【1日5分】あらすじ三国志27「孫堅、伝国璽を手に入れる」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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曹操受難

董卓とうたく連合の猛攻に恐怖した董卓は都洛陽らくよう(=現在の河南省西部。司隷(司州)。漢の都があった。記事下の地図参照。)に火をかけ、献帝けんていとともに、新都と定めた長安ちょうあんに向かっていました。

 

洛陽に留まる連合軍の盟主袁紹えんしょうらを尻目しりめに、曹操そうそうは1万余の兵で董卓を猛追します。

 

しかし、滎陽けいよう城を過ぎた山間部で呂布りょふ伏兵ふくへいに遭い、全軍総崩れの状態となりました。

 

曹操は呂布を目にすると、元来た滎陽城の方に、一目散いちもくさんに逃げ出しました。

 

人中じんちゅうに呂布あり、馬中ばちゅう赤兎せきとあり」という尊称は伊達だてではありません(=単なる飾りや見掛け倒しではない)。

 

呂布は方天戟ほうてんげきを、さも自分の腕のように操り、曹操を守護する兵士を次々に蹴散らしていきます。

 

ご主君!

ご主君!

 

そこに、一人の武士もののふが董卓軍の兵士をなぎ倒しながら、曹操の方に近づいてきました。

 

曹操の腹心夏侯淵かこうえんです。

 

夏侯淵は手持ちの2500の兵を分割し、500の兵に曹操の護衛を命じると、自身は残りの兵でその十倍の呂布軍の猛攻を防ぐのでした。

 

曹操は再び滎陽城の方に急ぎますが、その途中で、今度は待ち伏せしていた滎陽の太守徐栄じょえいの軍勢に阻まれます。

 

これも李儒りじゅの策謀でした。

 

徐栄は曹操を見るや、「えいや!」と弓に矢をつがえて曹操を射殺そうとします。

 

徐栄の矢は曹操の右肩に命中し、曹操は馬の立て髪にうつ伏せになったまま身動きが取れなくなりました。

 

すると、今度はそこに夏侯惇かこうとんの手勢が現れ、曹操の馬の尻を蹴飛ばして駆け出させると、自ら盾となって徐栄を迎え撃つのでした。

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高希希監督『Three Kingdoms』の夏侯惇

 

曹操は滎陽城の外れ、大河に行手ゆくてはばまれてとうとう馬から転げ落ちます。

 

辺りには誰もいません。

 

天は我に死に場所を与えなさった。

董卓の暗殺に失敗し、陳留ちんりゅうで決起して董卓を都落ちさせるところまで来たと言うに、実に無念である。

今ごろ袁紹は笑っておろうな。

 

そう言って剣を抜くと、曹操は自分の首筋にぴたりと沿わせ、一気にで下ろそうとしました。

 

兄上!

行けません、兄上!

 

それは曹洪そうこうの声でした。

 

兄上、早まってはなりません!

私などはいつ死んでも構わぬ身ですが、曹操はこの世にはなくてはならぬお方。

生きねばなりません!

生きねばなりません!

 

窮地に陥るたびに、この日は夏侯淵や夏侯惇、そして曹洪が助けに来ました。

 

大河を渡り切った後も、再び徐栄の兵に攻め立てられますが、今度は曹仁そうじん楽進がくしん李典りてんが助けに入りました。

 

敵を撃退した彼らは、手に手を取って曹操の無事に歓喜するのでした。

 

思い起こせば、董卓暗殺に失敗し、逃避行の末に逮捕された時も、陳宮によって救われました。

 

天が生きよと言うからには、生きねばならぬのう。

しかし、私はなんと家臣に恵まれた男か。

人とは国にも優るものだ。

 

後の話になりますが、曹操が荀彧じゅんいく郭嘉かくか程昱ていいく(=いずれも曹操の参謀。)などの名士を貪欲どんよく招聘しょうへいし、また敵であった関羽かんう(=劉備りゅうびの義弟。)や徐庶じょしょ(=劉備の軍師。)までもを求めるなど、天下に広く人材を集めることを積極的に行なったのは、この時の経験からでした。

 

命からがら滎陽を脱出した曹操は、腹心らとともに河内かだい郡(=現在の河南かなん省。)へ向かい、再起を図るための兵馬を募るのでした。

 

