【1日5分】あらすじ三国志2「黄巾賊の反乱」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

アイキャッチ画像 三国志

 

【1日5分】あらすじ三国志「一覧」はこちらから!

三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

スポンサーリンク

黄巾の乱勃発

漢の第12代皇帝霊帝れいていの時代になって、400年近く続いた漢王朝を揺るがす大事件が起こります。

 

中平ちゅうへい元(184)年、道教どうきょうの一派である太平道たいへいどうの教祖張角ちょうかくが反乱を起こしたのでした。

 

彼の信者は武装し、口々に

 

蒼天そうてんすでに死す

黄天こうてんまさに立つべし

歳は甲子こうしに在りて

天下大吉だいきち

《通釈》

青い空は消え失せ

いまにも黄色い空が立ち昇る

甲子きのえねの年(=徳の高い人物に天命が下される年。)になって

天下は幸いに包まれる

 

と叫び、みな黄色い頭巾ずきんを身につけていたことから、黄巾賊こうきんぞくと呼ばれるようになりました

 

甲子きのえね・・・中国の春秋しゅんじゅう戦国時代に発達した陰陽五行説いんようごぎょうせつでは、「甲乙こうおつ」などの十干じっかんと、「子丑ねうし」などの干支えとが60通りに組み合わされ、それぞれの年に割り当てて吉凶を占うが、「甲子」はその組み合わせの一つ。

還暦かんれき」(=こよみかえる。)と言う言葉はこの陰陽五行説に由来し、この60通りの組み合わせが一巡したこと(=60歳。)を祝うものである。

辛酉しんゆうを「革命」、甲子を「革令かくれい」と呼び、いずれも世の中があらたまって徳の高い人物に天意(天の命令)が示される年とされる。

前回の甲子は1984年で、次は2044年である。

 

スポンサーリンク

黄巾賊の猛威

霊帝は十常侍じゅうじょうじと呼ばれる宦官かんがん(=去勢された男性官吏かんり)の専横を許し、王朝は腐敗の一途を辿たどっていました。

 

賄賂わいろ汚職おしょくが横行し、志ある役人は次々に排斥はいせきされていました。

 

のみならず天変地異が相次ぎ、夢も希望も持てないような末法まっぽう思想が世の中を包んでいた時代でした。

 

そこに、張角は救世主として現れたのです。

 

彼は信者に符水ふすい(=まじないが施された水)を与えて病気を癒したり、懺悔ざんげによって病んだ心を浄化させるなど、宗教的な医療行為を通して信者の心身を治療し、求心力を獲得していきました。

 

そのため、黄巾賊に加わる者は爆発的に増えていったのです。

 

張角は自らを「大賢良師たいけんりょうし」と称し、自分の信者たちに対しては「太平を楽しめ」と逸楽いつらくを奨励していました。

 

これは、張角が信奉しんぽうしていた道教の一派である黄老道こうろうどうの、「君主は民を統治する際に、天道を超えるような過度な干渉を行うべきではない」という教えに基づくものであると考えられます。

 

結果として、黄巾賊は、青洲せいしゅう幽州ゆうしゅう徐州じょしゅう冀州きしゅう荊州けいしゅう揚州ようしゅう兗州えんしゅう豫州よしゅうと、またたく間に勢力を広げながら、殺戮さつりくと略奪とを繰り返していったのです。(記事下の地図参照

 

鎮圧しても次から次に現れる黄巾賊に、漢の軍隊も手を焼く状態でした。

 

村々では、黄巾賊による被害だけでなく、黄巾賊と戦うために男子は次々に徴兵されたり、軍費が増大したことにより重い税が徴収されたり、また黄巾賊の仲間だと疑われたものが逮捕されるなど、悲劇的な状況となっていきました。

 

しかし、この乱に立ち向かう英雄が現れます。

 

その人物とは・・・(「あらすじ三国志3」に続きます。)

 

『三国志』の感動を動画で味わうなら映画『レッドクリフ』!
映画『レッドクリフ』は、「中国映画史上、過去最高額の投資」と言われ、トニー・レオンや金城武などの名優をキャストに迎え、その壮大な戦闘シーンは『三国志』の映像作品の中では群を抜いています。この記事では、『三国志』の魅力に触れるには最も欠かすことが出来ない『レッドクリフ』の魅力を解説します。

 

スポンサーリンク

なぜ黄色?

もともと張角が結髪けっぱつを黄色の布で包んでいたのを信者たちが真似まねしたところから、黄色は黄巾党のイメージカラーとなりました。

 

中国において黄色は特別な色。

 

中国には伝説上の統治者である三皇五帝さんこうごていがいますが、その三皇の治世を引き継いだ「黄帝こうてい」は中国の領域を「武力●●」によって押し広げていきました。

 

漢より前の王朝であるいんしゅう・秦はこの黄帝が始祖とされており、つまり黄巾賊はこの黄帝を連想させる黄色をイメージカラーにすることによって、世の中を漢王朝以前の状態に回帰させるというスローガンを打ち出し、またそのための「武力●●」による革命に正当性を持たせたと考えられます。

 

張角は、黄帝と老子の教えが結びついた道教の一派「黄老道」を信奉していることや、黄帝が医学の祖と位置付けられ、自らも信者に対して医療行為を行ったことなどから考えても、彼が黄帝」を意識して黄色を用いた可能性が高いと考えられます。

 

 

ユンケル黄帝液こうていえきの商品名は「黄帝」に由来している。

 

加えて、中国の文明を切り開いたのは母なる黄河の恵みであり、中国とは切っても切り離せない色をイメージカラーにすることで、多くの人々を仲間に組み入れようとする効果も狙ったのではないでしょうか。

 

挿入画像

西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫堅 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 13 14 30 7
184 黄巾の乱が起こる。 23 3 29 29 30 46 23

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました