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趙雲、世に出る
立脚地を求めていた袁紹は策謀によって冀州(=現在の河北省中南部。記事下の地図参照。)を奪取すると、冀州の領地を折半するという公孫瓚との密約を守らず、その上公孫瓚の弟公孫越を殺害してしまいました。
公孫瓚は怒りに震え、州境の磐河より袁紹を攻めましたが、袁紹軍第一の武士文醜に反撃され、絶体絶命の状態となりました。
そこに突然、公孫瓚の盾となって文醜の槍を遮る者が現れました。
眉は濃く、眼光は鋭く、まだ年少でしたが、この人ありと知られた文醜を前にしても、微塵も恐れる様子はありません。
両者が槍を交えること七、八十合、そのうちに散り散りになっていた公孫瓚の兵らが集結してきました。
深入りしていた文醜は危険を感じ、「この勝負預けた!」と言って陣に引き返して行くのでした。
公孫瓚が尋ねると、その者は恭しく礼をし、丁寧な口調で答えました。
はっ、私は常山真定(=現在の河北省正定。)の趙雲、字は子龍と申す者でございます。
袁紹の反董卓の旗揚げに呼応し、袁紹の軍に帯同しておりましたが、袁紹の優柔不断な行軍に見切りをつけ、故郷である常山に帰る途中でございました。
「そなたがいなければ、公孫家は滅んでいただろう」と、公孫瓚は趙雲に礼を述べました。
そして、その気があれば自分に仕えるよう求めるのでした。
仕えるかどうかは、すぐには決めかねますが、今は将軍の危機と存ずる。
まして、袁紹は漢の勅命を受けて太守を務めていた韓馥を追い出した逆賊です。
私が必要とあれば、お力添いを致しましょう。
公孫瓚は陣営に戻ると、自身の所有する白い駿馬の一つを趙雲に与え、救命の恩に報いるのでした。

界橋の戦い①
槍の名手趙雲を味方につけたことで息を吹き返した公孫瓚は、翌日、陣形を整えて再び磐河まで兵を進めました。
「ほう、これが世に名高い白馬陣か」と、袁紹は参謀の田豊に向かって言いました。
公孫瓚はかつて勅命によって遼東に駐屯し、漢に抗う烏桓族など北方の異民族をよく斥けました。
その際、整然とした白馬による陣形で敵を圧倒したことから、公孫瓚の部隊は「白馬陣」と言われて非常に恐れられたのでした。
この日も中央に歩兵を並べ、その両翼に騎兵を配置する白馬陣で臨みました。
白馬陣は歩兵隊を前後させ、敵兵を誘き寄せた後に両翼の騎兵で挟み撃ちにする攻撃型の布陣で、公孫瓚の袁紹に対する憤怒の現れでもありました。
昨日公孫瓚の味方となった趙雲でしたが、まだその素性が計り知れないという理由から前線への起用には家臣らの反対も多く、わずか500の兵を与えられたのみで、後詰として後方に配され、臨機応変に劣勢の部隊に加勢する任務が下されました。
対する袁紹は、もと韓馥の臣下で、涼州で育ったことから羌族(=中国西北の異民族。)の戦法を身につけていた麹義が先鋒に抜擢されました。
麹義は当然、この冀州磐河の地にも詳しく、騎馬兵の槍を遮るための楯を構えた歩兵800と、一千張の強弩(=西欧におけるボーガンのような形状をした、極めて殺傷能力の高い飛び道具。)隊を率いました。
中軍には騎兵隊、弩弓手隊、槍撃隊を配し、これを大将の田豊が指揮しました。
公孫瓚の先鋒厳綱が撃って出ます。
金糸で「帥」の文字が縫われた幟(=大将の軍を示す。)が翻ります。
麹義の前軍に達するまであとわずか。
にじり寄ってもにじり寄っても、麹義の部隊は動きません。
袁紹は白馬陣を恐れておる!
者ども、突撃!
公孫瓚は業を煮やし、突撃命令を出しました。
麹義が不敵に笑います。
その瞬間でした。
麹義の号令が下ると、千張の強弩から一斉に無数の矢が降り注ぎました。
空が矢で覆われ、辺りが暗くなるほどの激しい攻撃でした。
公孫瓚の騎兵は次々に倒れて行きます。
強弩の矢による攻撃が収まると、今度は左右から銅鑼が鳴り響きました。
厳綱が見回すと、左からは顔良、右からは文醜が攻め寄せ、白馬陣はあっという間に挟み撃ちにされてしまいました。
顔良は厳綱を見つけるとこれを一刀のもとに斬って捨て、併せて「帥」の幟を奪って河中に放り込んでしまいました。
公孫瓚が慌てて退却すると、麹義の部隊は公孫瓚目掛けて突進して行きます。
公孫瓚はこれを防ごうとしますが、勢いが違います。
公孫瓚は前日に続き、またもや敗走する羽目になったのでした。
西暦 | 出来事 | 年齢 | ||||||
劉備 | 孔明 | 曹操 | 孫堅 | 袁紹 | 董卓 | 呂布 | ||
前202 | 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。 | |||||||
前157 | 景帝が漢の皇帝に即位する。 | |||||||
168 | 霊帝が漢の皇帝に即位する。 | 7 | 13 | 13 | 14 | 30 | 7 | |
181 | 何氏が霊帝の皇后となる。 | 20 | 26 | 26 | 27 | 43 | 20 | |
184 | 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 | 23 | 3 | 29 | 29 | 30 | 46 | 23 |
189.5 | 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 | 28 | 8 | 34 | 34 | 35 | 51 | 28 |
189.9 | 少帝が廃位され、献帝が即位する。 | 28 | 8 | 34 | 34 | 35 | 51 | 28 |
190.1 | 反董卓連合軍が結成される。 | 29 | 9 | 35 | 35 | 36 | 52 | 29 |
190.2 | 董卓、都を長安に遷す。 | 29 | 9 | 35 | 35 | 36 | 52 | 29 |
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