【1日5分】あらすじ三国志22「勇将華雄」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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祖茂の忠義

董卓とうたく連合軍の先鋒せんぽう孫堅そんけんと、董卓の先陣華雄かゆうは都洛陽らくよう(現在の河南省東部。司隷(司州)。漢の都があった。記事下の地図参照。)の東で対峙たいじしました。

 

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高希希監督『Three Kingdoms』の孫堅

 

戦況は一進一退、孫堅は長期戦を覚悟し、反董卓連合の盟主袁紹えんしょうに兵糧の輸送を要請しました。

 

しかし、孫堅の活躍をこころよく思わなかった袁紹は、孫堅の求めに全く応じなかったのでした。

 

ある日、「どうも最近、孫堅そんけん軍の様子がおかしいのです」と、華雄軍の偵察兵が李粛りしょくに報告をしました。

 

孫堅軍の兵士にはどこか活気がなく、最近では炊飯の煙が全く上がらないのです。

兵站へいたん(=戦線に食料や軍需物資を供給すること。)になにか問題が生じたのではないでしょうか?

 

その知らせを受けて、李粛は次の日にも他の偵察兵に事情を聞きました。

 

敵の糧道(=兵糧を運ぶ道。)はどうだ?

敵の馬は肥えておるか?

些細なことでもいい、何か変わったことはないか?

 

偵察兵は、「ここ一か月半ほど、敵の糧道には荷馬車の往来はありません。また、敵陣の馬はみな痩せ衰えています」と答えました。

 

では、敵の兵士はどんな歌を口ずさんでおるか?

 

李粛がもう一度尋ねると、偵察兵は「みな口々に望郷の歌を歌っています」と返答するのでした。

 

それを聞いた李粛は、ただちに華雄のもとを訪れて言いました。

 

将軍。

我々が勝利する時が来ました。

敵はなんらかの事情で兵糧を絶たれています。

連合軍といえども、まだ一枚岩ではないのでしょう。

今宵こよい、私は孫堅軍の糧道に回り込み、背後から奇襲をかけます。

将軍は正面から孫堅の陣屋を攻め、見事孫堅を生け捕って大功をお挙げください。

 

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高希希監督『Three Kingdoms』の華雄

 

結果は目に見えていました。

 

腹を空かせた孫堅軍の兵士に覇気はなく、華雄軍が地鳴りを上げて攻めてくると、みな斬り殺されるか逃げ去るかのどちらかでした。

 

敗走する兵は散々に打ちのめされ、孫堅は腹心の程普ていふ黄蓋こうがいとも行方知れずとなり、近習きんじゅう租茂そもが付き従うのみとなっていました。

 

ご主君、ご主君、その朱錦襴しゅきんらんかぶとをお脱ぎなされ。

その兜はあまりに目立ちすぎます。

 

孫堅は祖茂の言葉に従い、朱錦襴の兜を民家の軒先に掛け、密林にひそんだのでした。

 

兜には一斉に矢が降り注ぎます。

 

兜が軒先のきさきに掛けられていることに気がつくと、華雄は「江東こうとうの犬め、卑怯ひきょうなり」と罵声ばせいを浴びせました。

 

「ご主君、私がおとりになりますゆえ、そのすきにお逃げください」と祖茂は言うなり密林から飛び出し、華雄に襲いかかります。

 

しかし、華雄の一振りで祖茂の首はあっけなく斬り落とされてしまいました。

 

孫堅は祖茂の忠義に涙しながら、諸侯たちの集う本営に向かって逃げるのでした。

 

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勇将華雄

後陣の鮑忠ほうちゅうが抜け駆けして3千の兵とともに討死うちじにし、今度は孫堅軍が大敗を喫して全滅に近い状態になりました。

 

その勢いに乗じて、華雄軍が諸侯らが集う連合軍の本陣に迫っているという知らせが届くと、袁紹えんしょうら諸侯は青ざめました。

 

うぬ、華雄め。

董卓には呂布りょふ李傕りかく郭汜かくしだけでなく、これほどの猛者もさがいたとはな。

誰か華雄の首を取れるものはおるか?

 

袁紹がそう言うと、「私が参りましょう」と名乗りを上げる者がいました。

 

袁紹の寵臣ちょうしんで、武勇の誉れ高い兪渉ゆしょうです。

 

兪渉が名乗りを上げると同時に、劉備りゅうびの背後に控えていた関羽かんうが歩み出ようとしました。

 

しかし、劉備は軽く左手を差し出して関羽を制し、首を軽く振りました。

 

よくぞ申した!

兪渉よ、ただちに華雄の首を取ってまいれ!

 

「はっ」と言って勇ましく本陣を飛び出して行った兪渉でしたが、出陣して間もなく、血塗ちまみれになった兪渉配下の兵士が駆け込んで来て報告しました。

 

兪渉将軍は華雄と矛をまじえましたが、わずか七合しちごうで討死なされました!

 

この知らせに、一同はきもを冷やしました。

 

袁紹は顔面蒼白そうはくとなり、さすがの曹操も酒をあおって心を落ち着かせることしかできません。

 

華雄の軍勢がを鳴らし、地鳴りを上げて迫って来るのが聞こえます。

 

偵察兵の話では、華雄は竿さおの先に孫堅の兜と兪渉の首をくくり付け、「逆賊、出合であえ!」と罵詈雑言ばりぞうごんを放っているとのこと。

 

呆気あっけにとられる諸侯の中から、冀州きしゅう(=現在の河北かほく省を中心とした地域。)刺史しし(=州の統括者。)の韓馥かんふくが笑いながら言いました。

 

諸侯ら、慌てなさるな。

わが配下に潘鳳はんほうなる武将がおります。

武勇に優れ、百戦錬磨れんま強者つわものです。

この者に、華雄を討たせましょう。

 

火焔斧かえんふげて、潘鳳が諸侯の面前に召されました。

 

見るからに豪傑です。

 

曹操は杯に酒を注ぎ、潘鳳に与えました。

 

潘鳳は一気にそれを飲み干すと、「では!」と言って華雄のもとに撃って出ます。

 

しかし、潘鳳もまたあっけなく、華雄の太刀たち餌食えじきとなるのでした。

 

華雄軍のときの声(=士気を鼓舞したり、勝利を祝して歓喜したりする時の掛け声。)が響きます。

 

袁紹は歯がみしながら、嘆息たんそくして言いました。

 

おのれ、我が勇将の顔良がんりょう文醜ぶんしゅうのどちらかを帯同させておれば、華雄ごときすぐに倒せるのだがなあ。

 

その時、一人の大男が諸侯の前に歩み出ました。

 

そして、その男は長く美しいひげを左手でしごきながら、「私が華雄の軍に斬り込み、華雄の首を取ってご覧に入れましょう」と豪語するのでした。

 

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西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫堅 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 26 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 29 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28
190.1 反董卓連合軍が結成される。 29 9 35 35 36 52 29

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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