はじめに
こんにちは。
今日は、「どうすれば人間は優しくなれるのか?~すぐに怒らない人になるための方法論」についてです。
東京は雪が降っています。この時期に雪が降るというのはちょっと記憶にないですね。みなさんがお住まいの地域はどうでしょうか?
以前、「優しさ」や「知性」、感情をコントロールできる人間はギフテッド(=神から能力を贈られた者)であるので、それを行使すべきだ(←クリック)ということを申し上げました。その続編として、ではどうすれば人間は優しくなれるのかということについて、本日はお話ししたいと思います。
感情的になりやすい人というのがいますね。すぐにカッとなったり、声を荒らげる人がどの世界にもいます。かくいう私も、そこまで過度ではありませんが、7年前までは人並みに腹を立てたり感情的になったりする人間だったかも知れません。

私はもともと男子校に10年間勤めていました。気心の知れた同性同士ですので、片道2時間の通勤時間でしたが、振り返ってみても非常に楽しい教員時代でした。退職して5年が経ちますが、今でも年賀状を送ってくれますからね。笑
男子校というのは、当たり前ですが男子ばかりが集まります。そのため、男子校出身の方なら分かると思いますが、時には動物園のようになって収まりがつかなくなる時があります。気立てが優しすぎる先生や、自分たちのことを理解してくれない先生、頭ごなしに叱る先生には徒党を組んで容赦なく反発します。私が在職していた10年間で、一体何人の先生がお辞めになったか。
私は面倒見が良い方でしたので、割と慕われていたと思いますが、叱るときは叱ります。まだ血気盛んな年齢だったので、時には激しく怒鳴ることもありました。男子校で10年間も働けたのは、ある程度感情を剥き出しにして、体当たりで関わり合えたからだと思っています。しかし、息子が生まれてから一変しました。これを機に、自分の人間性を変革したいと思ったのです。感情的にならず、立腹せず、きちんと話し合ってお互いが納得できる方法を見つけ出そう、と。
それから、生徒に対しても全く威圧的に叱ることがなくなりました。現在の学校に赴任してからは、激しく叱責したことは一度もないですね。私は明らかに変わりました。感情的になりやすい人は変われると、だから断言することができるのです。では、どうしたら人間は激しやすい性格を変えることができるのか?
本日は最初に結論を言ってしまいますが、「習慣が感情的になりやすい自分を作り出すのであって、もともと生まれたときから立腹しやすい性格の人間がいるわけではない」ということです。今日は、「怒ると損ですよ」とか、「怒ったら相手の思う壺ですよ」などといったありきたりで啓発的なことを言わずに、私の経験に基づいた、感情をコントロールするための方法論に終始したいと思います。
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「怒らない」を習慣化して、怒りの沸点を徐々に下げていく
加齢によっても人間は穏やかになります。また、過度な肉食はノルアドレナリンを生成してイライラや攻撃性を高めますので、肉食に偏りがちだという方は控えた方が良いでしょう。でも、最も良い方法は「怒らない」ことです。それが出来たら誰も苦労しないよと思うかもしれませんが、「怒らないことを習慣化させる」ことが最も大事です。怒らないことを習慣化して、自分の中の沸点を徐々に下げていくのです。
受験勉強を習慣化させるために、生徒によく話すことですが、人間はある一定期間その行動を継続して行うと、それを習慣化できるということが分かっています。言い換えれば、ある程度の時間、我慢してその行動を行えば、それをしないと気持ちが悪くて仕方がないような状態になるのです。
メンタリストのDaiGoさんも以前取り上げていましたが、ビクトリア大学とロンドン大学で、人間はどの程度の期間で習慣が身につくのかという研究が行われました。カナダのビクトリア大学では、111人の男女を対象にして、12週間に渡ってジム通いに関するモニタリングを行いました。6週目以降、42日目が一つのターニングポイントになるのですが、週4回以上ジムに通った人はとうとうジム通いを習慣化することに成功したのですが、一方週4回未満だった方は、6週目を境にしてジム通いをぱったりやめてしまったのです。

