個性が奪われていく社会〜その原因と解決法

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この記事で分かること

☆私たちを取り巻く没個性ぼつこせい化(=個性を失うこと)の仕組みとは?

☆個性を取り戻すためにはどうすればよいか?

 

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私たちを取り巻く没個性化の仕組み

アメリカナイズ

今や日本のモバイルデバイス市場で、約6割のシェアを占めるiPhone(Apple)。検索すれば、すぐに膨大な情報を提示してくれるGoogle検索エンジン。欲しいものはワンクリックで自宅まで届けてくれるamazon。いつでもすぐに腹を満たしてくれるマクドナルドのハンバーガー。スターバックスのコーヒー。

私たちが日常よく利用するものを並べてみましたが、これらの共通点が分かりますか。それは、全てアメリカ資本の企業が提供するサービスであるということです。その他、Microsoft、IBM、コカコーラ、ディズニー、ウォルマートなど、挙げたらきりがありませんが、これらアメリカの超巨大資本が提供するサービスが日本各地、いや世界各国で展開しています。言い換えれば、私たちは一様にアメリカが提供するサービスの上に安住して生活しているのです。

便利な反面、それぞれの国の経済的、文化的なオリジナリティが消滅して、世界が画一かくいつ化、同質化することが危惧きぐされています。これをアメリカナイズ(=アメリカ化)と言います。

アメリカナイズの恐ろしいところは、その資本の強さです。3月時点での、世界企業の時価総額ランキングで、MicrosoftやApple、Facebookなど7社がTOP 10入りを果たしています。この強力な資本を武器に、これらの企業が世界進出して各国にある既存の企業を圧迫し、経済や文化の面で、世界各国がアメリカの植民地になるとまで言われています。

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人工知能(AI)

このアメリカナイズの次に、私たちの個性を奪いかねないものに人工知能(AI)があります。AIはすでに私たちの生活の中に密着していて、例えばAmazonのサイトを開くと、おすすめの商品が瞬時に紹介されると思いますが、あれはまさにAIが私たちの日頃の検索データを照会して、私たちにおすすめの商品をサジェスト(提案)しているのです。

また、インターネットを閲覧していて、その閲覧ページに広告が表示されていると思いますが、これもみなさんの検索結果をもとにして、その人にとって最適の広告が表示されるようになっているのです。このAIのサジェストを受容して、ここから多くの人が商品やサービスを購入することになります。これもGoogleの機能に組み込まれているものですので、一種のアメリカナイズと言えるかもしれません。

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また、ぐるなびなどのグルメ情報サイトを利用したことがある人は多いと思いますが、これらのサイトも地域を検索すればすぐにおすすめの店が表示されます。そして、その店の評価となる星の数と空席状況を見て、人々はその店の予約を取るのです。ここには、自分の意見があまり介在していません。おすすめとしてAIが提案してくる意見に、ただただ乗っかっている場合さえあります。これからますますAIは進化していきます。そして、私たちの気づかないところで、AIが私たちの意思決定に影響を及ぼして行くことでしょう。

インターネット検索

インターネット上の視聴動向を分析・調査しているニールセンデジタルによれば、2019年におけるデジタルサービスで、日本人の56%がGoogleを、54%がYahoo Japanを利用していることが分かりました。みなさんもこの2つの検索エンジンを用いて、検索結果の上位に表示されている情報を活用していることと思います。しかし、検索の上位に来るからと言って、その情報は正しいものとは限りません検索エンジンというものは、よく見られているページを上位に表示するようになっています。つまり、場合によっては、ただ多くの人が見ているページに掲載されている情報を見ているだけに過ぎず、結果として間違った、あるいは偏った情報を鵜呑みにしている可能性さえあるのです。もし閲覧者が情報を取捨選択するという習慣を持っていなければ、ここでも人々が画一化、同質化する危険性が多分にあるのです。

また、朝の通勤通学途中にYahooニュースを見る人が多いのではないでしょうか。そして、同時にYahooニュースの閲覧者が投稿しているコメントをスクロールして見る人がいると思います。そこで、そのニュースに対する多数派の意見が見て取れるわけですが、その意見が自分の考えにすり替えられるという経験をしたことはありませんか。Twitterのタイムラインに流れてくる大多数派の意見に、無反省に諸手もろてを挙げて賛同してしまったことはありませんか。

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アメリカナイズ、人工知能によるサジェストや検索上位の情報の乱用、多数派の意見の日常的な受容。こうして、私たちの考えは多数派のものに画一化され、人々は大衆化して行くのです。言い換えれば、没個性化して行くのです

 

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どうすれば没個性を防げるか?

大衆化し、没個性化しないためには、多角的に情報を収集し、それらをじっくり吟味ぎんみし、取捨選択できるようにすることが大事です。間違っても、多数派の情報を受け取って、それをそのまま自分の意見として保持するような習慣は即刻改めるべきでしょう

具体的に言えば、少数派の意見にも必ず耳を傾けることが求められます。また、外国紙や外国のテレビ局は客観的に日本を外から見ている場合があります。時には、日本を痛烈に批判することさえあります。BBCやCNNの日本語版サイトでは、数は多くはありませんが、日本に関するニュースだけでなく、世界各地のニュースを閲覧することができます。それらの情報を総合的に考え合わせた上で、自分の意見を持つのです。

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例えば、日本政府は全世帯に2枚のマスクを配布することを決めましたが、あの時この政策に賛成している国民もいたことをご存知でしょうか。マスクを求めて何軒もお店を梯子はしごできる人や、数多くのデバイスを駆使してインターネットでマスクを購入できる人、誰かに頼んでマスクを買ってきてもらえる人。彼らにはマスク2枚という政策は滑稽こっけいに思えたかもしれませんが、そうでない人(=弱者)にはありがたい話だったのです。

こうした少数派の意見に耳を傾けつつ、「でもそれだけでは根本的な解決にはならないから、マスクの配布と同時に、マスク生産に関わる認可を緩和し、国を挙げて迅速じんそくにマスク生産に乗り出すことが必要だ」とか、「これから訪れる可能性が高いリストラや倒産を極力回避するために、国民に対する十分な給付金の支給もあわせて行うことが必要だ」など、これが少数派の意見も取り込んだ高次こうじの意見となるのです。

人間は、自分がいつ少数派(弱者)に遷移するとも限りません。だから、少数派の意見が議論の俎上そじょうに上がるという環境は整備しておくべきです。明日は我が身なのですから。少数派の意見を捲し立てるのではなく、それはそれとして吟味する姿勢が必要なのです。少数派の意見に耳を貸さなかったことが、先の悲惨な大戦に繋がったことを忘れてはなりません。私たちは、その過ちを犯した民族であることを忘れてはなりません。

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まとめ

☆アメリカナイズ、人工知能によるサジェストや検索上位の情報の乱用、多数派の意見の日常的な受容によって、私たちは没個性化して行く。

☆大衆化・没個性化しないためには、多角的に情報収集を行い、少数派の意見にもしっかり耳を傾け、それらを総合的に吟味した上で自分の意見を持つことが大切である。

☆人間は、いつ自分が少数派(弱者)になるとも限らないので、少数派の意見を無視しない姿勢を持つことが大事だ。また、その環境整備もするべきだ。

しばしば世論が野党に投げかける批判ですが、与党の政策に反対するのであれば、しっかりとした根拠や代替案を提示するべきだという声がよく上がりますね。これは野党に対してだけでなく、実は私たちに対しても通用する批判です。私たちも気を引き締めて、自らの意見の構築に努めていきたいものです。

 

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