今日のポイント
用言の活用⑪
「四段活用、上二段活用、下二段活用の見分け方」
その他の古典文法の解説一覧は下をクリック!

「四段活用、上二段活用、下二段活用の見分け方」
以前の解説で、用言の活用の種類をマスターするには、まず動詞の数が極めて少ない活用の種類(上一段活用、下一段活用、カ行変格活用、サ行変格活用、ナ行変格活用、ラ行変格活用)、いわゆる「覚えるシリーズ」からマスターするべきだとお伝えしました。
これまでの解説で、「覚えるシリーズ」の動詞メンバーを、ほぼ網羅した形で紹介してきました。
改めて確認してみましょう。
「覚えるシリーズ」の動詞メンバー
カ行変格活用 ①「来」 ②「〇〇来」(複合動詞「持て来」、「出で来」、「越え来」、「まうで来」など)
サ行変格活用 ①「す」「おはす」 ②「具す」「啓す」「奏す」「念ず」「ご覧ず」など(音読みの漢語+す(ず)) ③「愛す」「死す」など他多数(名詞+す) ④「疎んず」「重んず」「軽んず」「先んず」「諳んず」など(和語+んず) ⑤「全うす(完うす)」「重うす」など(形容詞の連用形ウ音便+す)
ナ行変格活用 「死ぬ」「去ぬ・往ぬ」
ラ行変格活用 ①「あり」「をり」「侍り」「いまそかり(いまそがり・いますがり)」 ②副詞+「あり」型(「さり」「しかり」「かかり」)
下一段活用 「蹴る(ける)」
上一段活用 「干る(乾る)」、「射る」、「鋳る」、「着る」、「似る」、「煮る」、「見る」、「居る」、「率る」、「顧みる」、「試みる」、「用ゐる」、「率ゐる」
|
ステップ1
「覚えるシリーズ」の動詞は全部で40個程度になりますが、これらの動詞を見た瞬間、それがどの活用の種類に属しているのか、そしてどのように活用(変化)するのか、すらすら言えるようになるまで記憶に定着させてください。
ステップ2
上記の「覚えるシリーズ」に該当しない動詞が出てきたら、それは必然的に四段活用、上二段活用、下二段活用のどれかであるということになります。
では、どのようにして四段活用、上二段活用、下二段活用を見分ければよいのでしょうか?
本日はその見分け方について解説します。
四段活用、上二段活用、下二段活用の見分け方
「覚えるシリーズ」に属する動詞以外の動詞が出てきたら、その動詞は四段か、下二段か、上二段のどれかであるので、その動詞に「ず」、または「ない」をつけて、未然形の音を確かめます。
*動詞に「ず」、または「ない」をつけると未然形になります。
○未然形の音が「a」だったら➩四段活用
動詞 | 語幹 | 未然形
ず |
連用形
て |
終止形
。 |
連体形
とき |
已然形
ども |
命令形
|
活用の種類 |
書く | か | か
(ka) |
き | く | く | け | け | カ行四段活用 |
○未然形の音が「e」だったら➩下二段活用
動詞 | 語幹 | 未然形
ず |
連用形
て |
終止形
。 |
連体形
とき |
已然形
ども |
命令形
|
活用の種類 |
捨つ | す | て
(te) |
て | つ | つる | つれ | てよ | タ行下二段活用 |
○未然形の音が「ⅰ」だったら➩上二段活用
動詞 | 語幹 | 未然形
ず |
連用形
て |
終止形
。 |
連体形
とき |
已然形
ども |
命令形
|
活用の種類 |
下る | お | り
(ri) |
り | る | るる | るれ | りよ | ラ行上二段活用 |
例題
次の動詞の活用の種類を答えなさい。
①受く
②起く
③泣く
解説
①「受く」は覚えるシリーズの一覧にありませんので、四段か、下二か、上二です。
「ず」を付けると「受けず」となります。
ローマ字で表せば「うke+ず」となり、未然形が「e」の音と分かりますので、答えは下二段活用となります。
動詞 | 語幹 | 未然形
ず |
連用形
て |
終止形
。 |
連体形
とき |
已然形
ども |
命令形
|
活用の種類 |
受く | う | け
(ke) |
け | く | くる | くれ | けよ | カ行下二段活用 |
②「起く」は覚えるシリーズの一覧にありませんので、四段か、下二か、上二です。
「ず」を付けると「起きず」となります。
ローマ字で表せば「おki+ず」となり、未然形が「i」の音と分かりますので、答えは上二段活用となります。
動詞 | 語幹 | 未然形
ず |
連用形
て |
終止形
。 |
連体形
とき |
已然形
ども |
命令形
|
活用の種類 |
起く | お | き
(ki) |
き | く | くる | くれ | きよ | カ行上二段活用 |
③「泣く」は覚えるシリーズの一覧にありませんので、四段か、下二か、上二です。
「ず」を付けると「泣かず」となります。
ローマ字で表せば「なka+ず」となり、未然形が「a」の音と分かりますので、答えは四段活用となります。
動詞 | 語幹 | 未然形
ず |
連用形
て |
終止形
。 |
連体形
とき |
已然形
ども |
命令形
|
活用の種類 |
泣く | な | か
(ka) |
き | く | く | け | け | カ行四段活用 |
まとめ
「四段活用、上二段活用、下二段活用の見分け方」
「覚えるシリーズ」に属する動詞以外の動詞が出てきたら、その動詞は四段か、下二段か、上二段のどれかであるので、その動詞に「ず」、または「ない」をつけて、未然形の音を確かめる。
○未然形の音が「a」だったら➩四段活用
○未然形の音が「e」だったら➩下二段活用
○未然形の音が「ⅰ」だったら➩上二段活用
今日は、四段活用、上二段活用、下二段活用の見分け方をマスターしてから寝てくださいね!笑
次回は、「四段活用」についてです。
コメント