大学入試~最強の古典(古文)勉強法③完結編(大学入学共通テスト対策)

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この記事で分かること

☆古典(古文)の勉強法完結編(大学入学共通テスト対策)

①受験までに学習すべき項目を設定する!

②一問一答ノートで既習事項を整理して、知識の取りこぼしを防止する!

③国語便覧や漫画などで有名作品の理解を深め、古文読解を容易にする!

 

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古典(古文)の勉強法

前回までの記事で、古文の基礎力・解答力を培うために必ず行わなければならない学習内容、そして大学入学共通テストに向けて行うことが推奨される学習内容についてお話ししました。本日はその話を受けて、ではこれからどのように勉強をすればよいのかを具体的に解説します。

 

前回までに解説した大学入学共通テスト「古文」

円滑な読解と問題を解く上で必要な学習内容

(理由は以前の記事で確認してください。)

・古文単語と助動詞をマスターする

・用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用をマスターする

・重要な文法事項をマスターする

・敬語の種類と敬意の方向をマスターする

・「物語」作品を読み慣れ、物語の基本的な展開パターンを熟知する

・和歌の解釈に慣れ、修辞法をマスターする

・有名作品についての理解を深める

・新傾向の問題に慣れる

 

受験までに学習すべき項目を設定する!

古文の学習を挫折する人は多いです。なぜなら、何をどこまで暗記・理解すればいいのか分からないからです。そのため、やってもやってもきりがないと感じ、なかなか学習に前向きになれないのです。

私は古典の授業を受け持った時は、必ず4月の段階で古文の学習をする上で、何をどこまで勉強するべきなのかを提示します。それが「89項目のチェックシート」です。私は長年の受験指導の経験から、センター試験「古文」で8割の得点を奪取するために必要不可欠な項目を割り出しました。そして、それらの項目を大学入試の前日までにはマスターしようという話を生徒にするのです。実際に、この89項目の学習が充実した生徒は、センター試験で8割以上の得点をたたき出しています。膨大ですが、試しに自分の実力をチェックしてみてください。

 