こうして、曹操は後の「」建国の土台を築く準備に入るのでした。

 

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孫堅、伝国璽を手に入れる

曹操が董卓軍に散々に打ちのめされたという一報が入ると、袁紹は「それ、見たことか!」と高笑いをしました。

 

わしの言うことを聞かぬから、このような痛い目を見るのだ。

勝手に逃げ帰りおって。

曹阿瞞そうあまん(=「阿瞞」は曹操の幼名。曹操と袁紹は幼なじみ。)は悪童であった頃の無道がまだ抜け切れていないらしい。

なんと勝手なやからよ。

 

しかし、この曹操の行動以外にも、もともと一枚岩でなかった反董卓連合軍にはほころびが生じ始めていました。

 

ある夜、長沙ちょうさの太守孫堅そんけん廃墟はいきょと化した洛陽の都を巡回し、荘厳な御殿の内部を臨検していた時のことでした。

 

報告!

どこからか不思議な五色ごしきの光が差しています。

 

その頃は野良犬の遠吠えか、女の叫び声しかしない旧都洛陽に、その兵士の報告は響き渡りました。

 

孫堅が行ってみると、なるほど五色の光が洛陽のみやびな屋敷ののきをゆらゆらと照らしているのです。

 

この光はどこから差しているのか?

 

孫堅がそう聞くと、兵士たちは「恐らく、この井戸の中からかと」と答えました。

 

井戸の中を調べさせると、なんとその井戸の中からはうるわしい錦織にしきおりの着物に身をまとった女人の死体が発見されたのでした。

 

きっと名のある高家の令嬢であろうその女人は、よく見ると紫金襴しきんらんの袋を首に掛けていました。

 

袋には、金糸銀糸で瑞鳳彩雲ずいほうさいうん刺繍ししゅうが施されています。

 

孫堅がその袋の中をあらためさせると、その中には四寸四方のぎょくの印綬のようなものが入っていました。

 

なんだ、これは・・・

言われのある代物しろものに違いあるまい。

これ、ひそかに程普ていふを呼んで参れ。

 

腹心の程普は古今の学に通じた知恵者でした。

 

程普は松明たいまつの明かりでその印をよく眺めてから、ましこまりながら言いました。

 

受命于天

めいを天にく・・・

私はこんな話を聞いたことがございます。

かつて荊山けいざん(=現在の湖北こほく南張なんちょう県西部にそびえる山脈。)の古人は、鳳凰ほうおうむという石の心部を切り出し、それを文王ぶんおうに献上したと言います。

文王はその石を名工に磨かせ、国宝としていましたが、しん始皇帝しこうていが楚を討伐して石を手に入れると、丞相じょうしょう(=現在の日本で言うところの総理大臣。)の李斯りしに命じて見事な玉璽ぎょくじに加工させ、その時に彫らせたのが、この「命を天に受く」の文字なのです。

その玉璽が、秦を打倒した大漢だいかんにも伝わり、高祖こうそ(=初代皇帝。)劉邦りゅうほうから現在に至るまで脈々と受け継がれてきたのです。

ご主君、これは紛れもなく伝国の玉璽でございます。

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孫堅は呆気あっけにとられ、言葉を発することが出来ませんでした。

 

なぜこの伝国璽が自分のもとに巡ってきたのか、その意味を推し量ることで精一杯だったのです。

 

その孫堅の気持ちを察するように、程普は敢えて孫堅の数歩後ろに引き下がって叩頭こうとう(=床に頭をつける最敬礼の形。)し、うやうやしく言いました。

 

ご主君、これは天からの啓示でございます。

どうか江東にお帰りになって地盤を固め、行く行く先は中原ちゅうげん(=黄河中下流域。中国の中心。)に覇をお唱えになり、帝位にいて天下に号令を下されるのです!

 

曹操が己の地盤を固める決意をしたのと同時に、孫堅もまた伝国璽を手に入れたことで、「」の国の土台を固める準備に取り掛かる決意をするのでした。

 

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西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫堅 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 26 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 29 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28
190.1 反董卓連合軍が結成される。 29 9 35 35 36 52 29
190.2 董卓、都を長安に遷す。 29 9 35 35 36 52 29

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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