コロナ禍はこんなところにも~新型コロナウイルス感染拡大によって露呈した、情報にまつわる3つの症候群

アイキャッチ画像 知的生き方
スポンサーリンク

はじめに

新型コロナウイルスによる著名人の死が報じられた夜、日課の散歩をしようと外に出てみると、

人がいない!!

都下とは言え、東京でこんな光景を見るのは初めてかもしれない。

東京でこれなのだから、他の場所ではもっと町中が閑散かんさんとした状況なのだろうと考えると、いやが上にも不安な気持ちで毎日過ごしている人のことが案じられてきた。

特にお年寄りや、幼い子どもを育てている方々のことが心配になる。

目下、メディアやSNS上では、様々な情報が錯綜さくそうしている。

ここでアンケートです。

 

問 新型コロナウイルス感染拡大に伴う、あなたの情報発信におけるスタンスはどれか。最も適当なものを選びなさい。

*ここでいう情報発信とは、例えばTwitter・Instagram・ブログ・noteなどを指す。

 

ア 新型コロナウイルスの恐ろしさや窮状を訴え、政府に支援や追加政策を迫るというスタンス

イ 新型コロナウイルスの恐ろしさや窮状を訴え、人々に警鐘けいしょうを鳴らして対策強化を迫るというスタンス

ウ 新型コロナウイルスの恐ろしさや窮状を訴え、人々に警鐘を鳴らして対策商材を販売しようというスタンス

エ 新型コロナウイルスの恐ろしさや窮状を訴え、人々に警鐘を鳴らして情報発信者としての存在感を誇示するというスタンス

オ 新型コロナウイルスの恐ろしさや窮状を訴え、人々に警鐘を鳴らすフリ●●をして対策商材を売り込むというスタンス

 

人間の欲深さを表わす指標のような選択肢になったが、エには少々心当たりがある。

心当たりがあると言ったのは、そういうつもりはなかったけれど、冷静に考えてみたらコロナの感染拡大における自分の意見の表明などする必要もなかったのに、役にも立たない情報を発信してしまったことがあるな、という意味だ。

いわゆるご意見番とかインフルエンサーなど呼ばれる人がいるが、エに該当する人は多いように思う。

ア〜ウには社会貢献的な意識があって、エとオには利己的な意識が強い。

このように類別すると、「オなんか(の商法)に引っかかるわけがないじゃないか!」と思うかもしれないが、相手もプロだ。

しかも商売のチャンスだと思っている。

やり口は巧妙で、ステルス性がある。

詐欺にはならない、針の穴に糸を通すように絶妙なところを突いてくる。

情報リテラシー(=情報を取り扱う知識や能力)の重要性については以前から言われていたけれど、このコロナ禍の状況ではなおさら注意して情報と向き合わなければならない。

情報の取捨選択が必要になる。

東日本大震災の時もそうだったが、ここに来て、オの商法が目立ってきている。

こうして、気をつけなければならないものがまた一つ増えた。

 

スポンサーリンク

「強いて情報を発信しなきゃ」症候群〜いかなる情報の発信にも責任を持て!

情報の取捨選択以前に、情報を発信する側にも問題はある。

強迫観念のように、何らかの情報を強いて伝えようとする症候群または公害の発生だ。

先ほどの類別ではエに相当する。

何らかの情報を発信する仕事をしている人は、大言壮語たいげんそうごの怖さを知っている。

それが悪意的なものでなかったにせよ、虚偽の情報を流したときに被る信頼の失墜しっついは計り知れないということを知っているからだ。

挿入画像

私は教員をしているが、まれに誤ったことを教えて、「しまった!!」と思う時がある。

例えば、現代文の授業をしている時に、しっかり読みこなして自分なりの解釈を行い、それを授業で発信するわけだが、授業のシミュレーションをして行く過程で違う解釈の方が有効に思える時がある。

