【1日5分】あらすじ三国志19「反董卓連合の結成」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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治世の能臣、乱世の奸雄

陳留ちんりゅう(=現在の河南かなん開封かいほうの東南。兗州えんしゅう南部。記事下の地図参照。)に到着した曹操そうそうは、ここに辿たどり着くまでの経緯と、反董卓はんとうたくの兵を起こす意思を父曹嵩そうすうに伝え、そのための軍資金を要求しました。

 

曹操は昔から不良たちのまとめ役を務め、青年時代は遊侠ゆうきょう(=仁義を持って強者を退け、弱者を助けようとする気質)にふけっていました。

 

20代半ばという若さで洛陽らくよう北部尉ほくぶとい(=都洛陽北部の治安維持を司る。)に就任すると、当時霊帝れいてい寵愛ちょうあいを受けていた宦官かんがん(=去勢された男性官吏。)蹇碩けんせきの叔父が夜間通行の禁を犯した時、曹操は躊躇ためらうことなくその者を捕らえて棒叩きの刑に処し、それ以降、朝廷の内外から注目されるようになりました。

 

曹嵩は、そのような恐れ知らず、命知らずな我が子を見てきたので、「ついにこの日が来たか」と心配にも頼もしくも思えるのでした。

 

曹嵩は家財の一切合切がっさいを投げ売り、曹操の軍資金として供与しました。

 

とは言え、曹嵩は隠居生活をしていましたので、名家と言えども大掛かりな軍隊を結成させられるだけの財力を持っていませんでした。

 

そのため、曹嵩は陳留の大富豪衛弘えいこうに協力を仰ぐよう、曹操に伝えます。

 

曹操は、もし衛弘が協力を渋った場合、事に及ぶ覚悟をしていました。

 

しかし、衛弘は曹操に会うなり感嘆して言いました。

 

かの有名な許子将きょししょう(=人物の鑑定士として有名。)がそなたを見て、「曹操は治世ちせい能臣のうしん、乱世の奸雄かんゆう(=世の中が平らかに統治されているならば、優秀な臣下としてその治世に貢献し、世の中が乱れているならば、その乱れに乗じてのし上がろうとする英雄。)」と言った意味が分かりました。

これは素晴らしい、そなたには天下を治める気が包み込んでおる。

分かりました、十常侍じゅうじょうじが国政をほしいままにしてよりこのかた、この世は乱れるばかり。

資金はいくらでもお出ししましょう。

そなたに漢の未来を託します。

 

曹操はこの衛弘の協力を得て五千の兵を募り、兵装や兵糧などの軍備を整えることができたのでした。

 

曹操のもとには腹心となる従兄弟の曹仁そうじん曹洪そうこうが駆けつけ、曹操の旗下きかに加わりました。

 

曹操の父曹嵩は宦官かんがん曹謄そうとうの養子となりましたが、もとは夏侯かこう氏の産でした。

 

その縁から、曹操の従兄弟である夏侯惇かこうとん夏侯淵かこうえん兄弟が二千の兵を引き連れて軍に加わりました。

 

また、曹操を慕って李典りてん楽進がくしんといった武将も旗下に加わるなど、曹操に長く仕えることになる者たちが多く参集し、日に日に兵の数も増えていきました。

 

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反董卓連合軍結成

董卓が少帝しょうていを廃し、献帝けんてい擁立ようりつしようとしたことを批判し、董卓の報復を恐れて故郷冀州きしゅう(=現在の河北かほく省を中心とする地域。)に逃亡していた袁紹えんしょうも、曹操と同じく反董卓の旗揚はたあげをしていました。

 

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高希希監督『Three Kingdoms』の袁紹

 

袁紹のもとには、さすがに代々漢の三公さんこう(=司徒しと(行政の長)、太尉たいい(軍事の長。もとは「司馬しば」と言った)、司空しくう(政策立案の長)の三つの役職で、常設の官では最高位。)を務めて来た名家だけあって、多くの名だたる家臣たちが集まりました。

 

参謀の許攸きょゆう(=あざな子遠しえんを始め、田豊でんぽう郭図かくと沮授そじゅ審配しんぱい一騎当千いっきとうせんの武将である顔良がんりょう文醜ぶんしゅうなどが参集し、董卓に攻撃を加える機会をうかがっていました。

 

イニシアチブを握るためには先に行動を起こすべきと許攸らが主張しますが、袁紹は董卓や呂布りょふの恐ろしさを実際によく見知っています。

 

そのため、常に諸国の動きを気にし、反董卓の機運の高まりを待っていました。

 

袁紹の心を動かしたのは曹操の動向でした。

 