チェックシートの項目

*これらの項目の右側に「完璧」「知っている」「分からない」の3段階を記入する欄を設けています。

1 『古文単語315』(桐原書店の単語集)は暗記できた。

2 重要連語は暗記できた。

3 基本的な用言の活用は理解できた。

4 ア行・ヤ行・ワ行下二段、ヤ行上二段活用の動詞が言える。

5 漢字一字の下二段活用の動詞が3つ言える。

6 係り結びの法則は理解できた。

7 助動詞「る」「らる」の用法が理解できた。

8 助動詞「す」「さす」「しむ」の用法が理解できた。

9 助動詞「ず」の用法が理解できた。

10 助動詞「じ」「まじ」の用法が理解できた。

11 助動詞「む」「むず」の用法が理解できた。

12 助動詞「まし」の用法が理解できた。

13 助動詞「まほし」「たし」の用法が理解できた。

14 助動詞「き」「けり」の用法が理解できた。

15 助動詞「つ」「ぬ」の用法が理解できた。

16 助動詞「たり」「り」の用法が理解できた。

17 助動詞「けむ(けん)」「らむ(らん)」の用法が理解できた。

18 助動詞「べし」「べらなり」の用法が理解できた。

19 助動詞「らし」「めり」「なり」の用法が理解できた。

20 助動詞「なり」「たり」の用法が理解できた。

21 助動詞「ごとく」「ごとくなり」「やうなり」の用法が理解できた。

22 格助詞「の」の5つの用法を理解できた。

23 格助詞「より」の二大用法(方法・手段、即時)を理解できた。

24 接続助詞「ば」の二大用法(2つの条件)は理解できた。

25 接続助詞「で」の接続と訳し方が分かる。

26 接続助詞「ながら」の接続と訳し方が分かる。

27 接続助詞「ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」の接続と訳し方が分かる。

28 接続助詞「を・に・が」の接続と訳し方が分かる。

29 強意の係助詞「こそ」の逆接用法は理解できた。

30 「AもぞB・AもこそB」構文を適切に訳せる。

31 「にや・にか・にこそ」直後の省略が何であるか分かり、適切に訳すことができる。

32 「とぞ・となむ(となん)・とや・とか・とこそ」直後の省略が何であるか分かる。

33 「やは・かは」の反語用法は理解できた。

34 「くは」「しくは」「ずは」の仮定用法が理解できた。

35 副助詞「だに」の2つの用法を理解できた。

36 副助詞「すら」を適切に訳せる。

37 副助詞「さへ」を適切に訳せる。

38 終助詞「ばや」「なむ(ん)」の訳し方が分かる。

39 終助詞「てしがな(てしが)・にしがな(にしが)」の接続と訳し方が分かる。

40 終助詞「もがな」の接続と訳し方が分かる。

41 「ぬ」「ね」の識別は理解できた。

42 「なり(なる)」の識別は理解できた。

43 「なむ(なん)」の識別は理解できた。

44 「に」の識別は理解できた。

45 「て」の識別は理解できた。

46 「る」「れ」の識別は理解できた。

47 「し」の識別は理解できた。

48 「けれ」の識別は理解できた。

49 「たり」の識別は理解できた。

50 「~むや(んや)」の反語用法は理解できた。

51 「なむ・てむ・つべし・ぬべし」の確述用法は理解できた。

52 「あめり・なめり」「あなり・かなり・ざなり・たなり・ななり」(撥音便無表記)の文法的説明と現代語訳ができる。

53 呼応の副詞(基礎編・応用編(プリント))は暗記できた。

54 「いかにか(いかでか)~推量」の反語用法は理解できた。

55 「どうして~か」「どうして~か。いや~ない。」と訳す副詞が言える。

56 「連体詞暗記検定」10個の連体詞は全て訳せる。

57 尊敬語暗記検定(プリント)の尊敬語を適切に訳せる。

58 尊敬語暗記検定の尊敬語を適切に訳せる。

59 基本的な謙譲語の訳し方が分かる。

60 「~し申し上げる」と訳す謙譲語を6つ言える。

61 謙譲の補助動詞「給ふ」の用法と訳し方が分かる。

62 絶対敬語の用法が分かる。

63 自尊敬語(自敬表現)の用法が分かる。

64 全ての丁寧語の訳し方が分かる。

65 各敬語の敬意の方向が分かる。

66 尊敬語を用いた主語判別法が理解できた。

67 代表的な枕詞と、その枕詞が導く言葉が言える。

68 代表的な掛詞と、その掛詞には何が掛けられているか言える。

69 序詞と、序詞のサイン(比喩の格助詞「の」の用法)について理解できた。

70 「(短)連歌」「付け句」「歌合」とは何か説明できる。

71 「A(を)Bみ」構文は理解できた。

72 連体止め(連体終止法)の三大用法が理解できた。

73 イ音便・ウ音便・撥音便・促音便が理解できた。

74 古文重要語の読み(プリント)が言える。

75 月の異名と、その月が属する季節が言える。

76 十二支それぞれが表す時刻と方角(北東・南東・南西・北東含む)が言える。

77 基本的な仏教用語と、無常観の意味が分かる。

78 平安時代の位階・官職が理解できた。

79 平安時代の建築様式が分かる。

80 藤原道長や中関白家を中心とした系図が理解できた。

81 中宮彰子に仕えた著名な女房(4人)や、中宮定子に仕えた著名な女房(1人)が理解できた。

(80、81を理解すると、入試頻出『枕草子』や『大鏡』などの読解で有利になります。)

82 勅撰和歌三代集、及び勅撰和歌八代集を成立順に言える。

83 平安・鎌倉時代の代表的な随筆作品が成立順に言える。

84 平安・鎌倉時代の代表的な日記作品が成立順に言える。

85 平安・鎌倉時代の代表的な説話作品が成立順に言える。

86 平安・鎌倉時代の代表的な物語作品が成立順に言える。

87 平安・鎌倉時代の代表的な歴史物語作品が成立順に言える。

88 平安・鎌倉時代の代表的な軍記物(語)作品が成立順に言える。

89 源氏物語のあらすじが言える。

これらは、順番通りに勉強しなければならないということではありません。あくまで、大学入試の前日までにマスターしてほしい項目を列記したまでです。大学入試が終わる日まで、生徒はこのチェックシートを、次に述べる「一問一答ノート」に貼付し、一つずつ学習項目を攻略して着実に古文に必要な力を培うのです。時に、忘れた項目があれば復習をしますので、取りこぼしもなくなりますこのように学習事項を設定しなければ、延々と覚えることが目の前に現れてくるような感覚に捉われます。そのため、上記の89項目のチェックシートを参考にして、必ず学習するべき項目を設定してください。そうすれば、トンネルの先に光明が見えるようで少し安心感がでてくるはずです。「この一冊で古典文法が完成する!」と謳っている体系的な参考書が数多く出版されていますが、それを用いて学習事項を設定し、足りない項目は後から付け加えていくのも有効的ですよ。

先輩たちが愛用してきた入試古文定番の参考書

 マドンナ古文 パワーアップ版 (大学受験超基礎シリーズ)

 

一問一答ノートで既習事項を整理して、知識の取りこぼしを防止する!

古文の学習において覚える事項は、実は意外に少ないものです。単語は、少なくとも300語を暗記していれば、十分とは言いませんが入試古文の読解はかなり容易になります。また、みなさんが授業で使っている古文の文法書は、どれもそれほど厚みがないはずです。ほとんどの方の文法書が、A5判のもので、かつ薄いものだと思います。ではなぜ、次から次に覚えることが目の前に現れる感覚を覚えるのか。それは、すでに学んだ内容を忘れているからにほかなりません。

授業をするたびごとに思います。この文法事項は、以前生徒に説明したよなあと。でも、生徒は初めて学ぶことのようにその知識を吸収し、「今日はためになった!」などと感想を述べるのです。笑

正直、古文の授業では同じことばかり教えているような感覚を覚えます。それくらい、学ぶことは実は少ないのです。だから、やろうと思えば短期集中で古文学習を完成させることも不可能ではないと思っています。

学んだことの取りこぼしを阻止するために、私は生徒に古文の「一問一答ノート」の作成を課しています。その日に学んだ事項を確実にマスターするために、まずノートの左ページにその文法事項に関する問題を自分で考え、記入します。次に、その問題の答えと解説、関連する文法事項を右ページに記入します自ら問題を考案し、そして解答解説を自分なりに工夫して分かりやすく記入することによって、その日に学んだことは高確率で自分の血肉となります。また、定期的に見直すことで復習にもなります。私は、模試の前日に見直すことを生徒に勧めていました。

 

「一問一答ノート」の例

《ノートの左ページ》

28 「きよげなる法師の、なる袈裟けさ着たるが、」を「の」に注意して現代語訳しなさい。

 

 

《ノートの右ページ》

28 訳 こぎれいな僧侶で、黄色い袈裟を着ている僧侶が、

 

格助詞「の」の同格の用法の見極め方の3ステップ

①「体言(法師)+「の(、)」+連体形(たる)+「を・に・が」」という形になる。

②「の」が「~で」と訳せる。

③連体形(たる)の後に、「の」の前の体言(法師)を補って訳せる。

 

その他の格助詞「の」の用法

主格(~が)

例 月のことに美しき夜

連体修飾格(~の)

例 法師の馬

準体格(~のもの(体言))

例 小野小町おののこまちの和歌はいとをかし。業平なりひらはいとあはれ深し。

比喩(~のように)

例 玉の男皇子さへ生まれ給ひぬ。

 

1日に1項目、入試までに200項目ほど記入してあれば、相当の古文の力が培われているはずです。あまり一度に書きすぎたり、きれいに整理しようと張り切ったりすると、すぐに挫折してしまいますので、欲張りすぎず、きれいすぎず、継続して記入するようにしてください。ちなみに、単語帳に載っている単語をこの一問一答ノートに記入する生徒がまれにいますが、これは非効率的な行為です。あくまで単語帳に記載されていない単語や文法事項、和歌の修辞法、古典常識などをまとめるものとして、この一問一答ノートを活用してください。

 

国語便覧や漫画などで有名作品の理解を深め、古文読解を容易にする!