そんな時は、生徒に必ず報告しなければならない。

私はこれを「謝罪会見」と呼んでいる。笑

「ごめんなさい、前回の授業で◯◯(私の名前)はみなさんに嘘をつきました」 という冒頭の言葉から毎回訂正が始まる。

15年間の教員人生でもこの謝罪会見は数回開かれたが、生徒はバカではない、笑顔で聞いてくれている子どもたちの中には、警戒感を抱きながらその後の私の話に耳を傾けていた者だって少なからずいたはずだ。

こういう人の目を、情報発信者は意識するべきなのだ。

こういう人の信頼を裏切ってはいけないという心を、情報の投稿者は持つべきなのだ。

そして、これこそが、情報リテラシーの根幹にあるべき精神なのである。

 

スポンサーリンク

「え、何それ怖い」連発症候群~ソースの担保されない情報は無視しろ!

これから不況や倒産が増えて、誰しもがエ、オになる可能性がある。

自分が発信しようとすることに確証がない時や裏付けが弱い時、またソース(=情報源)が確かではない時は沈黙するべきだ。

誰もが自由に発信してよい世の中であるべきだが、節度と責任は回避されるものではない。

無理やり何かを伝えようとする公害を鎮静化し、未然に防ぐためには、情報を受け取る私たちがソースの担保たんぽ(=保証)されていない情報を捨て置く態度が必要だ

挿入画像

反応されなければ、彼らは発信を止める。

その者に使命感があれば、反応されるような情報にするために、裏付けを求める行動に出るだろう。

こういった公害が収まれば、本当に必要な情報だけが浮き彫りになる。

いいこと尽くめだ。

だから、なるべく反応するのは止めよう。

すぐに「いいね」やリツイート、コメントするのは止めておこう。

そして、そういう呼びかけをしよう。

「え、何それ怖い」連発症候群は、これで緩和される。

 

スポンサーリンク

「みんなが金儲もうけのために何か始めているから自分もやらなきゃ」症候群~副業するにも信念と節度を持て!

「稼ごうとして、強いて何らかの情報を伝えようとする」症候群、または公害は昔からあった。

先ほどの類別ではオに相当する。

働き方改革で副業が解禁となる会社が多く、このコロナの影響による外出自粛要請やリモート勤務で、色々と考える時間が増えた先に、多くの人が副業を検討し始めた。

副業を推奨・喧伝けんでんする声もネット中にあふれている。その結果、みんなが金もうけのために何か始めているから自分もやらなきゃ」症候群、または公害も発生し始めている。

ネットを利用して手軽に副業を開始し、自分の食い扶持ぶちのために、売れる商材をここぞとばかりにコロナ禍にからめて販売しようとする人間もいる。

心はたたくと音がする。

中身が詰まっているかどうかが、すぐに分かる。

心がスカスカだとすぐによこしまな心が侵入してきて、あっという間にその者の行動を支配してしまう。

だから、空洞のハートの中には、常に何らかの信念を常駐させることが重要なのだ。

私にとっては、例えばそれは子どもに胸を張って説明できるかどうかの一点だ。

自分の出処しゅっしょ進退について考える時間が増えたのはよいことだ。

また、副業を始め、老後の資産を貯めるのもよいことだ。

しかし、ここにも節度はあるべきだ。

毎日のようにDMで届く各種商材の売り込みに辟易へきえきている人の顔を認識できない人の心には、もはや邪な心が入り込んでいる

それは、自分のためだけのエゴイスティック極まりない行為だ。

 

スポンサーリンク

本来の意味での「I think」実践者になれ!

海外生活の長い映画監督の紀里谷きりや和明氏は次のように言っている。

「人と会話をしていて思うのですが、その多くが情報と知識で成立しています。それは何も語っていない事に等しい感覚を覚えます。」

情報が循環されるだけならまだしも、間違った情報が流布るふされるのが最も怖い。

重要なのは、情報を見聞きした後の「自分で考える」というプロセスをはぶかないことだ

挿入画像

これから、日本は深刻な大不況やコロナ感染拡大の第2波など、更なる過酷な状況に陥るかもしれない。

その時に備えて、私たち日本人が、本来的な意味での「I think」(=私は〜と考える)を常に実践できる国民になることがいま求められているのだ。

 

次の記事を読む

前の記事を読む

関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました