お知らせ
6月1日より、志望理由書の添削のご依頼を先着順で承ります。15年の進路・受験指導で蓄積されたデータをもとに、最適なアドバイスを致します。ご興味がある方は、問い合わせフォームにてご相談ください。
大学進学は一生の大事です。志望なさっている大学・学科が、私の経験では対応できないと判断した場合や、同時期に添削作業が多数重った場合はご依頼をお断りすることがあります。その際は、何卒ご容赦下さい。
大学に限らず、短大や専門学校の志望理由書添削の経験もございますので、お気軽にご相談ください。 |
はじめに~子どもを取り巻く社会の変化
急速なグローバル化の進展による国際化や、AI(人工知能)など科学技術の革新とその導入による社会的変化に対応し、更なる発展に寄与し得る人材を育成することが現在求められています。
コンビニに行けば外国人の店員がレジ打ちのアルバイトをしていたり、交通機関を利用すれば、車内で英語や中国語など外国語が聞かれるケースも増えてきました。また、外国人スタッフが同僚として職場にいるのも珍しいことではなくなりました。
AIの普及に関しても、総務省の平成30年度「情報通信白書」では次のような言及がされています。
「技術革新により自動化が進むことによる労働力代替の可能性については様々な推計が行われている。例えば、英国オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フレイ博士は、米国において10~20年内に労働人口の47%が機械に代替可能であると試算をしている。」

失われる仕事があるということは、今では想像さえできないような仕事が誕生する可能性もあるわけです。思い起こせば、IT技術の発達とともに新たな仕事が数多く創出され、今では当たり前のものとなっています。われわれ教育者の世界で言えば、ICT技術が導入され、今やICT教育に携わった経験が採用の条件となることもあるくらいです。筆者が最近驚いたのは、なんとAIが顧客のクレームを処理する事業が注目を集めていることです。最初は度肝を抜かれましたが、クレームを処理する人員の心的ストレスは計り知れないものがありますので、それをAIが一手に引き受けてくれるとなれば受注する企業も少なくないだろうと思います。
このように、これからの未来を生きる子どもたちは、われわれが想像もできないような社会を、中には想像もできないような職業に就いて生き抜いていかなければならないのです。この度の文科省の改革は、ひとえにこのことに対する危機感に起因しているのです。
大学入試改革、どのように変化するのか?
グローバル化の進展により、自分の考えを瞬時に外国語で他者に伝えなければならないケースが増えてきます。また、人工知能・情報技術の目まぐるしい発達により、多くの情報を迅速に処理する能力が求められています。今までは知識偏重の教育が行われていましたが、もはや知識のインプットもアウトプットもPCやインターネットが膨大かつ迅速に行ってくれる時代になりました。そのため、情報を「知っている」ということより、情報を「素早く獲得して自分の思考・判断に援用すること、そしてそこで分析された考えを「適切に他者に伝える(=表現する)」ということが求められているのです。以上のことから、文科省では、これからの学校教育は次の3要素に力点を置いて育成・評価するべきと方針を定めました。
学力の3要素
1、知識・技能
2、思考力・判断力・表現力
3、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度

高大接続という考え方
大学入試改革のもう一つの力点は、この学力の3要素を高等学校教育と大学教育を接続した形で養成しようということです。これを「高大接続」と言います。そして、その接続を円滑なものにするために、この度大学入試は刷新されることになったという面もあるのです。
前述したように、新たに学力の3要素を高大で育成するわけですが、現行の暗記偏重型の入試ではこの両者を接続する役割は果たせないため、大学入試センター試験が廃止され、新たに大学入学共通テスト、いわゆる新テストが導入されることになりました。この新テスト導入に向けて、平成29、30年に試行調査(プレテスト)が行われましたが、国語の教員である筆者から見ると、国語は大幅な刷新がなされており、これから生徒にどのように指導をすればよいのか非常に当惑しました。評論や小説といった従来の論理的、文学的な文章に加えて、データの読み取りや規約・契約にまつわる実用的な文章の読解が追加され、率直に言って前例がないことなので、どれだけ深く広く指導していくか暗中模索の状態です。私と同じような感覚を抱いた方は多かったのではないでしょうか。私に限らず、大学や予備校を巻き込んで賛否両論、大きな論争に発展しました。
高大接続の影響は一般選抜(旧一般入試)に留まる話ではありません。推薦型選抜(旧公募制推薦)や総合型選抜(旧AO入試)においても、合格する志望理由書の構成に変化を及ぼしています。長年、進路指導に携わってきましたが、大学側が生徒に求めている資質は明らかに変わりつつあります。分かりやすく、以下に新旧「合格する志望理由書の構成例」を示します。

合格する志望理由書・構成の変遷
従来の構成例
①将来の夢、または勉強したいこと
②その夢を抱いた、またはそれを勉強したいと考えたきっかけ・理由
③その夢を叶えるために、またはそれを学ぶために、その大学に進学するのが適当だと考える根拠と4年間の学習計画
(授業・ゼミナール(教授)・留学制度・資格支援制度・インターン・施設設備など)
④「以上の理由から、私は貴学〇〇学部○○学科への進学を志望します。」で締めくくる。
近年必要とされる構成例
①学び(研究し)たいこと
②それを学び(研究し)たいと考えたきっかけ・理由
③高校生活でその学び・研究をどのように進め(深め)てきたか
(学習活動・留学・研修・コンクール・ボランティア活動・調査などを通して行った考察)
④大学でさらにその学び・研究を深めたい、または高校生活でその学び(研究)を進める上で、新たな問いが出てきたので、それを大学で解明したい
⑤その学び(研究)を行うために、その大学に進学するのが適当だと考える根拠と4年間の学習計画
(授業・ゼミナール(教授)・留学制度・資格支援制度・インターン・施設設備など)
⑥大学での学びを活かして、将来どのように社会貢献するか
見比べていただければ分かると思いますが、明らかに後者の構成は複雑化しています。もはや高校で何らかの学び(研究)を行っていて、その学び(研究)を大学でも発展的に、継続的に行いたいと考えている受験生が高い評価を得られるようになってきています。つまり、大学側は確実に「高大接続」ということを意識しているわけです。
従って、学校推薦選抜・総合型選抜受験を考えている方は、「ただ進学したい」「ただ学びたい」ではなく、次のポイントに注意して、いまから志望理由書に執筆する材料を集めてください。
☆何に興味を持ち、何を研究したいのか
☆高校生活でどこまでそれを探究してきたか
☆その研究を深めるために、大学ではどのような学びが必要なのか
☆なぜその大学でなければならないのか
☆学んだことを活かして、将来どのように社会貢献したいのか
まとめ
あまり知られていないことですが、現在推薦による入学者は、全入学者の約半数を占め、その数は年々増加しています。つまり、推薦合格者の定員の枠は増す一方なのです。近年、首都圏の大学の定員厳格化の影響で、一般入試での合格は至難の業となり、受験すれば必ず入れたような偏差値の低い大学、いわゆるFラン(ボーダーフリーの)大学はなくなりました。そのため、一般の前に推薦を受験することで、少しでも合格する可能性を高めた方が賢明なのです。
推薦を受験するにはそれなりの準備が必要です。しかし、いまから適切な準備を少しずつ行えば、一般の勉強に差し支えることなく、合格の可能性を広げることができます。本日お示しした構成例がきちんと埋まるように、今から学びたいこと、志望校、将来のことについて考えを巡らせてみてください。
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