ホワイトデーに贈る~平安貴族たちの恋愛事情

知的生き方
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はじめに

こんにちは!

本日は、平安貴族たちの恋愛事情についてお話しします。

ホワイトデーが近づいてきましたが、みなさん、もうお返しの準備はできているでしょうか?

中には本命のチョコを受け取って、その返事を明後日しようと考えている人もいるかもしれません╰(*´︶`*)╯♡

 

ドキドキですね!

 

バレンタインデーやホワイトデー、恋人たちの最大のイベントであるクリスマスなど、現在は愛を育む機会に事欠かない日本ですが、ではむかしはどのように恋愛をしていたのでしょうか??

そこで、本日は、平安時代の男性貴族たちの恋愛事情についてお話ししようと思います。

 

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ステップ1 うわさを聞きつける!

 

平安時代とは、「鳴(=7)く(=9)よ(=4)、うぐいす平安京」のゴロで覚えたと思いますが、桓武天皇が平安京に遷都した794年から始まり、藤原道長を代表として貴族政治が花開いた時代を指します。

 

まだ北海道は未開の地で、平安時代当初、東北地方の北部は日本の統治下ではなかった時代です。

また、病気はもののけや悪霊の仕業とされ、治療にはもっぱら加持祈祷(かじきとう)が行われていました。

重要な決断を下すときにも占いが用いられ、安倍首相の先祖とされる陰陽師(おんみょうじ)安倍晴明はその最たるものです。

 

そんな時世ですので、当時はまだ、女性が男性の前に素顔をさらすのはふしだらとされていた古風な時代です。

そのため、親族でもない限り、女性が男性と面と向かって話をすることはもってのほかでした。

 

もっと言えば、女性は実家で過ごすことが多く、宮中(皇居)や貴族の邸宅に女房(=女官のこと。奥さんのことではない。)として出仕する機会でもなければ、あまり外出もしませんでした。

つまり、男女の出会いのチャンスは、現在に比べると絶望的に少ないのです_| ̄|○

 

でも、当時の貴族も恋愛はしたいはずです。笑

男性貴族はどうやって恋のきっかけを作ったのでしょうか?

 

「北三条大路の西に、うるわしい乙女がいるらしいぞ。なにやら、左大臣藤原為光の三女らしい。」

 

そんなうわさを聞きつけるや、貴族たちはこぞってうるわしい乙女のもとに馳せ参じるのです。

 

『竹取物語』をご存知の方は、かぐや姫が箱入り娘として育てられ、見目うるわしい女性に成長するわけですが、そのかぐや姫のうわさがどこからともなく広がって、5人の貴公子に次から次に求婚されたという話を思い出すかもしれませんね。

 

かぐや姫は、うわさを聞きつけた天皇にまで求愛されることになるのですが、この「うわさ」こそが平安貴族たちの恋愛プロセスの始まりだったのです。

竹取物語(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

 

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ステップ2 のぞき見する!!

 

馳せ参じた後、貴族たちはどうするか?

 

それが、「のぞき見」です。笑

 

いまでは犯罪ですが、当時は合法的に行われていた恋愛の初動なのです。

うわさに聞いた女性が、本当に美しい人なのかどうかを確かめるため、なにかの口実を作っては意中の女性の邸宅前を訪れ、そのお出ましを待つのです。

 

しかし、当時の貴族の邸宅は築地(ついぢ)という土塀に囲まれていて、のぞき見るのも簡単ではありません。

身分の低い女性の家や別荘などは、透垣(すいがい)と呼ばれる柴や小枝で組んだフェンスが取り囲むのみですので、庭をのぞき見るのもある程度容易だったと思いますが、先ほども申し上げた通り、当時の女性は親族以外の男性の前にはそうたやすく姿をさらしません。

 

邸宅の中にいても、御簾(みす)という装飾が施されたカーテンの内側にいますし、御簾の中にいても几帳(きちょう)と呼ばれる仕切りに隠れていることもあり、更に女性は扇子で顔を隠すことも多く、運良く土塀のうちをのぞき見ることができても、せいぜい声を聞くことができる程度だったのではないでしょうか。

 

築地→御簾→几帳→扇子、その先にようやくうわさの彼女がいるのです(´;ω;`)

 

『源氏物語』には、主人公光源氏が、のちに最愛の人となる紫の上を、偶然小柴垣のうちに発見するというシーンがありますね。

また、同じく『源氏物語』には、光源氏の妻である女三宮(おんなさんのみや)を、柏木(光源氏のライバルである頭中将(とうのちゅうじょう)の子)が偶然のぞき見して恋に落ち、2人は密通してしまうというシーンがありますね。

「源氏物語」最大のヒット漫画

あさきゆめみし(1) (講談社漫画文庫)

 

このように、「のぞき見」は当時一般的に行われていた恋愛の第二手だったのです。

 

ここまででも相当大変ですが、平安時代の貴族たちの恋愛における試練はまだまだ続きます( ̄ー ̄ )

そもそも、まだ会えてすらいないですからね。笑

しかし、このもどかしさが、どうしても会いたいというこの努力こそが、男性貴族の恋心の炎をめらめら燃え立たせていくのです!