前回の記事で、大学入学共通テスト「古文」では有名作品が出題される可能性が高まったということをお伝えしました。試行調査では2年連続、『源氏物語』が出題されたからです。もしこの予測が正しければ、受験生は教科書に掲載されるような古文の有名作品についての知識を深めておかなければならなくなります

古文の成績を飛躍的に向上させる勉強法は、何も単語を覚え、文法を理解し、問題演習を繰り返すことだけではありません。私は常々、生徒には次のように伝えています。古典作品のあらすじを知っていれば、または作品の概略を知っていれば、古文の読解は容易になる、と。そのため、私は入試の演習問題を解説するときでさえ、その出典となった作品の文学史については詳しく伝えるようにしています。

例えば、みなさんは『土佐日記』の大まかな内容やメインテーマを知っていますか。この作品は、土佐の国の国司であった紀貫之きのつらゆきが、任地である土佐から京都に帰るまでの55日間の行程を、女に仮託かたくしてつづった旅日記です。そして、メインテーマとなるのが、「任地で亡くした娘への思慕しぼ」です。作品中、紀貫之と思われる人物は、この死んだ娘に対する悲しみを何度も和歌に詠みこみます。

挿入画像

入試で『土佐日記』が出題された場合、この娘に対する思慕を描いた場面が頻出となります。つまり、『土佐日記』の主要なテーマを知っていれば、その入試問題は格段に読みやすくなるということです。そのため、なんらかの有名な古典作品の問題演習をしましたら、必ず国語便覧などを用いてその作品に関する理解を深めるのです。『土佐日記』の場合、和歌の天才紀貫之が書いていますので、作品中に多くの「和歌」が挿入されます。しかし、このメインテーマが頭に入っていれば、高度な和歌の解釈も容易になるのです。作品理解を深めるのはいいことばかりでしょう。笑

筆者おススメ古典学習ビギナー向け書籍「角川ソフィア文庫」シリーズ

古文と現代語訳が併記され、古典常識もふんだんに記載されている

 

 土佐日記(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

 

漫画や古典作品の現代語訳集などを用いて、その作品のあらすじを知っておくことも効果的です。特に、『源氏物語』や『枕草子まくらのそうし』、『徒然草つれづれぐさ』『大鏡おおかがみ』『平家物語』『蜻蛉かげろう日記』などは入試頻出の作品となり、文章や内容も高度なレベルです。「あらすじを知っているのは当然」というスタンスで出題してくる大学もあります。そのため、これらの作品の内容は、あらかじめ知っておくとよいでしょう。例えば、『源氏物語』には物語のエッセンスが詰まっています前回の記事で、新テストでは「物語」作品が出題される可能性が高く、物語の基本的な話の展開についてインプットしておくことが大事だということもお伝えしましたが、この『源氏物語』にはその要素がふんだんに盛り込まれています。なんせ物語の多くが、この『源氏物語』を手本にして執筆されたわけですから。従って、受験生必読の書と言えるのです。ぜひ受験勉強と並行して、楽しみながら古典作品に触れてみてください。

 源氏物語 あさきゆめみし 完全版(1) (Kissコミックス)

 

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まとめ

古典(古文)の勉強法

☆89項目のチェックシート(上記)や一冊完結型の参考書を用いて受験までに学習すべき項目を設定・認識し、何をどこまで勉強すればいいのかを明確にする。

☆一問一答ノートで既習事項を整理し、模試の前など定期的に見直して知識の取りこぼしを防止する。

☆国語便覧や漫画、古典作品の現代語訳集などを用いて、有名な古典作品のあらすじや概略、メインテーマを把握し、古文の読解を容易にする。

 

古文は、配点がそれほど高い科目ではありません。そのため、コスパを意識した学習体制が必要です。今回の話を参考にして、最短距離で、効率的に古文の学力向上を目指してください。

 

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