また、ロンドン大学のフィリッパ・ラリー博士は男女96人の学生を対象に、84日間のモニタリングを行いました。彼らに何らかの行動を継続的に行ってもらい、その行動が習慣化するまでにどれだけの期間が必要なのかを調査したのです。その結果、平均して約60日間ほど続けると、その行為は習慣化されるということが分かりました。
総括をすれば、「週4回以上」「60日間」というキーワードが浮かび上がってきます。無論、個人差があると思いますが、どうしても怒りやすい今の自分に辟易しているなら、週4回は怒らない日を設け、そしてそれを60日間続けるということを1つのゴールとして、自分改革をスタートしてみてはどうでしょうか
怒らない習慣力
エクリチュールを転換する
現代文の教科書の常連、フランスの哲学者ロラン・バルトは言います。「エクリチュール(=社会的に(その領域で)規定された言葉遣い)が、人間の思考や行動に影響を与える」と。つまり、エクリチュールが人間性を形成すると言っているのです。
例えば、教員のエクリチュールとは、一般的に正しい、礼儀正しい言葉遣いであると認識されていると思いますが、教員のエクリチュールを平素から用いる教員は、ますます人格的な行動を取るようになるということです。たしかに、乱暴な立ち居振る舞いをする先生はあまり見かけないですね。プライベートでも人格者が多い印象があります。
一方、非行を繰り返す少年たちのエクリチュールは乱暴です。成人式で警官に暴言を吐く少年たちの言動がよくニュースで取り上げられますが、そのエクリチュールが仲間内で常態化するために、やはりますます粗暴な行動に突き動かされてしまうという側面もあるのです。もちろん、これらは人間形成の一因に過ぎません。しかし、これは裏を返せば、エクリチュールを転換すれば、人間の性質を変化させる要因ともなるということを表しています。感情的な性格に終止符を打ちたいと考えている方は、怒りを制御するように努めるということに加えて、普段の言動を見つめ直すということにも意識を向けてみてください。
怒りを抑えるためのシンボリックなイメージを持つ
数年前、TBSで「天皇の料理番」というドラマが放送されていましたが、佐藤健さん演じる主人公秋山篤蔵は後に昭和天皇に料理を作って差し上げる一流の料理人となりますが、もともと感情的になりやすい人物で、すぐに周囲の人間と衝突を繰り返す粗暴な人間でした。しかし、篤蔵の妻がいまわの際(=臨終の際)に、形見のすずを篤蔵に手渡して「どうかこれからはすぐにカッとなる性分を改めるように」と遺言を残すのです。それからというもの、篤蔵は怒りがこみ上げてくるやいなや、すずの音を聞いてその怒りを抑え込み、心を入れ替えて料理の道に邁進するのです。篤蔵には「すず」が、怒りを抑制するシンボリックな存在となるのです。

私にも、それに近いものがあります。私は、何をするにしても常に息子と手を繋いでいるイメージがあります。授業をしていても、1人で買い物をしていても、息子と手を繋いでいるイメージというものを脳裡に持っているのです。そうなると、もはやいい加減な生き方はできませんし、すぐにカッとなったりはできませんよね。これが、私にとってのすずです。みなさんにも、自分を生へと駆り立てる動機付けとなる存在がいるかも知れません。そのような方は、このシンボリックなイメージ化が、怒りを抑制するための1つの手になると思います。
女の人を怒らせない技術 マンガでよくわかる女性とのコミュニケーションの鉄則
まとめ
以上のことを通して、私は現在ある程度感情をコントロールすることができています。ちなみに、他者との軋轢(=摩擦)が生じて私が感情を抑えている時、頭の中では「まあ、そういう考え方もあるかな」というようなことを考えています。怒らなくなったことで、相手の人間性や生き方を、それはそれとして受け入れられるようになりました。それが、感情をコントロールすることの最大のメリットかも知れません。生徒と関わり合う上では大切なことですからね。
夜回り先生で有名な水谷修先生は言います。
「褒められて嫌な気持ちになる人はいない」と。私は幸いなことに、生徒と上手く接することができている方だと思いますが、その秘訣は何かと問われたら、「怒らないこと」、そして「よく褒めること」、この2点を徹底しているからだと答えるでしょう。
子どもに拒絶されているとか、部下から敬遠されているなど、対人関係で何かしら問題を抱えている人は多いと思います。ぜひとも本日の話を参考にして、心地よい人間関係の形成に努めてみてください。
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