 

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ステップ3 和歌のやり取りをする!!

 

ステップ2で、のぞき見できたにしてもできなかったにしても、それですぐに会えるわけではありません。

 

日本の女性貴族は賢いです。

ここから、女性のテストが始まります。笑

 

「あなたには、私を幸せにするだけの器量がありますか?」

 

それを試すのです。

 

かぐや姫も、プロポーズしてきた5人の貴公子に無理難題をふっかけていましたよね。

 

通常、男性貴族は女性の気を引くために和歌を贈ります。

 

みなさんは冬休みの課題で、短歌や俳句を作ったことがありませんか?

冬休みの最後の日になって、俳句を作る宿題があるのを思い出して、本当にどうでもいいような句を詠んで、急いで宿題を片付けた経験はありませんか?

私はその口です。笑

冬休みの課題ならばそれで済みますが、平安時代の恋愛ではそうはいきません。

 

和歌には、

 

枕詞・序詞・掛詞・縁語・見立て(比喩)・歌枕・本歌取りなど、

 

多くの修辞法を駆使しなければなりません。

 

特に、先ほども申し上げた通り、日本の女性貴族は極めて賢く、中には古今和歌集(日本最初の勅撰和歌集で、和歌の教科書とされた)に収められている約1100首を諳んじることができた人もいたと言われています。

 

そんな女性たちをうならせるだけの和歌を作らなければならないわけですから、男性貴族が苦労したのはいうまでもありません。

 

また、当時の女性の美徳の一つに「字の綺麗さ」がありました。

そのため、男たちは字の丁寧さにも気を遣わなければならないのです。

これらは一朝一夕には上達しないため、中には代作を頼む男性貴族もいたくらいです。笑

 

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ステップ4 夜這いをする!!

 

いまで言えば「既読無視」にならずに(笑)、和歌のやり取りが何回か続くと、いよいよ会う段取りを整えます。

 

しかし、まだ大っぴらには訪ねることはできませんので、女性側の女房に手引きをしてもらいながら、みんなが寝静まった夜にこっそり会いにいくのです。

中には、会う段取りも整っていないのに、半ば強引に押しかける貴族もいました。

『源氏物語』の髭黒の大将の話がそれに当たります。

 

なにはともあれ、ここで初めて、2人は互いの顔をはっきりと、まじまじと見ることができるのです。

その感動・感激は相当なものだったのではないでしょうか?(๑>◡<๑)

 

そして、男性の訪れが三日三晩続くと、晴れて結婚という運びになります。

男性は、女性の両親から「三日夜の餠(みかよのもちい)」を振る舞われ、晴れて公認のカップルとなるのです。

 

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ステップ5 手紙を贈る!!

 

結婚が成立しても一緒に住むわけではありません。

当時は通い婚と呼ばれ、男性は会いたいときに女性の邸宅を訪ねる方式が一般的でした。

 

男性は夜明けを待たずに女性のもとを去るのが礼儀です。

そして、自分の邸宅に帰った男性はひと息つく暇もなく、「後朝(きぬぎぬ)の文」という手紙を女性に贈るのもルールの一つです。

 

後朝とは「衣衣(きぬぎぬ)」の当て字で、 当時は掛け布団はありませんでしたので、自分の衣(=着物)を掛けて寝ました。

つまり、衣衣とは、恋人同士が互いの着物を掛けて寝ていたことを表わす言葉で、仲睦まじく一夜を過ごしたことを示す、なんともロマンチックな表現なのです。

 

「昨夜は素敵な夜でしたね」と、

 

男性は後朝の文に託して女性に対する熱烈な想いを伝えるのです。

 

以上、これらが男性貴族の恋愛プロセスです。

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もちろん、男性貴族の身分がある程度高くなければ、ステップ3の前後で相手にされなくなるでしょう。

経済力や社会的な地位がある人と結ばれることが、実家の繁栄に繋がるのだということを幼少の時からマインドコントロールされているためです。

当時の結婚は、「人と人」というよりは、「家と家」だったからです。

 

このように、当時の男性貴族たちは、

 

うわさを聞きつける→のぞき見する→和歌のやり取りをする→夜這いをする→後朝に文を贈る

 

といった、これらのプロセスを経て恋愛関係を構築していたのです。

涙ぐましい努力を経て、女性とお付き合いをすることになるのです。

 

それに比べたら、現在はお互いの顔も見えるし、会話もできるし、LINEもあるし・・・至れり尽くせりだと思いませんか??笑

男性たちよ、いまは恋愛しやすい世の中となりました。

草食系になっている場合ではありませんᕦ(ò_óˇ)ᕤ

人生は一度きりしかありませんよ。

 

さあ、ホワイトデーはすぐそこです、好きな人に告白しましょう!

 

あなたの恋愛が成就することを祈っています!

 

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