「曹操が陳留で兵を募っている」との一報が袁紹のもとにもたらされると、「曹阿瞞そうあまん(=「阿瞞」は曹操の幼名。曹操と袁紹、許攸は青年期に親しく交わったことがある。)に先を越されてはならない」と、袁紹はついに反董卓の檄文げきぶん(=自分の考えを述べて決起を促すための文。)を諸国に発したのでした。

 

初平しょへい元(190)年、袁紹の呼びかけによって、各地の諸侯たちが続々と参集してきました。

 

袁紹の異母弟、後将軍こうしょうぐん南陽なんよう郡の太守袁術えんじゅつあざな公路こうろ

冀州刺史しし(=州の統括者。)韓馥かんぷく

予州よしゅう刺史孔伷こうちゅう

兗州えんしゅう刺史劉岱りゅうたい

河内かだい郡の太守王匡おうきょう

陳留郡の太守張邈ちょうばく

東郡の太守喬瑁きょうぼう

長沙ちょうさ郡の太守孫堅そんけん、字は文台ぶんだい

済北せいほくしょう鮑信ほうしん

西涼せいりょう馬騰ばとう、字は寿成じゅせい

北平ほくへい郡の公孫瓚こうそんさん、字は伯珪はくけいなど

 

遅れて曹操がせ参じ、ここに十数万の兵力に上る十八ちん諸侯しょこうが結集したのでした。

 

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高希希監督『Three Kingdoms』の曹操

 

曹操の軍旗には「義」とか「忠」などの文字が見え、一際ひときわ目立つ存在でした。

 

袁紹はやや皮肉混じりに、曹操に久闊きゅうかつじょします。

 

いやいや、孟徳もうとく(=曹操の字。)よ。

よく参った。

そなたが来てくれれば百人力ひゃくにんりきよ。

それにしても、忠義心にあふれる行軍、感服致した。

さすがは、董卓と刺し違える覚悟の持ち主であるな。

そなたの働き、期待しておるぞ。

 

曹操は袁紹の皮肉を全く意に介しません。

 

私が「忠義」の字を用いたのには理由がある。

私は諸侯の中でも、つい最近まで都洛陽らくようにいた身である。

ここに、私はあるお方からの書状を預かって参った。

 

曹操は錦の書状を両手で広げ、諸侯にかざして見せます。

 

すると、17人の諸侯は、その1枚の書に押された印の紋章に目を奪われました。

 

天子てんし(=皇帝。)の勅書ちょくしょである!

 

曹操がそう声高こわだかに宣言すると、諸侯は一瞬にして曹操の前にひざまずき、臣従しんじゅうの姿勢をとりました。

 

ちん(=皇帝の自称。私。)、偉大なる大漢だいかん皇道こうどうを継ぎしより、今日こんにちに至るまで計らずも国賊こくぞくの専横にい、いまだ民に恩恵を施すことかなわず、先祖の御霊みたまに恥じ入ること久しい。

朝廷には虎狼ころうの目光り、義憤ぎふんに立ち上がる有志の者、度々たびたび現れるも惨殺ざんさつき目に遭う。

ねがわくは諸侯、よろしく国賊を討ち払い、漢の再興を果たせ。

この勅書は、私が都洛陽にいる時に、献帝けんていから託されたものである。

我々はすみやかに国賊董卓を討ち滅ぼし、天子を苦しみから解放して差し上げるべきである。

 

続いて盟主の袁紹が立ち上がり、十八鎮諸侯の前で宣言します。

 

ここに十八鎮諸侯が一同に会し、天子からのみことのりも発せられた。

董卓恐れるに足らず。

いざ、国賊董卓を討ち滅ぼそうぞ!

皇帝陛下、万歳ばんざい、万歳、万万歳ばんばんざい

 

諸侯がそれぞれの陣営に戻った後、曹仁が曹操に言いました。

 

兄上、上手く行きましたな。

私は勅書が偽物であることがすぐに見破られるのではないかと、内心冷や冷やしておりました。

 

曹操は曹仁をたしなめるようにして答えます。

 

愚か者め。

あの勅書を本物だと心から思っている者はあの中にはおらぬ。

そこまで諸侯も馬鹿ではない。

みな、心の中では歯がみをしていたはずだ。

特に盟主の袁紹はな。

しかし、あの詔には旨味うまみがある。

これで天子からの勅命を受けた連合軍ということで、我らは朝敵(=朝廷の敵。賊軍。)ではなくなった。

反董卓連合軍は董卓に匹敵する軍勢を有していると言っても、決して一枚岩いちまいいわではない。

しかし、天子の勅命を得て、少しはまとまりがつくであろう。

決戦は近いぞ。

 

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西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫堅 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 26 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 29 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28
190.1 反董卓連合軍が結成される。 29 9 35 35 36 52 29

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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