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呂布、三兄弟を相手にする
呂布と張飛の一騎討ちは膠着状態のまま、数十合に及びました。
しかし、呂布の手足の如く、機敏に反応を続ける赤兎馬に比べて、張飛の凡馬はさすがに動きに精彩を欠くようになっていました。
そのせいもあってか、呂布の巧みな方天戟の攻撃に、張飛が対応できないことが多くなってきました。
張飛が防戦一方になると、それをいいことに董卓の兵が接近して呂布に加勢する構えを見せました。
諸侯たちが固唾を飲んで見守っている中、張飛の方に走り寄る二人の武士の姿がありました。
一人は馬の手綱から手を離し、長短ニ双の剣を持って呂布の方に突進していきます。
もう一人は人間の背丈よりも長い青龍偃月刀を右手に引っ提げ、「下がれ、下臈(=身分の低い、下賤の者。)ども!」と叫んで董卓の兵たちを牽制しました。
劉備と関羽です。
それからまた数十合と、呂布と張飛の鉾は交わり、交わるたびに激しい鋼の音が響き、時折火花が飛び散って周囲の兵たちの歓声を巻き起こすのでした。
刹那、呂布の戟が張飛の蛇矛を捉えて天に跳ね飛ばしてしまいました。
張飛は慌てて抜刀し、呂布の攻撃に備えますが、太刀では到底呂布の方天戟には敵いません。
張飛が「やや、まずい」と思ったとき、劉備が大喝して伝家の名刀を振り上げ、呂布に斬りつけます。
劉備は撃剣の嗜みがあるため、さすがの呂布も戟を両手に持ち変えてニ双の剣の攻撃を防ぎます。
そのうち、今度は関羽が青龍偃月刀で呂布に斬り込んできます。
息を吹き返した張飛は蛇矛を拾い上げ、呂布に再度襲いかかります。
呂布は、しかしこの状況に笑みさえ浮かべながら、「面白い、三人まとめてあの世へ送ってくれようぞ!」と叫ぶや、こちらも意気盛んに戟を自在に振り回してえいやと攻撃するのでした。
諸侯たちは四人の死闘を、しばし戦を忘れて見入ってしまうのでした。

反董卓連合軍の反撃
今度は呂布が防戦一方になりました。
劉備三兄弟と互角以上に渡り合うこと三十合を超えた辺りで、「この勝負預けた」と言って呂布は虎牢関に退こうとします。
「あ、待て」と劉備は呂布を追い掛けます。
いつ散るとも分からぬ武士の道。
この勝負に明日はない。
劉備は叫んで短刀を投げつけます。
しかし、赤兎馬の速さは予想以上です。
呂布は獅子皮につけた弓箭から、にわかに弓を取り出してひょっと劉備に向かって矢を射ました。
呂布は弓の名手。
百歩離れた獲物を射ることもできました。
呂布は赤兎を虎牢関に向かって走らせながら、身を反転して矢を放ちます。
放たれた矢は、劉備の肩の辺りをかすめました。
それを見た関羽は劉備の前に割って入り、次に放たれる矢の飛来に備えます。
劉備は、今や執念の人になっていました。
関羽と張飛は、「命を捨ててでも劉備の志に報いたい、劉玄徳(=「玄徳」は劉備の字。)を男にしたい」、その一心で必死に呂布を追いかけるのでした。
「人中に呂布あり、馬中に赤兎あり」とはよく言ったもので、赤兎馬は当代一の名馬です。
呂布との距離はみるみる離れ、やがて虎牢関の城内に吸い込まれていきました。
城門付近まで辿り着くと、三人の頭上には雨のように矢が降り注ぎ、これでもかというほどの投石が行われます。
歯がみする関羽と張飛に、劉備は声を掛けました。
こうなっては致し方ない。
城外に取り残された敗残兵の掃討に当たるぞ。
劉備は駒を返し、大将を失って右往左往する董卓の兵に斬り込むのでした。
連合軍の本営でも、曹操がすぐに袁紹に進言します。
本初(=袁紹の字。)殿、これは千載一遇の好機。
この機に乗じて董卓の兵を追撃し、出来る限り西涼(=涼州。)の兵を叩きましょう。
袁紹は直ちに十八鎮諸侯に号令を下し、全軍を挙げて董卓の兵を討つことを命じたのでした。
西暦 | 出来事 | 年齢 | ||||||
劉備 | 孔明 | 曹操 | 孫堅 | 袁紹 | 董卓 | 呂布 | ||
前202 | 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。 | |||||||
前157 | 景帝が漢の皇帝に即位する。 | |||||||
168 | 霊帝が漢の皇帝に即位する。 | 7 | 13 | 13 | 14 | 30 | 7 | |
181 | 何氏が霊帝の皇后となる。 | 20 | 26 | 26 | 27 | 43 | 20 | |
184 | 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 | 23 | 3 | 29 | 29 | 30 | 46 | 23 |
189.5 | 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 | 28 | 8 | 34 | 34 | 35 | 51 | 28 |
189.9 | 少帝が廃位され、献帝が即位する。 | 28 | 8 | 34 | 34 | 35 | 51 | 28 |
190.1 | 反董卓連合軍が結成される。 | 29 | 9 | 35 | 35 | 36 | 52 | 29 |
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