【1日5分】あらすじ三国志14「献帝即位」|大泉洋主演『新解釈・三國志』応援企画!

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三国志
大学で中国文学を学び、長年国語の教員を勤めてきた経験を活かして、分かりやすく、簡潔に、それでいて深イイ三国志のあらすじ紹介を行っていきたいと思います! 『三国志』に興味はあるけど小説を読んだりドラマを見たりする時間はない、でも簡単なあらすじだけではもの足りない・・・。 そんな方にはぴったりです!

 

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献帝即位

董卓とうたく丁原ていげんに仕える呂布りょふが欲しいと考えました。

 

そこで、幕閣の李粛りしゅくに金一袋と赤兎馬せきとば(=日に千里を駆けるという汗血馬かんけつば。)を持たせ、呂布を口説かせます。

 

李粛りしゅくの説得が功を奏し、董卓とうたく呂布りょふ旗下きかに組み入れ、二人は父子おやこの契りを交わしました。

 

そして、丁原ていげんの手勢も自軍に編入し、董卓軍はさらにその脅威を増したのでした。

 

その噂は、すぐに朝廷の誰もが知るところになります。

 

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高希希監督『Three Kingdoms』の董卓

 

まんして、董卓は二度目の饗宴きょうえんを開催し、再び文武百官を召集しました。

 

そして、えんもたけなわになったころ、董卓は再び少帝しょうてい劉弁りゅうべん廃位と陳留ちんりゅう劉協りゅうきょうの皇帝擁立ようりつに言及したのでした。

 

不賛成の方はご起立を!

 

董卓が声高こわだかに叫びます。

 

起立をすれば、丁原の二の舞になるのは火を見るよりも明らかでした。

 

張り詰めた空気が流れます。

 

その場に居合わせた者たちは、董卓ににらまれまいと身動き一つしません。

 

すると、「待たれよ」と声を上げて起立した者がありました。

 

中軍校尉こうい袁紹えんしょうです。

 

袁紹は何進かしんの腹心でした。

 

そのため、何氏かしとは関わりが深く、霊帝れいてい何太后かたいごうのお子である少帝劉弁の廃位は自身の栄達にとっては不利に働きます。

 

将軍は、なぜこの漢帝国に敢えて災いをもたらそうとするのですか?

 

董卓は袁紹をぎろっとにらみつけます。

 

しかし、袁紹はおくすることなく続けます。

 

そのような国の大事を、なぜ酒の席などで討議なさるのですか?

なぜ陛下や何太后、陳留王の面前で協議なさらないのか?

これでは、国家を転覆させる陰謀を密議しているのと、なんら変わりがありません。

 

すんなり了承を得られると思っていたにもかかわらず、とんだ横槍よこやりに董卓は怒りをあらわにします。

 

しかも、それが年少の袁紹だったことが董卓の怒りを増幅しました。

 

たかだか校尉の分際ぶんざいで、わしに口答えをしおって。

この青二才あおにさいめが。

酒の席が不服なら出て行け!

 

袁紹は負けじと反駁はんばくします。

 

いいえ、出てゆきませぬ。

代々漢のろくみながら、天命に逆らって廃位に賛同する者たちの顔を、しっかりこの目に焼き付けとうございます。

 

「貴様、董卓の剣が人を切れないと思っているのか!」と、董卓は刀のつかに手をかけます。

 

暴言だ!

横暴だ!

方々かたがた、いまの将軍のげんを何と聞く?

 

袁紹は文武百官の顔を見渡しますが、董卓の剣幕けんまくの前では彼らは借りて来た猫同然でした。

 

それ見たことか。

誰もお主の意見には賛同してはおらぬぞ。

陳留王の方が聡明であることは周知の事実だ。

少帝廃位は、誰もが腹の中では考えていたことなのだ。

それを、わしが代弁しただけに過ぎぬ。

気に入らぬのなら出て行け。

よいか、他にも異論がある者は袁紹とともに退出せよ!

 

孤立無援。

 

袁紹の脳裏には、何進の憐れな死に様が思い浮かびます。

 

このまま無念を抱えて殺されるのはごめんだ。

 

袁紹はそう思って、「おうよ、誰がこのような場所にいようものか!」と言って宴席を後にするのでした。

 

董卓が軍隊を差し向けるのは明らかでした。

 

そのため、袁紹はその日のうちに官職を退いて故郷である冀州きしゅうに帰ってしまったのです。

 

董卓の怒りは収まりません。

 

誰か、袁渙えんかんをここへ連れ出せ!

 

袁渙とは、袁紹の叔父でした。

 

貴様の甥はおれの提言をねつけて出て行きおったぞ。

袁渙よ、お前はおれの提言をいかに思うか?

か、はっきり述べよ!

 

袁渙は声を震わせながら、「将軍の仰ることに同意いたします」と述べました。

 

貴公らはどうか?

賛成せぬ者はおるか?

 

もはや董卓に異を唱える者はいませんでした。

 

董卓は冀州に逃亡した袁紹を反逆罪に問い、討伐の命を出そうとします。

 

しかし、袁紹は名門の家柄で、袁紹の一言で各地の反董卓派が集結する恐れがありました。

 

そのため、董卓は不本意ながら袁紹の罪をゆるし、袁紹を渤海ぼっかい郡(=現在の河北かほく滄州そうしゅう市。幽州ゆうしゅう南部。記事下の地図参照。)の太守に任命し、邟郷侯こうごうこうほうじ(=領地を与え、そこを治めさせるということ。)ました。

 

これにより、袁紹が一方的に董卓を恐懼きょうくして逃亡したのだという印象を各地に示したのでした。

 

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漢のラストエンペラー献帝即位

後日、董卓は少帝を廃し、陳留王となっていた9歳の劉協を即位させます。

 

この劉協こそ、大漢帝国最後の皇帝である第14代献帝です。

 

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高希希監督『Three Kingdoms』の献帝

 

もちろん、董卓の傀儡かいらい(=操り人形)でしかありません。

 

献帝即位に伴い、少帝は即日、弘農王こうのうおう(=「弘農」は洛陽の西隣に位置する都市。)となりました。

 

董卓は自らを相国しょうこく(=現在の日本で言う所の内閣総理大臣。)に任じるみことのりを献帝に出させます。

 

この裁定を見ていた何太后は、泣いて劉弁の座る皇帝の玉座にしがみつき、「この席から離れてはならぬ。絶対に離れてはならぬ!」と劉弁に言い聞かせます。

 

しかし、董卓は劉弁を敢えて臣下の列に並ばせ、献帝の即位を見届けさせます。

 

この度の譲位は禅譲ぜんじょう(=帝王が徳の高い者に帝位を譲ること。)であることを洛陽らくよう内外に示したのでした。

 

中国では、伝説上の帝王であるぎょうが、世襲することなくしゅんに帝位を譲って国が栄えたところから、禅譲は理想的な皇位継承のモデルとされていました。

 

すると、一人の官吏が匕首あいくち(=短い刀。)を持って董卓に襲いかかりました。

 

おのれ、董卓。

朝廷を乱しおって、天誅てんちゅうであるぞ!

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しかし、この官吏の刃先が董卓に届くころには、参謀李儒りじゅの刀がこの者の首を切っていました。

 

続けざまに、董卓の幕閣の者たちの複数の刃が官吏の体を貫き通していました。

 

鮮血があたり一面に飛び散ります。

 

この光景を目の当たりにした文武百官の中に、もはや董卓に逆らおうとする者はいませんでした。

 

ここから、相国董卓の専横が開始されるのでした。

 

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西暦 出来事 年齢
劉備 孔明 曹操 孫堅 袁紹 董卓 呂布
前202 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。
前157 景帝が漢の皇帝に即位する。
168 霊帝が漢の皇帝に即位する。 7 13 13 14 30 7
181 何氏が霊帝の皇后となる。 20 26 26 27 43 20
184 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 23 3 29 29 30 46 23
189.5 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28
189.9 少帝が廃位され、献帝が即位する。 28 8 34 34 35 51 28

 

以上のあらすじは、主に吉川英治よしかわえいじ『三国志』、陳舜臣ちんしゅんしん『秘本三国志』『小説十八史略』、横山光輝よこやまみつてる『三国志』、王扶林監督『三国志演義』、高希希監督『Three Kingdoms』などをベースにしています。そのため、羅貫中らかんちゅうの『三国志演義』や陳寿ちんじゅの『正史三国志』とは内容が異なり、少なからず脚色が含まれることがあります。あらかじめ、ご了承下さい。

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