうげん(=黄河中下流域。中国の中心。)を押さえる必要があります。

 

そして、その足場となるのが、劉表が治める荊州だったのです。

 

孫堅は、すでに伝国璽でんこくじ(=歴代の帝王が継承して来た伝国の印綬いんじゅ。孫堅は廃墟と化した洛陽で、井戸に沈んだ女人の死体が帯びていた伝国璽を発見し、江東に持ち帰っていた。)の魔力に取りかれていたのでした。

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西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫堅 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 26 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 29 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28
190.1 反董卓連合軍が結成される。 29 9 35 35 36 52 29
190.2 董卓、都を長安に遷す。 29 9 35 35 36 52 29

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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