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霊帝崩御
霊帝には、とりわけ寵愛した二人の妃がいました。
一人は何皇后で、霊帝との間には劉弁という皇子も誕生していました。
もう一人は王美人で、劉弁から遅れて5年後に、劉協という皇子も生まれています。
劉弁を次代の皇帝にしたいと考えていた何皇后は、王美人を殺害してしまいます。
しかし、このことで、かえって霊帝は劉協を不憫に思うようになり、能力的にも劉弁より優れていた劉協こそが自分の跡取りとして相応しいと考えるようになりました。
そんな中、病がちであった霊帝が危篤の状態となりました。
霊帝は臨終に際して、寵愛していた宦官(=去勢された男性官吏。)の蹇碩を呼び出し、改めて劉協を次代の皇帝にするよう遺言します。
蹇碩は霊帝の生母董太后に接近し、董太后の甥で驃騎大将軍董重を味方につけていました。
そして、霊帝と王美人の子、劉協を皇帝にしようと画策するのでした。
もちろん、劉協を操り人形にして権力を掌中に収め、何氏一族を駆逐したいと思ってのことです。
ここに、何氏と宦官蹇碩率いる十常侍(=当時、霊帝の代わりに朝政を牛耳っていた十数人の宦官の総称。)ら宦官の対立は極まったのでした。
189年5月、霊帝が崩御します。
蹇碩は霊帝崩御については伏せ、霊帝からのお召しがあると偽って何進(=何皇后の兄。大将軍。)に皇宮への参内を迫ります。
何進の腹心であった一人の偉丈夫が何進に忠言します。
その人物は司隷校尉(=中央の官吏を監察する役人。)袁紹、字は本初と言い、代々漢の三公(=司徒(=行政の長)、司馬(=軍事の長)、司空(=政策立案の長))を務めた名門の家柄であり、言うなれば政界のサラブレッドでした。
高希希監督『Three Kingdoms』の袁紹
将軍、これは蹇碩の罠に違いありません。
恐らく、霊帝はすでに崩御遊ばされていて、将軍を王宮におびき寄せて殺害し、劉協皇子を即位させるつもりなのです。
これ以上、卑しき宦官ふぜいに好き勝手な振る舞いをさせてはなりません。
黄巾賊の乱が起こったのも、そして今なお各地で不満がくすぶり、反乱が絶えないのもこの宦官らが朝政を牛耳っているからに他なりません。
今こそ、蹇碩ら宦官の勢力を根絶やしにするのです。

何進、王宮に攻め入る
何進は袁紹の進言を容れ、王宮に雪崩れ込みました。
宦官には生殖器がないため、髭が生えません。
何進や袁紹の兵は、髭のない役人を虱潰しに殺害するよう、命じられていました。
そのため、蹇碩ら十常侍だけではなく、多くの宦官が命を落としたのです。
十常侍の張譲は、すぐさま何皇后のもとに駆け込みます。
何皇后は張譲に借りがあります。
何皇后が皇后になれたのは、この張譲を買収し、張譲が霊帝や他の宦官に働きかけたからに他なりませんでした。
何皇后は、泣いて命乞いをする張譲らを匿います。
そして、兄何進を叱り付けます。
羊の肉を解体することを生業にしていた下賤の何氏が、このような高貴な身分になれたのは十常侍のおかげではありませんか。
劉協を担いでいたのは蹇碩です。
その蹇碩一派は誅殺されました。
どうか他の宦官には温情を施しなさい。
妹とは言え、皇后からの命令です。
そう言われて、何進の目には戦意は失われてしまいました。
何進は根っからの武人ではありません。
もともとは市井の人でした。
羊の屠殺で生計を立てていた者が、ここまで出世できたことに満足していないわけではありません。
対立していた蹇碩は殺害した。
劉弁が皇帝になることは間違いない。
これ以上、何を望もう・・・
何進は剣を鞘に収めます。
すかさず、袁紹は何進に訴え出ます。
袁紹には高家の血が流れています。
政界で生き残るためにはどう立ち舞えばいいのか、袁家の人間の遺伝子にはそれが組み込まれているのです。
従って、ここで十常侍を始末しなければ、後の災いになることが袁紹には分かるのです。
袁紹以下、何進の腹心はみな跪いて懇願します。
それでも、何進が首を縦に振ることはありませんでした。
その後、すぐに劉弁が第13代少帝として即位しました。
蹇碩に味方した董太后と董重は幽閉され、秘密裡に殺害されます。
しかし、十常侍は尚も健在。
十常侍はその後も、何氏排斥を虎視眈々と狙うのでした。
西暦 | 出来事 | 年齢 | ||||||
劉備 | 孔明 | 曹操 | 孫堅 | 袁紹 | 董卓 | 呂布 | ||
前202 | 劉邦が項羽を滅ぼす。漢王朝誕生。 | |||||||
前157 | 景帝が漢の皇帝に即位する。 | |||||||
168 | 霊帝が漢の皇帝に即位する。 | 7 | 13 | 13 | 14 | 30 | 7 | |
181 | 何氏が霊帝の皇后となる。 | 20 | 26 | 26 | 27 | 43 | 20 | |
184 | 黄巾の乱が起こるも、同年鎮圧。 | 23 | 3 | 29 | 29 | 30 | 46 | 23 |
189 | 霊帝が崩御し、少帝が即位する。 | 28 | 8 | 34 | 34 | 35 | 51 | 28 |
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