意外に知られていないのですが、結構いろんなものが見られます。「国際宇宙ステーション(ISS)」、「天宮」(落下済)、「ハッブル宇宙望遠鏡」「イリジウム衛星」「シーサット」、「エンビサット」などなど、なんせ7000個の衛星が地球軌道を周回しているわけですから、昼間だから分からないだけで、この瞬間にもなんらかの衛星が上空を飛んでいるのです。
国際宇宙ステーションとはなにか 仕組みと宇宙飛行士の仕事 (ブルーバックス)
最近、筆者が最も注目している「スターリンクトレイン」です!(世界各国で光害であると厳しく指弾されている衛星ですので、あまり声高には言えませんが、)ご覧になった方はいますか?
「ハッブル宇宙望遠鏡」は言わずもがなという感じですが、地球の軌道上を周回している巨大な天体望遠鏡です。機体が大きくないので、よほど好条件でないと肉眼で捉えるのは厳しいと思いますが、確認できた時は非常に感動しました。
その次の「天宮」という名称は聞いたことがない人が多いかもしれません。これは中国版の宇宙ステーションで、これまでに2機が運用されています。1号は2011年に打ち上げられた後、神舟と呼ばれるロケットとドッキングに成功し、3名の中国人が滞在しました。2016年に制御不能に陥り、その2年後に大気圏に突入して燃え尽きました。この時、人は乗っていませんので安心してください。
また、2016年9月に打ち上げられた2号は「天宮1号」の後継機で8.6トンの巨体。こちらは有人・無人両方のドッキングを成功させ、2019年に役目を終えて大気圏に再突入しました。筆者は、2号を肉眼で捉えたことがありますが、後述する国際宇宙ステーションに比べると機体が小さいので、好条件でもやや弱い光でした。2022年に再び打ち上げる予定で、かなりの大きさになるそうですので、肉眼で見ることは十分可能だと思います。
「シーサット」はNASAの海洋観測衛星、「エンビサット」はESA(欧州宇宙機関)の地球観測衛星です。いずれも機体が小さいので、発見するのは難易度が高いと思います。
このように、意外に知られていませんが、実は多くの人工衛星が肉眼で見られるのです。その中でも、代表的なものが度々ニュースでも報道される「国際宇宙ステーション」(以下、ISS)でしょう。ISSは高度400Km上空を飛行し、なんと90分で地球を一周します。想像を絶するスピードで、1日では地球を16周もしていますので、見る機会は結構あります。アメリカ、ロシア、日本、カナダ、ヨーロッパが共同で運用しており、常時数名の宇宙飛行士が滞在して各種実験や観測を行なっています。
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国際宇宙ステーション(ISS)の見方
これは筆者が行なっている方法ですが、いたって簡単です。人工衛星を見るためのアプリがあって、これが最も便利です。「Space Station」というアプリで、AndroidでもiPhoneでも両方使えます。

注意
・アプリを使用する時はGPSを有効にしてください!
・有料版と無料版がありますが、無料版で十分です。
ステップ1
画面下部の「カレンダー」をタップして国際宇宙ステーションが日本上空を通過するスケジュールを把握します。黄色の☆になっているものが好条件であることを示しています。示しているのですが、それは肉眼で捉えられる最低条件をクリアしているという意味なので、以下に肉眼ではっきりくっきり見える好条件の要素についてお話しします。
カレンダー

等級
等級とは、その天体の明るさを表しています。等級が低ければ低いほど、その天体は明るくはっきり見えます。
筆者がカレンダーを確認して、今日は条件が良いから見ようかなと思う等級は−3.0からです。まれですが、−4.5という時もあって、非常に綺麗に見られます。
方位
方位は、その天体が飛来する方角を表します。背の高いビルや山などが立ち塞がって見えないことがありますので、あらかじめ確認しておきましょう。
ちなみに、
E=East→東
W=West→西
S=Southern→南
N=North→北
となります。
仰角
仰角とは、文字通り「仰ぎ見る角度」のことで、地平が0°、真上が90°で、この仰角が低過ぎると、建物や丘に隠れて見えない時があります。
筆者は仰角45°を超えると、好条件だと判断しています。
以上のことから考えると、4月6日と4月7日が直近の好条件の観測日と言えます!(2020年3月27日現在)
ステップ2
画面下部の「地図」「AR」をタップして、上空のどの位置を飛行するのか、そして見え始めとMAX(最も良く見える)時間を把握します。
地図

AR

ステップ3
あとは時間になるのを待つだけ。実際に見てみましょう!ポイントは、ISSは飛行機やヘリコプターとは異なり、音もせず、点滅もせず、蛍のようにゆっくりと流れていく光だということです。暖かい格好でご覧になってくださいね!
国際宇宙ステーションには、日本の実験棟である「きぼう」がドッキングしています。そのため、筆者は色々ストレスが溜まると、ISSを眺めて活力をもらい、明日への希望を取り戻しています。割と本気で。笑
スターリンクトレイン
これは、実は筆者も見たことがないのです。YouTubeの動画では確認したことがあるのですが、綺麗ですよね!!「スターリンクトレイン」とはスターリンク衛星とも呼ばれ、アメリカのスペースX社が通信網を形成するために打ち上げた60個の衛星からなる光の帯です。同社はこれを12000個打ち上げるとしており、前述した通り、天文関係者からは「光害」との懸念も指摘されています。
確かに、長時間かけて天文の観測活動を行なっている研究機関からすると、この衛星がしょっちゅう光の点線を作りながら飛び回るわけですので、光害と言われても仕方がないですね。天文ファンからすると複雑な心境ですが、そんな非難が飛び交うスターリンクトレインが、なんと、3月31日に飛来するんですよ!東京から眺めるには仰角が低いのと、その日は天候が悪くなりそうなので、ちょっと不安なのですが、この機会に待機して見たいと思います!
みなさんがお住まいの地域では、綺麗に見られると良いですね!今回眺められなくても、ISSなど衛星の見方が分かったと思いますので、ぜひぜひ夜空でさりげなく繰り広げられている天体ショーにしばし心を癒されましょう!
そして、大変な状況下ですが、コロナに打ち勝ちましょうね!
また、お互いにくれぐれも自制的な行動を心掛けましょう!
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