【1日5分】あらすじ三国志16「暗殺者曹操」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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曹操の深謀遠慮

王允おういんは反董卓とうたくの密議をするために、誕生日の祝賀を行うと偽って信頼する官吏たちを自邸に招きました。

 

しかし、官吏の誰もが董卓に発覚するのを恐れ、黙して語らずの状態でした。

 

このような有様を見て、王允は大いに嘆くのでした。

 

そして、漢の皇帝の御霊みたまに涙ながらに謝罪していると、声高らかに笑う者がありました。

 

それは、黄巾賊こうきんぞく討伐で名を挙げた典軍てんぐん校尉こうい曹操そうそうでした。

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高希希監督『Three Kingdoms』の曹操

 

王允は怪訝けげんな表情で尋ねます。

 

なぜここにいる?

 

王允は、曹操を招いてはいませんでした。

 

曹操は董卓が洛陽らくように入るや、董卓にびへつらい、董卓の横暴に批判的な態度を取ることが一切なかったからです。

 

そのため、王允は、曹操を招いてはならない人物の一人に数えていたのでした。

 

これは失礼を致しました。

朝廷ではだんまりを決め込み、夜はこうして集まって涙を流し、殺されることを恐れて世を悲観するしか出来ない姿がおかしくて、ついつい笑いを止めることが出来なかったのです。

 

それを聞いた王允は、やや微笑を浮かべながら曹操に応答します。

 

貴公の先祖は漢の高祖こうそ(=初代皇帝。劉邦りゅうほう。)に仕えた相国しょうこく曹参そうしんであろう?

代々漢の大恩を受けながら、そなたが毎日のように董卓におもねり、媚びへつらっている姿を見ておるぞ。

貴公の行いこそ、笑止千万しょうしせんばん

見苦しい限りだ。

そなたに用はない。

即刻、立ち去られよ。

 

官吏の間からあざけりの笑いが漏れます。

 

「こやつを帰せば、きっと董卓に密告されますぞ」と述べる者さえいました。

 

曹操は毅然きぜんとして反論します。

 

何進かしん大将軍と袁紹えんしょうが、董卓を洛陽らくように招き寄せて十常侍じゅうじょうじ殲滅せんめつさせようと謀議した時に、それを真っ先に諫言かんげん(=目上の者の誤りを指摘して改善を求めること。)したのは誰だったでしょうか?

それは、この曹操です。

その曹操が董卓に媚びへつらっているのには、それ相応の理由があるというものです。

 

「ほう、その理由とはなんだ?」と、王允は身を乗り出して尋ねます。

 

その理由は、ひとえに董卓を油断させるため。

今や私は董卓の住む丞相府じょうしょうふに入る時にも身体検査を免除され、のみならず董卓の影を踏む距離まで近づいても何も怪しまれることはないのです。

 

王允の表情にみるみる喜色がよみがえっていきます。

 

王允殿にお頼みしたいことがございます。

媚びへつらっている間、私は董卓の人となりをつぶさに見ておりました。

董卓は強欲な人間です。

私は董卓の、その性質を利用したいと存じます。

願わくは、王允殿が所蔵しておられる七星剣しちせいけんを、この曹操にお貸しいただけないでしょうか?

その剣を献上すると偽って、見事董卓を暗殺してご覧に入れましょう。

 

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暗殺者曹操

曹操は董卓がまう丞相府に赴きました。

 

胸には七星剣が隠されています。

 

衛兵は曹操を見ると、「董卓相国が首を長くしてお待ちですよ」と、全く警戒することなく言うのでした。

 

董卓は高座に腰掛け、書簡を読んでいました。

 

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高希希監督『Three Kingdoms』の董卓

 

董卓の側には、董卓の養子となった天下無双の呂布りょふが控えています。

 

呂布は武人らしく、曹操に疑念を抱いたのか、鋭い視線を向けて一分いちぶの隙もありません。

 

孟徳もうとく(=曹操のあざな。)よ、よく来た。

待っておったぞ。

それにしても遅かったのう。

 

急いで来たからか、気持ちがいているからか、曹操の呼吸が乱れます。

 

大変失礼しました。

それと言うのも、私の馬は年老いた駄馬だばでございます。

むち打てども進まず、早く駆けつけることが出来なかったのでございます。

 

董卓は机を叩いて言いました。

 

なに、それはいかんな。

都の兵を監督する典軍校尉のそちが良馬を持たないで、どうして朝廷の急に対応できようか。

奉先ほうせん(=呂布のあざな。)よ、わしの馬屋から適当な駿馬しゅんめを連れてきて曹操に与えよ。

 

呂布が去って行ったので、「天はおれに味方しているぞ」と、曹操の心は高ぶりました。

 

見よ、この書簡の山を。

やれ不作だの、やれ年貢を軽くしろだの、地方の者どもは勝手なことばかり申してくる。

悪いがな、わしは少し休むぞ。

奉先が来るまでここで待つがよい。

 

そう言って、董卓は横になってしまいました。

 

曹操は胸から七星剣を取り出すと、玉の装飾が施されたさやを取り除きます。

 

肥満した董卓の首の周りには贅肉ぜいにくが覆い、致命傷を与えるためには余程よほど力を加えなければなりません。

 

呂布が戻ってくるのは時間の問題です。

 

董卓の寝息を確認してから近づき、表情をうかがい、周囲にも気を配り、曹操は董卓暗殺の好機を待ちます。

 

丞相府の静寂な政務室に、董卓の高鼾たかいびきが響きます。

 

「いまこそ」と、曹操が董卓の寝首をかこうとした時、七星剣に反射した日の光が董卓の顔面に降り注ぎました。

 

すると、董卓はすっくと起き上がり、「孟徳、今の光はなんじゃ?」と尋ねます。

 

曹操は七星剣を鞘に収めることも出来ず、敢えて董卓の前に両手でささげ持ちました。

 

相国、近頃私は珍しい剣を手に入れました。

あの、世に名高い七星剣です。

どうしても相国にご覧に入れたくて、本日は持参したのです。

相国がお休みになっている間に、刃先のぎ具合を確認しようと鞘から取り出しました。

その際に、日の光が反射したのでございます。

相国のお目を覚まさせるほどの光沢こうたく、さすがは名剣ですな。

 

曹操にしては饒舌じょうぜつでした。

 

あまりにもまくし立てるので、董卓はまだ寝ぼけていて反応ができなかったのか、その威勢に圧倒されたのか、最初言葉がありませんでした。

 

「見せてみよ」と董卓が言ったところで、呂布が駿馬を連れて戻ってきました。

 

孟徳殿、表に駿馬を連れて来ましたぞ。

試し乗りをしてみなされ。

 

曹操は董卓に七星剣を献上すると、「では、相国、少し駆けて参ります」と言って、急ぎ足に丞相府を後にしました。

 

「父上、その剣はなんです?」と呂布が尋ねます。

 

孟徳がわしに献上したものだ。

お前も知っておろう、七星剣という名刀だ。

 

それからしばらくしても曹操が戻らないので、董卓は「孟徳はまだか?」と聞くと、呂布は言いました。

 

父上、恐らく曹操は戻らないでしょう。

先ほどの様子は、いつもの曹操とはまるで異なっていました。

その剣で、父上を亡きものにしようとしていたのではないでしょうか。

 

董卓は、その太った顔をみるみる赤らめて怒鳴ります。

 

許せん!

あれだけ目をかけてやったのに、恩をあだで返すとは。

奴は妻子を洛陽に置いてはおらぬ。

今頃はすでに洛陽城外に出ているであろう。

奉先ほうせんよ、精鋭を引き連れ、いますぐ奴を追うのだ!

 

その後、董卓は参謀の李儒りじゅを呼び、各地に曹操を捕らえる命令を出させます。

そして、捕らえた者は万戸侯ばんここうほうじ、黄金千金を与えるとの触れを出したのでした。

 

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西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫堅 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 26 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 29 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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