【1日5分】あらすじ三国志31「劉備と趙雲の出会い」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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界橋の戦い②

公孫瓚こうそんさん厳綱げんこう将軍を大将に指名し、白馬の騎兵で袁紹えんしょうを攻めました。

 

しかし、袁紹軍の先陣麹義きくぎ率いる一千張の弩弓手どきゅうしゅ隊が放った矢を浴び、公孫瓚は出鼻でばなくじかれます。

 

総崩れになった公孫瓚の兵は、今度は左右から顔良がんりょう文醜ぶんしゅう挟撃きょうげきされ、敢えなく厳綱は討ち取られてしまうのでした。

 

麹義は慌てふためく敵兵を蹴散らし、破竹はちくの勢いで公孫瓚の本陣に向けて進撃をします。

 

ところが、麹義の前に一つの小隊が立ちふさがります。

 

麹義がその部隊を粉砕しようと突進すると、その小隊はいつの間にか末広がりに麹義の兵たちを取り囲み、一斉に矢を射かけるのでした。

 

「これはたまらじ」と、麹義が退却しようとすると、後方にはすでに一人の武士もののふが麹義の行手をはばんでいました。

 

その武士は「待ちかねておったぞ、お命頂戴ちょうだいする」と言って、一瞬にして麹義の体をやりで貫いたのでした。

 

昨日、公孫瓚から下賜かしされた白馬の毛並みが、麹義の返り血によってまたたく間にしゅに染まっていきます。

 

それは、後軍こうぐんに配されていた趙雲ちょううんでした。

 

いざ反撃の時である!

方々かたがた、我に続け!

 

挿入画像

高希希監督『Three Kingdoms』の趙雲

 

趙雲の小隊はせきを切るようにして、袁紹軍の本営目指して突進していきます。

 

形勢逆転。

 

その巧みな槍さばき、軽々とした馬上での身のこなし、「きっと名のある豪傑ごうけつに違いない」と、袁紹の兵たちはこぞって趙雲の首級を狙いに行きます。

 

しかし、寄れば最後、敵兵はあっという間に趙雲の槍に貫かれ、その命を散らしていきます。

 

たとえ将軍と言えども、数合とかからずに趙雲の槍の餌食となり、馬からたやすく転げ落とされるのでした。

 

田豊でんぽうよ、公孫瓚の白馬陣はくばじんも見掛け倒しであったのう。

これで我が冀州きしゅう盤石ばんじゃく

続けて公孫瓚の領する北平ほくへいを平らげる日も近かろう。

 

勝ちを確信している袁紹のもとに、ひゅっと一本の矢が飛来します。

 

袁紹は雨粒を確認するようにして右の手の平を前に差し出しながら、不思議そうに前方を眺め渡します。

 

すると、今度は無数の矢が空から一斉に降り注いできました。

 

油断していたところに、おびただしい数の矢が俄雨にわかあめのごとく、突然降り注いできたので、袁紹の軍は大混乱におちいりました。

 

その混乱の中、趙雲は単騎で砂煙を上げながら、槍を振り回して正面から突進して来ます。

 

袁紹の兵は左右に、そして上下に吹き飛ばされ、いつか趙雲の前には敵兵が寄り付かなくなるのでした。

 

袁紹、出てこい!

常山じょうざんの趙子龍しりょう(=「子龍」は趙雲のあざな。)がお相手いたす!

 

袁紹の兵が趙雲に気を取られていると、今度は左右から突然趙雲の兵が現れ、袁紹の後軍をすっかり取り囲んでいるのでした。

 

田豊は袁紹に進言しました。

 

ご主君、旗色が悪うございます。

このままでは、我が軍は全滅を免れません。

どうか後方の敵軍を切り崩し、冀州城へお逃げください。

 

しかし、袁紹は「退いたところを流れ矢に当たって死ぬは袁家の恥である」と言って抜刀ばっとうすると、号令一下、趙雲の部隊に向けて突撃するのでした。

 

そこに、本陣危うしの報を聞いて駆けつけてきた顔良と文醜が加わり、今度は俄然がぜん袁紹有利に変わっていきます。

 

趙雲と言えども、500の兵では限界があります。

 

趙雲の活躍を聞いて安心しきっていた公孫瓚は、今度は「お味方劣勢」の報に接し、「日に二度負けることがあろうか!」と地団駄じだんだを踏みます。

 

やや、無念・・・

えつ(=公孫越。袁紹に殺害された公孫瓚の弟。)よ、お前のかたきは後日必ず取ろうぞ!

 

そう言って公孫瓚は馬にまたがり、退却しかけたその時でした。

 

袁紹の反撃を食い止めようとする、新手の勢力が磐河ばんがに駆け付けてきたのでした。

 

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劉備、趙雲と出会う

一体どこの誰が加勢に参ったのか?

 

公孫瓚は馬をって前線におもむき、袁紹の反撃をさえぎる者の姿をその目で捉えようとしました。

 

双剣の若人わこうど青龍偃月刀せいりゅうえんげつとう美髯公びぜんこう蛇矛じゃほこ・じゃぼうの虎。

 

それは紛れもなく、劉備りゅうび三兄弟でした。

 

平原へいげんの劉備推参すいさん

袁紹、その首もらい受ける。

 

劉備はそう言って、関羽かんう張飛ちょうひとともに袁紹の軍に向かって攻撃を仕掛けます。

 

中でも張飛は、諸侯の面前で袁紹に罵倒ばとうされた恨みを忘れてはいませんでした。

 

物凄い殺気を漂わせ、袁紹の兵たちを次々になぎ倒して行きます。

 

挿入画像

高希希監督『Three Kingdoms』の劉備三兄弟(左から関羽、劉備、張飛)

 

ご主君。

撤退いたしましょう。

本日は痛み分けでございます。

冀州城に戻り、捲土重来けんどちょうらいを期すのです。

 

田豊は袁紹の腕に取りすがりながら説得します。

 

あと一歩のところであったのに・・・

これだけの損害を与えながら、勝鬨かちどき(=勝利を祝して挙げる掛け声。)を挙げて帰れぬとは!

 

袁紹は泣く泣く、冀州城に向けて退却したのでした。

 

「初めから貴公を先鋒せんぽうとするべきであったのに…」と、公孫瓚は趙雲の手を取って詫びるとともに、再び命を救ってくれたことに対して感謝するのでした。

 

また、遠く平原から駆けつけ、絶体絶命の危機から救ってくれた劉備三兄弟に対して、公孫瓚は「かたじけない、かたじけない」と深々と礼を述べるのでした。

 

伯圭はくけい(=公孫瓚の字。)殿、袁紹は勅命によって冀州太守に任じられた韓馥かんふく排斥はいせきし、冀州を乗っ取りました。

言うなれば、これは漢に対する袁紹の謀反むほんです。

漢の末裔まつえいである私は、当然袁紹と戦わねばなりません。

まして、伯圭殿はともに盧植ろしょく先生のもとで学んだ学友であり、事あるごとに我ら三兄弟をお引き立て下さった。

今日お助けするのは義務であり、加えて我ら三兄弟の喜びでございます。

どうかうやうやしく礼を述べられませんように。

 

側で聞いていた趙雲は、まるで雷に打たれたかのように、劉備の姿に釘付くぎづけになるのでした。

 

仁義のお方である。

そして、少数の兵しか持たぬに、万余の袁紹軍に挑む信念の人である。

私もあの方のもとで、終生あの方に尽くして生きていきたい。

 

それは、まさに恋慕れんぼの情に近いものでした。

 

趙雲は劉備の前にひざまずくと、懇願こんがんするように切々と言いました。

 

劉備殿、どうかこの趙雲をお取り立てになって、旗下きか一兵卒いっぺいそつにお加えください。

どうか、どうか!

 

劉備は趙雲の手を取ると、「それはこちらがお願いしたい事ではあるが・・・」と、少し間を置いてからまた答えました。

 

今、伯圭殿には貴公が必要である。

ご覧の通り、我ら三兄弟の手勢は少ない。

思う存分、貴公に活躍してもらうだけの 地盤もない。

和氏かしへき(=「完璧」の語源となった名高い宝玉。)を箱にしまっておくのは忍びないのです。

その節が来ましたら、またお会いすることもありましょう。

その時こそ、大漢だいかん復興のため、ともに立ち上がりましょうぞ。

 

劉備が諭すように言うと、趙雲は君臣が交わす契りでもあるかのように、「はっ、必ずや」と言って後の再会を約束するのでした。

 

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西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫堅 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 26 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 29 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28
190.1 反董卓連合軍が結成される。 29 9 35 35 36 52 29
190.2 董卓、都を長安に遷す。 29 9 35 35 36 52 29

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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